見出し画像

まぶしい存在

仰向けに寝そべって
天井の照明がまぶしく、
だから目を閉じても、
まぶたを通して明るさは伝わり、
何も見えないけれども、真っ暗になったわけではない。
むしろかえって
照明のまぶしさが強調されてしまう。

恋は盲目というけれど、
まさにそんな感覚で、
何も見えなくなっているというのに、
そのまぶしさは目を閉じても目を焦がす。

あなたの指先が私の太腿にふれた瞬間に、
目を閉じているからなおさらその感触は刺激的で、
私の股間を掴んでくれると、
そこに全ての感覚を集中し
あなたの唇を待ち受ける。

あなたの吐息が、
その唇が近づいていることがよくわかり、
あなたの口の中に取り込まれて行くにつれ、
私の体から力が抜けていく。

目を閉じて体の力を抜いて、
あなたがくれる快感の波に身を任せていると、
まぶた越しに伝わるあなたの存在は
さらにまぶしさを増す。

長い奉仕に身を任せた後、
あなたの唇が離れ、
あなたの指先が今度は私の胸を這って、
私の顔に近づいてくるのがわかる。

あなたの舌もそれについてくるように、
ついには私の唇に近づいてくる。

するとどうだろう。

まぶた越しの照明のまぶしさが消えて、
私の視界は日蝕のように一気に真っ暗となり、
あなたの熱い吐息とともに私の唇が塞がれたことを感じる。

あなたの顔が私の顔の上に覆い被さり、
私は全ての光を失う。

真っ暗の中で、
ひたすらあなたの唇の感触を味わっている。

やがて目を開けた時、
すぐ目の前に、
私はさきほどのまでの照明など比較にならないほどの、
まぶしいあなたの顔が現れる。

天井の照明を背にして逆光のはずなのに、

ああ、まぶしすぎて目がくらむ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?