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原風景と初めての体験

自然環境リテラシー学 山コース第一回 6/11-12

1日目

午前9時10分、マリーナ河芸着。大量の荷物を担いできたせいで肩が痛い。天気はあいにくの曇り、これから雨になる予報。決して晴れやかな気分とは言えない状況ですが、自然環境リテラシー学第一回目の実習が始まりました。

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今回の一泊二日の実習は主にシーカヤックに乗り、基本的な漕ぎ方やレスキューの仕方などを学びます。シーカヤックに乗るのは僕を含め、初めての人がほとんどでした。うまく漕げるのか、はたまた落ちないか、など不安なことも多くありました。しかし、楽しみな気持ちのほうが大きかったです。

午前はガイダンスやテント立てをして、午後からはシーカヤック実習です。

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今回初めて知ったことなのですが、カヤックに乗る際にスプレースカートというものを付けます。下の写真にある、足のところで垂れているものがそれです。これはカヤックのコックピット内に水が入らないようにするためのものです。

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さて、スプレースカートも装着し、パドルの使い方などの説明も受けたのでいよいよ実際にシーカヤックに乗ります。しかし正直なところ、少し説明を受けただけでもう乗ってしまうんだと思いました。例えば自転車でも最初は補助輪をつけるじゃないですか。少し不安もありますが、どうカヤックに乗り込み、漕ぎ出すかをイメージしながら順番を待ちます。

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と、ここで少し事件が…

僕の1つ前の人がカヤックに乗った瞬間に転覆したんです。急にドボンと大きな音がしてびっくりしました。幸いその人はすぐ水面に顔を出して無事でしたが。

カヤックをはじめ、パドリングスポーツを行う際にはこのような時のために備え、PFDという救命胴衣を付けます。これを付けていれば浮いてくれるので溺れる心配はないです。また保温性、耐衝撃性に加え視認性にも優れています。僕の装着していたPFDは青色で、海の色と同じじゃん!と思ったのですが青は海の中では異質な色でよく目立つそうです。


話を戻して、前の人が転覆したんです。しかもカヤックがひっくり返ってから数秒間、水の中でその人がどうなっているのか分からない状態を見てしまったんです… 

そりゃあ怖くなりますよね。

先輩やインストラクターの方は何とかその場を明るくしようと「大丈夫、大丈夫!」とか「よし行こう!」とか笑って話してくれましたが、当然そのテンションにはついていけず、顔がこわばったままカヤックに乗ることになりました。

どのように乗るかというと陸に沿わせてカヤックを浮かべておき、うつぶせになり、まず上半身を乗せます。次に体を回転させてコックピット内に足を入れます。片手を地面につけて抑えながら慎重に乗り込みます。カヤックの前と後ろを抑えてもらっているとはいえど、結構揺れます。それでも何とか乗り込むことができました。

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僕もよほど不安そうな顔をしていたんだと思います。先輩たちにとても心配されながら漕ぎ出しました。最初はパドルで水を掻いだり少しでも体を動かしたらバランスを崩しそうでヒヤヒヤしましたが、しばらくしたら慣れることができました。むしろカヤックを漕いで進んでいるほうが安定していました。また止まっているときでも、落ちるかもしれないと変に力を入れずにいれば安定して浮いていることができました。

カヤックに乗ることに慣れてくると水上を自由に動けることが楽しくなってきました。また同じ例ですが、初めて自転車に乗れるようになったとき、自由にあちこち走り回れて楽しかったじゃないですか。それと同じことが水の上でもできるようになった感覚です。

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この日は海が少し荒れていたため、港内を一周回ることしかできませんでしたがとても良い経験になりました。

夜はテント泊です。テントで一人で寝ることも初めての経験でした。その中では雨がテントの布をたたく音と波の音が聞こえていました。ドイツ語の先生が雨の音は赤ちゃんがおなかの中で聞く羊水の音に似ているという話をしていましたが、とても落ち着く音でした。夜が深まると、6月ですが思っていたよりも気温が下がり、厚めの寝袋を用意しておいてよかったと思いました。明日は海に落ちるそうです。


2日目

今日も海が荒れていたため、当初の予定を変更して港内でグループレスキューの練習を行いました。一人の人が転覆して、もう一人の人が救助するというものです。ちなみにカヤックでは転覆することを「沈する」というそうです。

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説明を受け、一通りの流れは理解したのですが、頭の中でイメージしようとしても海に落ちてから水面に顔を出すまでがどんな感じになるのか全く想像できず、少し怖かったです。しかも沈したときにスプレースカートを外さないとカヤックから出ることができないので、うまく外れなかったらどうしようという不安もありました。まぁでも、最悪暴れれば外れるそうです。

あまり怖がっていても仕方がないので、実際にやってみます。ペアの人が先に落ちたいと言ったので僕はまず救助する側です。しかし本当は僕が先にやりたかったです。後になると恐怖感が増しそうなので。

この日は晴れていましたが風が強く、何もしないとすぐカヤックが流されてしまいます。カヤックにはヨットのように風を大きく受ける部分がないにもかかわらず、こんなに流されてしまうんだと思いました。それでも漕ぎ始めるとしっかり進むことができました。

救助するときには沈した人のパドルを受け取り、二人で協力して転覆したカヤックを元に戻すのですが、これにだいぶ手間取りました。カヤックを思ったところに移動させるために、パドルを上手く使う必要があり、その微調整が難しかったです。また、自分自身のカヤックのバランスもとらなければならないので、意識することが多く大変でした。

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次は役割を交代します。一番心配していたカヤックから出て水面に顔を出すことはできたのですが、服やPFDを付けている状態で海に入ることは初めてだったので思っていたほど体が浮かず焦りました。しかし無理に浮こうとせずPFDの浮力に身を任せたら少し落ち着くことができました。

そこからカヤックを元に戻しペアの人に船体を抑えてもらいながら再びカヤックに乗り込みます。これは1つ1つの動作を確実に行えばうまくやることができました。声掛けをしっかりするよう意識していたこともあり、落ち着いてできたので良かったです。

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最後に

この二日間、自然がとても近くにある状況で過ごしました。家に帰った時に強く感じたのですが、とても楽しかったです。子供のころ自然の中で夢中になって遊んでいた感覚を少し思い出して懐かしかったです。今はこのような体験をすることは、なかなかないのでとても貴重でした。

しかし同時に自然に振り回された二日間でもありました。予定では港の外に出てツーリングをする予定でしたが、できませんでした。また、セルフレスキューの練習も行うはずでした。身の安全を第一に考えなければならないので、好きなようにはできないのです。今回できなかったことはまた次の機会にチャレンジできたらいいなと思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございました!






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