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2020年目標/『西への出口』(新潮クレスト・ブックス)

2020年になりました。
今年は、海外文学レーベル「新潮クレスト・ブックス」を読破することを目標に、1年間を過ごしていきたいと思います。
「新潮クレスト・ブックス」は、小説を中心にエッセイや自伝など、海外文学の名著を翻訳するシリーズで、装丁も美しく「良い作品」を生み出すという想いが溢れる、素晴らしいシリーズなのです。
公式サイト:https://www.shinchosha.co.jp/crest/

目標達成にむけて下記の条件もあわせて定めました。

(1)2019年12月末までに刊行されて、新潮社クレスト・ブックス公式ホームページに掲載されている106冊を対象とする
https://www.shinchosha.co.jp/crest/
(2)新刊で購入する
(3)なるべく街の本屋さんで購入する
(4)読んだ本の感想を書く

(4)の「感想を書く」が最も不安なので、感想とは言ってもひとことぐらいで続けていけたらいいなと思います。

『西への出口』 モーシン ハミッド (著), 藤井 光 (翻訳)
7冊目/106冊

パキスタン出身の作家が描く、内戦が激化する中東の街で出会った恋人たちの物語。故郷の街は武装組織に占拠されてしまい、二人はどこかに通じる「扉」を何度も通って、ギリシャのミコノス島からロンドン郊外、サンフランシスコへと移動しながら難民生活をすることに。
主として描かれているのは、難民生活の苦難や紛争の悲惨さではなく、あくまで二人の暮らしと関係性だけど、知らない人に囲まれて暮らすストレスや、寄るべのない心細さが、二人の関係をじわじわと蝕んでいくのが悲しい。少しずつ溝が深くなるなかで、精一杯お互いを思いやる努力をたやさない二人がとても優しくて悲しい。
二人の物語の間に時折脈絡なく挟まれる、どこかの誰かの暮らしの一節も含めて、いまの世界のあちこちを想像させる示唆的な作品でした。


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