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キープレフトし過ぎている車が前にいる


 昨日のこと。


 妹が今月引っ越すので、必要なものを少しずつ買い集めることに。とはいえ引っ越し先はど近所なので、急ぐ必要のあるものだけをピックアップし、細々したものはお手頃に買えるもので済ますことにした。

 家電はどこが安いとか、欲しい棚がどこにあるとか、お布団にはこういうのがいいだとか、こだわりも通しつつも予算の範囲内でやりくりしたいからと、あっちへこっちへ車を走らせ、目星をつけてきたり、この安さは今しかない!って思われるものは買ったりと大忙しだった。私の車は軽なので、入れられるものも容量も限られているのだけど、どうにかこうにか立体パズルの要領で、バックミラーが見えなくなるギリギリまで物を詰め込んだ。(セミロングの敷き布団が入るとは思わなかったよ…頑張ったなラパン…。)

 車を唸らせながら帰ってきたら午後4時を過ぎていた。朝ごはんも昼ごはんも食べずに走り回っていたので、とても疲れていたのとお腹が空いていたのとで気が抜けていた。そうこうしていると妹が先に冷蔵庫の野菜室を開けてきゅうりを取り出し、シンクで軽く洗ったら、端っこだけ切り落として、マヨネーズと七味唐辛子を混ぜたものを作って、つけてはポリポリ齧り出した。黙々と食べて終わり、もう一本同じように洗ってきては齧っていた。私も食べたくなって真似した。私はフレンチドレッシングを小皿に取り出してつけて食べた。野菜室で冷えたきゅうりはとてもハリがあって、パリッとしていて美味しかった。シャクシャクして、パリッと鳴らしながら齧る瞬間に弾けるような瑞々しさがクセになっていき、会話もせずに無心で食べていた。きゅうりってなんでこんな美味しいんだろうね。食べ方はものすごく雑で、全く上品さはなかったんだけど、なんとなく、きゅうりの新鮮さと、妹と奔走した一日はずっと覚えているような気がする。あの日はさ〜大変だったよね〜なんて言う日がいつかくるような気がするなって。

 夜は肩甲骨あたりに吸い玉を施してもらったら痛くて痛くて驚いた。これは修行なんや…と言い聞かせて目を閉じていた。出来上がった体には青黒い吸盤の跡がいくつか残った。(どこからどう見ても血の流れが滞ってる〜〜って感じ。血流は良くしないといけないね)ストレッチを念入りにやってから、寝る前に少しだけ読書をした。寝落ちしたと思うのだけど、本はきちんと閉じておいていた。賢い。

 そして今日、起きたらとても体が軽かった。嘘みたいに軽かった。あれだけ痛かったのに??私の体は単純過ぎやしないだろうか?とてもすっきりとした目覚めだった。

 昨日に引き続き外出し買い物をした。本をカバンに入れることを忘れていたのだけれど、道中の景色を眺めていると読む暇はなかった。紅葉が始まっているので、山々の至る所が黄味がかっているし、濃いオレンジや濃い赤も増えてきた。まばらに衣替えをしている木々たちをみて、紅葉しない木々たちはどう思っているのだろう。一つの山全部が紅葉したらどれだけ眩しいだろう。

 田舎だからこそ遠慮のない、自然の美しさが好きだ。どっしりと佇んでいる山々に囲まれながら、片側1車線しかない道路、それに沿うように川が流れていて、川の中から突き出ている岩に白鷺がとまっていて、時々雉も飛んでいく。親猿は小猿をおんぶしてガードレールに座っている。(可愛いけれどもね、怖いのよ猿)見慣れた景色でも発見はたくさんあって楽しい。

 (そういえば、小豆島にあるロープーウェイでは、紅葉が綺麗に見えるから行っておいでと誰かに勧められたことを思い出す。どこだったっけ。)

 そうして山を越えてからたどり着いた街で買い物を済ませた。柄でもなく派手な色のコートを古着屋で買った。満足である。

 日中、読書はできなかったから、夜は気が済むまでゆっくり読みたい。



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