自然の恵み

あなたを抱くと、
どうしてこんなに気持ちよいのだろう。
どうしてこんなに満たされるのだろう。

それは空腹のときに、
吟味された食材をふんだんに使い、
丁寧に手をかけて作られた料理を食したような
満足感と幸福感に似て、

そうあなたの体は、
瑞々しい豊かな水と
あたたかな太陽の光に恵まれて
育った野菜と同じ。


人間の体の半分以上が水分だという。

あなたの体の中にある水は、
育ってきた環境とそして育ててくれた両親の愛情、
さらに成長過程において磨かれた感性、
雨や嵐や害虫のような幾度もの試練にも耐えてきた力のおかげで
たっぷりと慈愛という栄養分に満たされている。

あなたを抱くことはその全てをこの体内に取り込むこと。
だから私は幸福な気持ちになるのだろう。

あなたが浴びてきた太陽も、あなたが濡れてきた雨も、
そのまま私はこの裸体全身に浴びることが出来る喜び。

野菜を食べるのはその産地の水を食するのと同じで、
その土地の栄養を体内に取り込み、
それがこの体の栄養となり、豊かな精神も育む。

あなたを食べるのも同様。
あなたのこれまでのすべてを。

その時のあなたの顔は、
太陽のような笑顔や、嵐のような激しさや、
とびちる汗も、愛液も、自然の恵みそのもの。

自然のあるがままに、

あなたを、
いただきます。