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推理映画が難しい理由 「99.9-刑事専門弁護士 THE MOVIE」感想

年が明けました。継続して読んでくれる人がいるのかは知りませんが明けましておめでとうございます。今年は映画を週一本レビューできるように頑張ります!!
頑張れるのでしょうか?わかりません。

新年一発目の記念すべき作品は「99.9-刑事専門弁護士 THE MOVIE」です!人気ドラマ 99.9の映画化です。なぜこの映画を見たかって??理由は簡単、実家の母が松潤が好きだからです。

まず最初に僕なりに評価をしますと推理映画って成り立たないのではないだろうかといった感想になりました。それでは理由を含めて解説します。

1.なぜこの作品は人気なのか


このドラマ自体僕も見ていましたし、平均視聴率17.6%の人気ドラマです。なんと今回調べてわかったのですが企画はなんと花男などで有名な瀬戸口さんがプロデューサー。作品リストをみると僕ら20代前半が見てきた有名ドラマが並びます。
 あらすじは起訴されてしまえば99.9%の確率で有罪判決が出てしまう。それを松本潤扮する深山が真実をつきとめ無罪を勝ち取る。そういったわかりやすいストーリーになっています。
 この作品が人気な主な理由は誰でもわかりやすい題材に加えレギュラードラマとストーリードラマを折衷していることにあると思います。レギュラードラマは毎回変わることのない日常を描く作品です。サザエさんとかドラえもんなどがそれにあたり、特に前回の話における出来事がその後の展開に影響を与えないような作品をいいます。一方でストーリードラマは前の出来事が次の話に影響を与える作品でスターウォーズ、ドラマで言えばウォーキング・デッドがそれにあたります。レギュラードラマのいいところは長く続けられるところです。長寿ドラマはこれが多く、成長しないので年を取る必要がありません。カツオくん就活の巻がないのはこのためです。しかし弱点として作品自体の深みに欠けるというところがあります。サザエさんで勇気をもらいましたってならない。ドラえもんもしかりです。一方でストーリードラマは良い点として深みがあるところがあります。人に影響を与えやすくまたキャラクターと共に年を取れるので感情移入もしやすいです。しかし悪い点は一度失敗すると続編含めて評価がググっと落ちることです。詳しくはこの記事を御覧ください。

長くなりましたがこの99.9はこの2つの要素をうまい具合に混ぜています。一話一話はレギュラードラマのような事件の解決に終止していますが、全体としては深山の父が死刑囚であるがその無罪を証明したいというストーリードラマに向けての成長が描かれます。つまり一話完結でもあり、続編でもあるといういい意味でいいとこ取りに成功しているドラマだと思います。故に根強い人気があります。

2.今回の映画版はどうだったのか

今回の映画版としてはレギュラードラマがよかったはずです。一話完結がこのような映画には向いています。なぜなら成長してしまうと今後のドラマや映画製作が難しくなってしまうからです。しかし今回の映画版は先程いったようないいとこ取りをするあまり失敗している部分があるかと思います。

まず前日談のドラマで西島秀俊扮する弁護士が登場します。この弁護士は悪役のような立ち回りをするのですが、今回の映画では前半であっさり改心して深山の協力者としてなってしまいます。この展開が前日談にあたるスペシャルドラマでしか積み重なっていないためにこの協力関係への移行のカタルシスがあまりありません。また作品通して悪役としての存在感を発揮している鶴瓶師匠扮する検事も何故か改心してしまいます。この改心自体も理由がさしてないせいでストーリードラマとしての感情移入(怒りの感情を含めて)の軸がゆらぎます。そのためわざわざドラマの続き物として作ってしまったために良くない部分があったという感想です。次のシーズンがあるとしたらどうやって展開するのでしょうか?

3.推理映画としては駄作

ではこの映画を単話のストーリードラマとしてみた場合はどうかというとこれもなんとも言えない出来です。なによりも推理映画としては微妙かなと思います。推理映画の難しい点は犯人発見の伏線を観客に明らかにバレることなく、でも逆に印象に全く残っていないような形でなく提示するという点です。推理小説であればこれは容易とまでいきませんがまだできます。なぜなら文章は意味のない例えば背の高い男が本を読んでいた。とかを含めてもあまり目立たないからです。しかし映画はしっかりと確実に映すことが必要なのでこれが難しいです。
 今回の映画はこれが成功しているかというとはっきりいって大失敗していると思います。すべてのトリックが実はこうでしたという後出しジャンケンでてきているのです。そのため観客は推理することができない上に、そうだったのかというカタルシスがないのは確かです。
ただ推理ものの映画を見る限りこれに成功している作品は皆無といってもいいかもしれません。なので成功している作品あればぜひ教えて下さい。 

4.いい所もある。

散々悪いかのように評論しましたがはっきりいってこの評論は意味がありません。なぜなら僕のように映画として真剣にみている人が見る映画ではないからです。そういう意味ではドラマスペシャルとしての楽しみは十分ありました。笑えるシーンもあるし、キャラもここぞとばかりにオールスター。なによりレギュラードラマである側面のおかげでドラマ映画化にありがちな蛇足感はあまりないのもいいです。最初に小さな事件で山場を作るなど飽きさせない工夫も随所に見られました。つまり映画としていいかで見ない人、単純に深山の新しい事件解決が見たい人にとっては十分楽しめる作品です。

5.総評

今回の映画は映画作品としては微妙ですがドラマの視聴者としては十分楽しめる作りになっていると思います。え?金曜ロードショーでいいって?それにはなんの反論もできません。

長文読んでくれてありがとうございました。また来週お会いましょう。


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