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河本準一さんのYouTubeチャンネルがなかなか伸びない&今後も伸びそうにない理由をYouTubeライターが考えてみた

YouTubeライターの柊青葉です。

わたしは主にYouTubeネタをメインに書いているライターで、年間数百本のニュース記事を書き、YouTubeの面白さを日々紹介しています。仕事である以前に、YouTubeがそもそも好きで毎日数時間は見ている感じなのですが、そんななか私が注目しているのが「芸能人のYouTubeチャンネル」です。

昔ハマっていた芸人さんとかがチャンネルを開設していたりするので嬉しい反面、「これはチャンネル登録者数伸びないだろうな~…」とか「もうちょっとここを変えるとグッと人気出そうなのに……」とか、YouTube好きとして色々思うことも少なくないです。

最近それを強く感じているのが次長課長・河本準一さんの「河本じゅんちゃんねる」です。チャンネル開設は今年4月なのですが、あまり人気が出ずに9月18日に再スタート。直後にカジサックさんとのコラボ動画を公開して、急上昇ランキング入りするなど(若干)話題になりました。

https://www.youtube.com/watch?v=VV3mdXLAbRM&t

……なのですが、はやくも登録者数が伸び悩んでいるようで、筆者が見ている限り1週間ほど3.16~3.17万人で止まっています。(この記事を書き始めたのが先週8日でして、気づいたら16日になってたので改めて見たら3.22万人でした。だいたい1週間で500人くらいの増加ですね)

再生回数も下がっていて、最新の10本のうち4本が1万回再生未満、1万回再生台が5本で、著名な芸能人のYouTubeチャンネルとしてはやや物足りない数字です。もっと過去まで遡ると、カジサックさんとのコラボ動画が34万回、その次に出したオリラジ藤森さんの家についていく動画が24万回であることを考えると、激減と言って問題ない下がり方です。(数字は16日現在のものです)

正直、河本さん自身も焦ってるんじゃないかなーと思ったり思わなかったりなんですが(何様ですいません)、YouTubeライターとしては「まあ下がるよねー」「だって大きな問題点があるもんねー」という感想です。

すいません、マウント取りました。でもこれ、YouTube好きなら割と誰でも感じられる問題点だと思うんですよ……それくらいありがちなミスをおかしている。

ではその問題点はなにか? 簡単に言うと根幹は「テレビとYouTubeの根本的な違いを理解してないっぽい」というもので、具体的には以下の4つに分離できます。

①テレビ的な企画が多い(企画の強さに頼りすぎている)
②河本さん自身の良さが出ていない
③コラボ相手のチョイスが微妙
④(たぶん)河本さん自身がYouTubeをそこまで研究していない


順に見ていきましょう。

①テレビ的な企画が多い(企画の強さに頼りすぎている)

まず最初に、「河本じゅんちゃんねる」ではテレビ的な企画が多い印象です。例えばこれとか…

https://www.youtube.com/watch?v=yhIUljaenMY

https://www.youtube.com/watch?v=YXlQLcbIA2w

これとか。いずれもテレビではありそうな企画で、動画そのものも面白いんですが(※ここ重要)、そもそもYouTubeってのは「同じ企画を違う人がやる」ことを楽しむ風土があります。テレビのように新しい、独創的な企画を考えるのではなく、定番の企画をそれぞれのYouTuberがやって、その違いを味わう文化と言うのでしょうか。

実際、YouTubeで流行ったコンテンツと言えばウーバーイーツ、モーニングルーティン、高級車自慢、爆買いなどがあって、本当にめちゃくちゃたくさんの人がやっていますが、高い確率で再生回数を獲得しています。カップルYouTuberとか「生理ドッキリ」めちゃくちゃやってまして、『彼氏の神対応』が粗製乱造されています。でも、やっぱり伸びる。それくらい定番ネタというのはYouTubeでは強い。

※生理ドッキリについては寄稿記事がありますので良ければご覧ください。
「生理時の彼氏の神対応」 動画がカップルYouTuberの鉄板ネタな理由とは?
https://fumumu.net/169701/

実際、テレビっぽい企画でも、面白ければ長い目で見ていけば再生回数は増えていくものですし(YouTubeってストック型のプラットフォームなので当然と言えば当然ですが)、トップYouTuberの中には新しい企画を生んでいる人ももちろんいるんですが、とは言え、YouTubeではやく数字を残すには「定番ネタ」をしっかり行ない、かつ自分の色を出していくのが大事です。

これをクリアしているのがアンジャッシュ児嶋一哉さんで、チャンネル登録者数はすでに約68万人という多さです。歌ってみた、踊ってみた、地雷メイク……とか節操ないくらいYouTubeをしています! しかも、決して敬意を忘れずに、楽しみながらやってるのがいい。児嶋さんという人間そのものを良さをしっかり見せているスタッフさん、ガチでめっちゃ優秀だと思います!!

ちょっとテンション高くなってしまいましたが、簡単に言えば、YouTubeは新作落語ではなく古典落語なんです。


②河本さん自身の良さが出ていない

これは①ともかぶるんですが、YouTubeというのは「コンテンツの中身ではなく、YouTuber自身にファンがつく媒体」です。トップYouTuberのひとりであるヒカルさんは、よく「面白いかどうかより、出演者が楽しんでいるように見えるほうが大事」という趣旨の発言をしているんですが、これは本当に真理。

なぜかと言うと、YouTubeって個人のチャンネルだから、その人そのものが好きじゃないと何度も何度も、毎日のように見に来てはくれないんですよね。

上記のヒカルさんだと、破天荒で常識破りでビッグマウスな、それでいて兄弟や仲間を大切にする、ヒカルさんという人間そのものをファンは好きになっています。アンチは過去のVALU事件を今も指摘するでしょうけど、ヒカルさんはそういう失敗ですら糧に変えて、ダメなとこはダメだと反省したうえで自分を成長させようとしているので、ファンは余計に好きになるんですよね。

このように、ストーリーを共有し、考え方に触れ、今後の展望ですら共有し、ときには弱さや過ちすら見せて素直に認め、結果、その人自身を好きになる……というプロセスを、人気ユーチューバーはとても大事にしています。ストーリーの共有です。

その点、テレビはテレビ局側が用意した台本、世界観の中で役割を全うすることが求められるメディアであって、「その人自身の深いファンになる」ことって実はあまりないと思います。河本さんも、彼の面白さは誰もが認めるところでしょうが、人間性や人生観含めて好きな人はまだまだそこまで多くはないのではないでしょうか?

筆者は次長課長がブレイクした頃に多感な時期を過ごした年代であり、バラエティ番組やネタ番組で相当時間、河本さんを見てきたはずですが、イマイチどんな人なのか知らないです。たぶんそれくらいの感覚の人は少なくないはず……。

もちろん単独ライブにずっと足を運んでいる人もたくさんいるとは思いますが、YouTubeでは濃いファンの数が何万何十万人と求められるメディアであり、母数が大きくある必要がある。何万何十万人に自分をさらけ出し、魅力的な人間だと知ってもらう意識が大事なのです。


③コラボ相手のチョイスが微妙

これはほぼほぼ、とろサーモン久保田かずのぶさんに限定した話なんですが、ネットでのイメージを考えるともうちょっと先でも良かったのかな……という印象です。あと、単純に「藤森さんの家なら見てみたいけど久保田さんは…」って人も多いと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=uIqa-r86BVs


④(たぶん)河本さん自身がYouTubeをそこまで研究していない

YouTubeで勝つうえで「YouTubeをしっかり研究する」というのはめっちゃ重要なポイントです。

でも、みんなびっくりするくらいやんないんですよね。

これがもし飲食店を出すとかの話なら、立地や競合店の存在とか当たり前のように調べるだろうし、ラーメン屋出すならラーメン屋で修行すると思うんですが、あんまりリサーチも修行もなく始めてしまう。これは芸能人YouTuberに限った話ではなく、一般の方も同じです。みんな自分で動画を作るのは好きなのに、「今どんな動画が支持されて、どうすれば人気が出るのか」とかは考えない。

べつに趣味でやるだけなら全然いいと思うんですが、登録者数も再生数も欲しい人が大半だと思います。欲って最初からあるものじゃなく、やってくうちに出てくるモノだったりしますからね。

ですので、YouTubeでもとりあえず3ヶ月~半年程度はいろんな動画を見まくって、YouTubeならではの文脈やノリに体を思考をフィットさせていくのが必要だと思います。そして、実際に活動していく中でも日々色んな動画に触れる。実際、カジサックさんとかめちゃくちゃ研究してるんですよ。テレビの色も残してはいるんですけど、YouTubeという空間に最適化させてるから人気も出る。

さて、話がまた長くなりましたが、自分がなぜ河本さんに対して『YouTubeをそんなに見てないんだろうな…』と思ったかと言うと、下の動画です。

https://www.youtube.com/watch?v=SWcDhWwE970

この動画では自身の生い立ちからYouTubeへの思いを熱く語っているのですが、気になるのが「好きなことで生きていく」という発言です。この思いから芸人として頑張り、テレビを経て新天地としてYouTubeに来たという話をしてるんですが、YouTuberで「好きなことで生きていく」って今言ってる人っていないんですよね

ヒカキンさんやはじめしゃちょーさんがこのキャッチコピーとともにCMに出演した当時はYouTuberという職業が成立しているかしていないかの時期だったので、コピーにも価値があったワケですが、今は普通に生きてるし年収何億円とかの人もいる。つまり、好きなことで生きていくのは2020年の今ではもはや前提で、わざわざ言う必要もないことなんです。

(ちなみにですが、では今話して価値のあること、雰囲気を捉えているなって感じのことってなにかと言うと「HSPカミングアウト」「病気の告白」「セクシャルマイノリティの告白」などです。要するに、生きやすさとか自己承認とか少数派への配慮をうながす動画ですね。病気の告白は以前から数字がとれる鉄板コンテンツではありましたが、HSPは最近増えている気がします)

YouTubeに限らず、コンテンツというのは文脈とか世の中の雰囲気をいかに捉えるかが大事ですが、そのためには学習は欠かせません。

これは多くの芸能人YouTuberに通じる話でして、YouTubeのこと全然勉強してないとか、酷いときはYouTubeを小馬鹿にしている雰囲気が見え透いている人もいます。それでも熱心なファンは肯定的なコメントを残しますが、YouTubeにいる、テレビじゃなくてYouTubeばかり見ている層は見てくれません。動画がひとつ面白かったとしても、その人自身を好きになってないと簡単に見なくなります。

というわけで、河本さんのYouTubeチャンネルが伸びないと思う4つの理由でした。芸能人YouTuberの方は多少は参考になるのではないでしょうか。


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