鳥の声を聞いて、梨木香歩さんを読む午後
雨上がりの今日は、外から鳥の声が良く聞こえてくる。
「キーーー。キーーー。」「キー。キー。キー」と2羽が掛け合っている様子。もう15分以上同じ場所でやりあっている。
声だけで何の鳥なのか分かるといいなぁとは思っているのだけれど、私で判別できるのは、雀やカラス、ハト、あとは特徴的に鳴いてくれるホトトギスやカッコウぐらいだろうか。残念だなぁ。
そういえば先日読んだ梨木香歩さんの本にもたくさん鳥が登場していた。
「炉辺の風おと」という一冊には、ご自身の八ヶ岳の山荘を訪れる鳥たちの事が書かれている。
キビタキ、キクイタダキ、ゴジュウカラ。なじみのコガラやヒガラ。
見開き1ページの本文を読む間に、たくさんの鳥の名前が次々と出てくる。梨木さんは、それぞれの姿を見てそれが何かと言い当てる。そればかりか、前の年に生まれた幼鳥ではなさそうだと検討をつけられる。
登場するのは鳥ばかりではない。
その本の中には、ダケカンパ、ウラジロモミ、カラマツ…。たくさんの木々の名前と植物たち。リスなどの小動物も。
自然への洞察がすばらしいので、本を読み進むうちに、森の奥の霧深い場所にポツンと佇む山荘を勝手に妄想し、緑のグラデーションが靄に消えていく様子や湿気た葉の匂いまで漂ってくる。
梨木さんの著書を読むといつも”知りたい”熱が高まるので、読みながら都度手を止めて、携帯で画像検索している私がいる。
「家守綺譚」という小説では、まるで人格をもったような魅惑的な植物達が、読み手を夢と現の境に連れていく。その世界は凛と静かで、想像の船に乗っているのがいつも心地よく感じられる。
それもこれも、梨木さんの自然界への豊富な知識と、その対象物をとっても近い距離でとらえられる視点のせいなのかなと思っている。
私も、いつか鳥や植物達の名前がすっと出てくるようになりたいなぁ、とほのかに憧れている。
さて、さっぱりわからない今朝の鳥の名前はなんだろう。
すぐネットに頼ってしまうけれど、便利なサイトがあるのを知っている。
季節や、場所、鳴き声のリズムなどから該当しそうな鳥の候補をいくつか示してくれるもので、あのサントリーが愛鳥活動の一環として運用している。
山梨の「白州」の森を何度か訪れたことがあるけれど、この企業精神は素晴らしいなぁと思う。
さて、再び。
「キーーー。キーーー。」「キー。キー。キー」
これを条件で検索し一番近いのは「ヒヨドリ」みたいでした。
確かに、近くの緑道でよく見かけます。
この子の声だったんだな。
知りたい欲はひとつクリアされたところで、もう一度梨木さんの本を開く午後です。
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