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「隣人が気持ち悪い」第5話 小説


証拠を集める方法とは。騒音測定器が必要だ。スマホアプリだとストレージに問題があるし、いろいろ騒音事例を調べてみたところ証拠としては不十分とされるらしい。私が求めている騒音測定器は、アマゾンで中国製品の安価なものばかりで機能性は悪いだろう。そういうものではない。まず、長時間録音可能なもの。日本製で精度の高いもの。三十デシベル以上のささやかな音ですら録音できるもの。そして日時や時間が記録できること。あと、音の解析ができること。こちらの音も録音されるのだから判別できる方がいい。
そして、いろいろ探し回っていると、目当てのものが見つかった。騒音センサーだ。条件全てに当てはまる。ただ高額なだけではなく性能もよさそうだ。高額と言ってもこの手のものは更に高い商品が多くあるので、それに比べたら安い方だ。効果が期待できそうな品に出会えた。これを二十四時間数か月単位で記録することで、確実に証拠が手に入る。そしたら民事調停をして慰謝料の請求ができる。このお金でハウスクリーニング代と騒音機代と引っ越しにかかるすべての費用を賄う代わりに今のアパートから退去すれば隣人との交渉材料にも使える。

嫌がらせが悪質であると判断された場合、つまり受忍限度を超えた場合は慰謝料が三十万から三百万の範囲で手に入る。私は短期間のうちに薬を倍以上に増やされており、鮮明に書き続けた記録もある。そして、証拠が多く集まれば、隣人を社会的に抹殺できるのだ。むしろどんどん嫌がらせの音を出してくれと言いたくなるほどだ。たとえ静かになっても引っ越さなければいいだけで私に損失はない。人間てのは大抵時間が経つとまた同じことを繰り返す生き物だ。それを狙っている。いよいよ仕返しの時が来たようだ

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