ボクのある日の出来事②

ボクのある日の出来事。
東海道 グリーン車。
車窓から夏の終わりの海が見える。
とても綺麗で切ない。
周りは旅行客。後ろは中年のカップルだ。
二人ともスーツ姿なので仕事帰りかと思ったが、聞こえる会話から何処かの温泉地に遊びに行った帰りのようだ。
弾んでいた会話も今は静かだ。

「空、山、海、星、月・・・」
「想い と 夢 は一緒なの」
女は哲学的に話すが、
男は「違うだろ」と。
少し面倒臭そうに応えた男に苛立ったのか、
女は
「あなた言ったわよね。9月になったら連れていってくれるって。でも、連絡もなかったから、「あ～、そんな人なんだ」と思ったの。」

「だから、昨日の晩も話したじゃないか、仕事が忙しくて」
やや困った男に、
「信じられない。もう、いい。」と女は拗ねてしまった。

停車した電車から手ぶらの男だけが降りる。
男はホームから困った顔で手を振りながら女を見送っていた。

電車は静かに動き出す。
ホームを見つめる僕の頭の中であの曲が流れた。

今年も海へ行くって
いっぱい映画を観るって
約束したじゃない
あなた約束したじゃない

by 沢田知可子 「会いたい」

約束は守ろう🎵