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ヒトとヒト、ヒトと地球を繋ぐ【上野長一】


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8月22日、お米の稲穂が美しく靡く頃に上野長一さんの畑を訪ねました。
とりどりのお米が混じり合い風に揺られている田んぼは、言い知れぬ魅力をたたえています。

約60種類のお米を混植して育てる「いろいろ米」と、農林61号、ライ麦を農薬・化学肥料不使用で栽培する上野さん。彼の百姓人生はまさに波瀾万丈、その力強さに驚かされました。

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農家の長男に生まれ、家業を継ぐべく農業高校に進学。卒業後はトマトやキュウリの栽培をしていましたが、オイルショックによる資材の価格高騰により経営の変革に迫られ、自分探しの旅を始めた上野さん。この旅が、上野さんの百姓人生に大きな転換をもたらすことに。

自然農との出会い、原爆米との出会い、ライ麦の栽培を始めるきっかけとなったルヴァンの甲田さんとの出会い。減反政策や農薬の空散が施される中、反対・拒否を唱え「自然農」の道を歩み始めたと言います。

初めはわずか10種類程度だったというお米の種も、珍しい種、旧い種がある度に分けてもらい現在は約600種類に。田んぼに混植して「いろいろ米」として栽培するほか、毎年少量づつ種取り用でも栽培し、種子更新をおこなっています。

今や知る人ぞ知るお米と小麦の巨匠。全国の飲食店や絶品のパンを焼く職人の方々が彼のお米や小麦を使っています。

「人の縁に助けられてばかりです。種を集めていなかったらどうなっていたのか。」

と上野さん。種集めの営みはもとより、彼の人柄がもたらした縁も多かったのではないかと思います。

↓ 種取り用の様々なお米たち

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今でこそ有機栽培や環境負荷の考慮が浸透しつつありますが、上野さんは、そうした理解がほとんどなかった時代から人間中心的な営みに異議を唱へ、今日に渡って農業を通して実践し続けてきました。

減反政策を拒否することで周囲からの非難や陰口もあったのだそう。そんな同調圧力にも屈することなく自分の信念を貫いてきた、その力強さに驚くと共に心を強く揺すぶられます。伝統的な生業や古くからの知識の蓄積が失われつつある今日、これからの社会のあり方とどう向き合っていくのか、改めて考えさせられました。

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「人生に迷うことは誰しもあることですが、とにかく動くしかないと思うんですね。何でもかんでもやってみるうちに道は開けてきますし。」

上野さん自身が、そうして歩んできたのでしょう。どんな謳い文句にも叶わない説得力のある言葉の数々です。

田んぼを始まりの地に、虫や鳥、植物、様々な生命とつながり、その豊かさを社会に繋ぐ。そんな上野さんの世界に出会うことができたご縁に感謝し、マーケットの場からまた豊かさの糸を紡いで行きたいと思います。

美味しい幸せに、知る幸せ。今週もマーケットには食の幸せが集います。

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上野さんの「いろいろ米」。10/8&10/9のマーケットにて数量限定販売です。

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