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二人の痕味

あなたの肌はとっても白く、
私の指が触れた場所、
私のくちづけた場所が、
簡単に痕になって残ってしまう。

だから私はますます、
あなたの体にもっと痕を残したいと、
いつも、
指先を立てて強く抱きしめて、
首筋にも深くくちづけをしてしまう。

しかし、あなたの体の赤い痕は、
時間が経つと消えてしまう。
だからあなたはまた自分の体に痕を付けてと、
私に会うとその白い肌を私に委ねてくる。


あなたの心もとっても白いから、
私と過ごすひとときを、
大切に想い出に残してくれる。

一緒に訪れた場所、
一緒に食べた食事、
一緒に見た映画、
そしてその時々の情交の場面まで。

そしてそれはあなたの肌についた痕と違って、
あなたの心から消えることは無いのだが、
その想い出が増えるに連れて、
あなたの白い心がさらに広くなって、
もっとたくさん想い出が欲しいとわがままになる。

肌の痕がついては消えるたびに、
深く心に刻まれていき、
心に痕を付ける白い場所は、
いくらでも頁を増やせるスタンプ帳のように、
どんどん広くなっていく。

二人の肌と心に残る、
とっても美味しい痕味。

だからもっとたくさん抱いてあげたくて、
だからもっといろんな想い出を作りたくなる。

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