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手仕事から生まれるオイシイお話。

11月3日、秋の青空が心地よい日。
練馬春日町の“なんかいいコンビニ”「コンビニエンスストア髙橋」さんにお誘いいただき、
埼玉県小川町で不耕起農法を実践するsou farmさんの畑を訪ねました。
「3日に畑に行くからよかったら一緒に」との誘いに二つ返事で答えたものの、一体何が行われるのか知らぬまま向かったこの日、思いがけず充ち満ちた時間を過ごすこととなりました。

朝、髙橋さんのお店に集合し、パン生地と道具をいくつか車に積み込んで出発します。
後部座席でパン生地と共に揺られながら、どうやら今日は、sou farmさんの畑で建てたアースオーブンでパンを焼く日らしいということが分かってきました。
東京から小1時間で、練馬の住宅街から一転、なだらかに緑が広がる穏やかな町に到着です。

木々に囲まれ、足元には様々な植物が生い茂るsou farmさんの畑。
その一角で、アースオーブンがメラメラと燃える火を抱え準備万端で佇んでいます。
このオーブン、なんと畑の粘土質な土で建てたのだとか。
畑から生まれたアースオーブン、胸が高まります。

「店のオーブン以上の温度がある」と、手をかざして温まり具合を確認する髙橋さん。日々のパン焼きで培われた感覚を頼りに、早速パン焼きスタートです。

お店から持ってきたパン生地を分割し、成形していきます。
この生地も、sou farmさんの畑でとれた小麦・農林61号100%です。
パン生地って可愛いですよね。

今回はカンパーニュとピタパンの2種類。ピタパンから窯入れしていきます。

平たい生地に火が入り、数分の内に膨らんでいきます。
生地がぷくっとと持ち上がっていく様子がなんとも愛おしい。
次から次へと焼き上がり、ちょうどお昼の時間になりました。

この日は、sou farmさんの畑で開催されるUNFARMの日。
集まった皆さんと一緒に、髙橋さんのピタパンとダルカレー、畑からとりたてのお野菜のお昼ご飯をいただきます。
上にトッピングした野菜について、
「うちの野菜は背丈は伸びないけれど、日を追うごとに肉付き良く逞しくなっていくんです。」
とsou farmの大地さん。
その言葉の通り、香りが高く食べ応えがあり、少量でも圧倒的な存在感を放っています。

ピタパンを焼いているうちに温度が下がってしまった窯に、再度火入れをしてお次はカンパーニュを。
今度は窯の入り口をレンガで密閉します。
煉瓦の隙間から蒸気が出始め、蒸気の香りが少しづつ穀物の香りに変化していく様子に期待が膨らみます。
中の様子が見えないため、感覚で焼き上がりを待ち満を辞して蓋をオープン。

窯から綺麗にクープが入ったパンが姿を表しました。
火入れ後、窯の温度がどれぐらい上がっているかと気にかけていた髙橋さんですが、ピタパンに続き見事にパンを焼き上げる姿にカッコいいなあと思うばかりでした。
いつもと違う小麦に初めてのアースオーブンで、ささっとおいしいパンを焼き上げてしまう技術に感服です。

カンパーニュはみんなの手土産に、チーム髙橋とともにこれにて撤収。
この1日で、農とパンづくりの相似と、畑を軸に生まれる社会の豊かさについて体感することができました。

農とパンづくりについて


農家さんとパン屋さんは一見全く異なる職業のように感じますが、両者とも手から“美味しい”を生み出す職人であり、通ずるものも多いように思います。
常在菌の話だったり、手の感覚を頼りにした畑やパンとの向き合い方だったり。
今回は、そんな手仕事のタッグによりここだけの美味しいが生まれました。
お金を払って食事をするだけでは得ることのできない、唯一無二の美味しいでした。
それぞれに単独でも魅力のある作り手が混じり合うことで生まれるものを、 GOOD BREAD MARKETを通じて模索していきたいところです。

畑のある社会

みんなで畑作業をして、畑でとれたものでお昼ご飯をともにし、
あちらこちらで新しい出会いや会話が生まれたこの日。
全く接点のない人々をつなげる力、新しいコミュニティや社会を作り出す力が畑にあると感じました。
小麦も窯も野菜も、人の繋がりさえも生み出す大きな力が、畑や農にあります。
農を考えることは社会を考えること。
日々の食事から少しづつ、農のこと、暮らし方、豊かさを考えていきたいですね。

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