#14.看護師×院内研修×WSD
(1)普段おこなっている活動は?
看護師として働いています。病棟の看護師長としてマネジメントし、そして病院の看護師たちの教育委員長として人材育成に関わっています。教育は新人からベテランまで幅広く、関わる人々と協力、分担をし研修計画、依頼、実施、評価…年間を通して仲間たちと活動をしています。
(2)WSD受講のきっかけは?
職場の恩師がWSDを受講し、会うたびに「行きなよ! 30代のうちに!」と勧めてくれたことが大きなきっかけです。看護師は社会のアンテナを広く持たないといけないという学生時代からの教えはありましたが、実際は、病院という名の箱の中で働き、その場に留まっていることを薄々と感じていました。師長になり、多職種と関わる機会が増え、医者、役職や年齢層が違う看護師、薬剤師、栄養士、リハビリ等々、異文化交流の渦中で対話ができているようでできていない状況がとても苦しかったのです。また、教育委員として、看護師の内省というものにフォーカスしていた時期であったため、WSDの教育内容を目にしたとき、とても関心が高まりました。研修に活かせそうという気持ちと、外に出たいというワクワクとした気持ちが後押しし、受講を決めました。
(3)オレンジコースとブルーコース、選んだのはどっち?
オレンジコースを選択しました。仕事上、対人間が主ですので、直接コミュニケーションを図るために対人を選びました。あとは、オンラインは少し苦手というのも理由のひとつでした。
人見知りの私です。初めは人数の多さに圧倒され、みんなの職業や活動、コミュニケーション能力の高さに圧倒されました。しかし、学ぶことを目的とする集団ですから、打ち解けるには時間はかかりませんでした。ワークショップを通じて、お互いの人間性を認めたり、気づかせてくれたり、新たな感性の発見につながる話題に触れることができたり。いろんな気持ちや、感覚が入り混じる不思議な場を感じることができました。
(4)WSD受講で最も印象に残っていることは?
オンデマンド教材の中で出てきた「ワークショップとあえて言わなくてもよい」という言葉がとても印象的に残っています。私の現場は、病院です。そして、看護師の人材育成と自己研鑽の支援として、年間研修を企画、運営をしている側です。WSD(ワークショップデザイナー)のことは、どうしても「ワークショップをやる人」と、枠の中に閉じ込めて考えてしまっていました。しかし、WSDは、自分自身の現場をデザインする仕掛け人であること、周囲の協働を生むために、対等な対話ができるように、人と人とのつなぎ目の役割として場をつくるデザイナーであると腑に落ちました。自分の「当たり前」が変わる瞬間を体感したことがとても印象的でしたし、心救われた感じがしました。
(5)現在の活動に活かしているWSDでの学びは?
私が行っている院内研修は、それぞれの現場で起こりうることを通し、自身の看護人生の経験、体験から内省することにフォーカスしています。以前は講義型の研修が主でしたが、現在はワークショップの要素である参加型形式を取り入れたりしています。ワークショップとはあえて言っていません(笑)。苅宿先生の講義にあった「自分の活動が正しいということを証明するのではなく、活動している意味を共有し、自分と違う他者理解と合意形成のエクササイズの場」であることを基盤とし、相手の意見に共感や、新たな気づきを得る場とする研修を目指し、教育の仲間たちと活動しています。研修以外の場では、私自身が、「その場には答えはなく、自分の当たり前と、違う当たり前を持つ人とどのように繋がりを持つかが大切なのでは」と何かのたびにつぶやいたり、伝えたりしています。この言葉に大きくうなづいてくれる人がほとんどですので、そんな考えを共感できる人、共有できる人が増えればいいなと思いながら日々を過ごしています。
(6)WSD受講を迷っている人へのメッセージを!
迷ったらやめたほうがいいという言葉もありますが、WSDを知ってしまったら行かなきゃ損。レポートや実習では迷宮入りしそうな瞬間もありますが、周囲の人々と手を取り合いながら一つひとつクリアできるため、協働を体感できます。様々なワークショップを体験できますし、授業内容はどんどんパクっていいと言ってくれますから(笑)、すぐに自身の現場に活かすこともできます。人見知りの私でも溶け込めましたので、人としても成長できると思います!
(7)これからの展望は?
医療の現場でもWSDの共通認識を持った人が増えたら、共通言語ができていろんな話ができるだろうなと恩師とも話しています。なかなか看護とはかけ離れているように思えるWSDですが、教育に携わる者として理論、場を創り上げる知識、スキルを学び、ワークショップというツールを利用することで、看護は面白い、やりがいが持てる、キャリアアップしたいという人々が増えることを目指し日々活動しています。真面目な上司もいいと思いますが、他者に理解のある上司でいたいですし、一緒に意見を共有し合意形成できる上司でありたい。そして、何でも言い合える雰囲気の場をつくれる人でありたいと思いながら日々頑張っております!
医療とWSD、一見かけ離れた世界にあるようにみえて、WSDの学びを最大限に活かせる場であることを体感してくださった吉田さん。実際、医療の現場にいらっしゃる多種多様な職種の方の受講も増えてきています。インプットされたことを、すぐに自身の現場で活かしてくださっていることをとても嬉しく思いました。これからのご活躍を応援しています。ありがとうございました!