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[対談vol.1]修了生でつながる「最強のチーム」

企業やNPOなど、ひとつの組織内で、複数のWSデザイナーが共に仕事をしているケースが増えてきました。そんなWSデザイナーたちの対談です。

まずはB面活動からはじめてみる ―東芝グループの3人の場合
今回お話を伺ったのは、東芝グループの菱田さん、飯伏さん、麻野さん。「最強のチーム」という3人に、企画運営したワークショップのこと、3人いるからこそのメリットなどを聞きました。その言葉には、企業における、WSDの学びの活かし方のヒントがあふれています。

菱田里香 Hishida Rika 東芝デジタルソリューションズ株式会社
飯伏直美 Ibushi Naomi 株式会社 東芝(受講時、東芝デジタルソリューションズ株式会社)
麻野由侑子 Asano Yuko 東芝デジタルソリューションズ株式会社

(1) WSD受講の決め手は、3人それぞれに

「たまたま連続した別の期での受講になった」という菱田さん、飯伏さん、麻野さん。かつて同じ営業系の部署に在籍していたつながりもあって、ともにパートナー企業向けのワークショップを手掛ける関係性だったといいますが、受講の決め手はそれぞれにあったようです。

飯伏さん:WSDを知る前から、営業の一環として、パートナー企業同士の関係性構築・共創ビジネス推進を目的としたワークショップを手探りで始めてはいたんです。「パートナー企業同士をつないだ、エコシステムをつくりたい!」という個人的な思いから、菱田さん、麻野さんを巻き込んで。当時、すでにふたりとも異動されていたんですけれど(笑)。

ワークショップの効果の大きさを肌で感じるにつれて、きちんと学んでみたいという気持ちが強くなっていきました。そんなワークショップに対して感度が高くなっていたタイミングで、中学時代の同級生と社内にもいた修了生のふたりを通じて、WSDを知ったんです。直近の説明会に申し込み、そこで聞いた苅宿教授の話に、もう感銘を受けてしまって。すぐに受講を決めました。

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菱田さん:私は飯伏さんに声をかけてもらったこともありますが、人材開発を仕事としているなかで、研修企画の業務に活かせるではないかと考えたことも大きいです。個人的に、一方的な授業形式ではない、答えのない問いを共に考えるような研修に意義を感じていたんですね。自ら講師をするのではなくとも、WSDの学びが企画立案やブラッシュアップに役立つのではないかと考えました。

麻野さん:私も飯伏さんに声をかけてもらったことが、きっかけではありました。受講を決めた当時は営業からスタッフ部門に異動になっていたのですが、業務で新規事業開発をお手伝いする機会があったんです。そこでワークショップの持つポテンシャルを改めて感じて、私もWSDを受講してみようという気持ちになりました。

浅野さん

(2)B面活動としてはじめた、学生向けの体験型ワークショップ

「WSDの学びを活かしたい!」と声を上げた3人が得たのは、採用広報の一環としての、学生向け体験型ワークショップの企画運営という機会でした。とはいえ、あくまで業務とは別軸の“B面活動”として。それでも一回限りでなく、継続した活動となっていることに、会社側の評価を感じます。

飯伏さん: 2021年度入社の学生向けとして、3時間の対面ワークショップを3回開催。2022年度入社向けでは、2時間のオンライン版へとバージョンアップして、計6回開催しました。また、新入社員向けに不安払しょくなどを目的とした「先輩ダイアローグCafé」も数回開催しています。

菱田さん:もちろん3人だけで回すことはできないので、支援者も巻き込んでの開催です。もともと社内の研修メニューに「ファシリテーション研修」があるのですが、今は、その講座を受けた社員でコミュニティをつくり、“この指とまれ”方式でお手伝いを募集。大体20人くらいが手を挙げてくれる状態になってきました。

飯伏さん:ワークショップでは参加者にアンケートをとっていますが、毎回、驚くほど高い満足度を得られています。とくに学生向けでは、その後の採用ステップでも参加者により強い積極性が見られたり、実際に入社に結び付いた方もいたりと、数字だけではない手ごたえを感じています。

(3)得意とすることが違う3人だからこそ、最強のチームになる

すでに東芝グループには10人弱のワークショップデザイナーがいると言いますが、ともに活動する3人は、まさに「最強のチーム」。WSDで理論と実践を学んだからこそ、同じ目線で、お互いの強みを生かしながらワークショップを行うことができているそうです。

飯伏さん:ふたりに「この言葉は学生に伝わるかな」とか、細かいところまで相談しながらワークショップを企画できるのは、とても心強いです。私はどちらかというと勢いで突っ走ってしまうタイプなのですが、数字も得意な麻野さんが細かくキレイに整えてくれて、菱田さんは人材部門ならではのネットワークで社内的なやりとりも引き受けてくれています。

菱田さん:2021年4月に飯伏さんが別会社に異動になったので、少しずつ形は変わっていくかとは思いますが、3人いるからこそやってこられたし、これからも続けていけるとは思っていますね。

麻野さん:私も、そう思います。

(4)ワークショップデザイナーの存在がもたらす組織の変化や可能性

3人で行ってきた学生や新入社員向けのワークショップは、本業の業務とは別のB面活動だったといいますが、それでも着実に、業務や組織への影響力は広がってきているようです。

菱田さん:おかげさまで採用・人事周りでは、ワークショップの有効性が認知されてきていると感じます。「ワークショップをやるにはどうしたらいいか?」といった相談を受けることも増えてきました。私たち3人がやってきたワークショップの本質的な成果は、活躍人材が入社するとか、新入社員の不安が払しょくされるとかではあるんですが、運営側の支援メンバーが一枚岩になる、部門を超えたつながりが生まれるといった副産物もあるんですね。私としては、こうしたことがうれしいですし、小さいながらも意味のあることだと考えています。

麻野さん:私は業務上、いろいろな部門と連携する必要性があるのですが、ワークショップデザイナーとしてのスキルはそんな場面でも活かされていると感じます。やはりWSDで協働の大変さとそこから生まれるものの大きさを体験できたことは大きかったですね。自分とは違う文化を持つ相手のことを思いやって、言葉を選んで、ひとつのものを共につくるからこそ生まれるものがあるというか。それは社内においても全く同じで。まさに、多様な部門の協働を生み出すことにつながっていると感じます。今は、グラフィックファシリテーターとして、新規技術を考えるミーティングの場づくりなども請け負うようにもなってきました。

飯伏さん:多様性のなかでの協働ということでいうと、東芝グループ全体が目指すところとも一致しているように感じています。「人と、地球の、明日のために。」をグループ共通の経営理念として掲げてきた会社ですから、多様なお客様と協働しながら、明日のためのビジネスをどう創っていくのか。私自身、東芝グループ各社で行うワークショップなどを支援する部署に異動になったこともあり、本業の業務としてもワークショップデザイナーとしての力を発揮していければと思っています。

規模の大きい会社でワークショップ“活動”を継続していくことは、想像以上に大変なことだったと思います。輪は確実に広がっているようですし、今後も続けていってほしいという気持ちでいっぱいです! りかさん、いぶちゃん、ゆうちゃん、ありがとうございました!


■麻野さんの「グラフィックファシリテーター」としての活躍はこちらから

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