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一雨来そうだね

人は雨が降る気配を感じることがある。

空の雲の色と流れ、空気に混じる匂いなどで、
不思議と敏感にその気配を察知する。

そんな一雨きそうなとき、
傘を用意するか、外に出ないようにするかの準備を整える。

女にも一雨きそうな時がある。
その雰囲気は、
男を見つめる眼差しや、その仕草などによって、
感じ取られてしまいがち。

愛する男の優しい言葉や、さりげない配慮に、
女の心の中はみるみるうちに雨雲が立ちこめ、
涙腺はうるうると緩み始めてしまう。

一雨きそうだね。
それも激しい雨が。

耐えきれずこぼれた涙をすくうように、
男が目尻にくちづけをし、女はさらに涙をこぼす。

そして、その後、
愛する男の激しい愛撫や、容赦のない抱擁に、
涙目と嗚咽と夥しい飛沫にまみれ、
女の体はみるみるうちに豪雨となり洪水を引き起こす。

一雨が過ぎた後、
その雨が激しいほど、青空が広がり、虹がかかり、
眩しい太陽が差し込んで、空気もすがすがしくなるように、

女の心と体にとっても、
一雨はとっても大切な潤いをもたらすもの。

だから私はあなたの雨の気配を、
逃さずに、その後の豪雨の支度を整える。

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