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「見える子ちゃん」エントリーNO.2

この「見える子ちゃん」とは、一番長く同じ病棟で勤務していました。
彼女は今でも病院で働いていますが、時々亡くなった患者さんが、家についてくるので困ると言っています。

◆どっちの病棟で・・

私たちが、別々の病棟に勤務しているときのお話です。

病棟が上下の階だったので、忙しい日はお互い協力して仕事をしていました。

そんな二人は、自分の担当している病棟で亡くなった人がいると、頭痛がするという何とも奇妙な現象がありました。

朝更衣室で会ったとき、共に頭痛がしてきたときは「どっちが痛みが強いかで5段階で言うと・・」なんて話して、亡くなった人がいる病棟がどちらか当てることができていました。

私は、見える人ではないので、見えませ~ん。

◆倉庫に入っていったのは誰?

倉庫前でふたりでシーツをたたんでいた時のお話です。

突然見える子が言い出したのです。
「ねぇ、今男の人が倉庫に入って行ったんやけど、一緒に見に行って」

ふたりで見に行きましたが当然人の姿はありません。

しかも、消えたという扉の後ろはロッカーがあるだけです。
一応ロッカーの中も見ましたが狭すぎて人なんて入れません。

倉庫は、患者が勝手に入っていい場所ではないし、他に出入り口はありません。

私は、見える人ではないので、見えませ~ん。

◆倉庫の棚から見てるのは・・

見える子ちゃんは、夜間勤務もしています。

この病棟には仮眠室がないので、倉庫に簡易ベッドを置いて交代で仮眠を取るのです。

昼間は、その倉庫で入浴介助のときの着替えもしているのでみんなが利用していました。

見える子は、昼間は何ともないのですが、夜仮眠を取るために倉庫に行くと、いく段もある棚の一つに「○○さんがいつも寝てるねん」と毎回言います。

○○さんは、数か月前にこの病棟で亡くなった、かわいい小柄なおばぁちゃんです。

「○○さん、かわいいからええんやけど、さすがにじーと見られてると寝にくいわぁ」

え~~~ええんかいな!

彼女は今は別の病棟で働いていますが、○○さんはどうしたんでしょうね?

彼女の今の病棟では、見かけないそうです。
今でも、棚の隙間から誰かを見てるのでしょうか?

私は、見える人ではないので、見えませ~ん。






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