310円の幸せ

最近下の部屋に住む人の騒音に少し悩んでいる。
今日もその音で起こされた。

昼から夕方にかけてギターの練習をしているのか何か音楽が聞こえてくる。

昼からなら良いのではないかと思うかもしれないが、春休みで昼夜が逆転している自分にとっては死活問題である。

とはいえ今日は昼過ぎから1時間ほど学校に用事があったため、起きてそのまま学校に向かう支度を整えた。

久しぶりに日中に外に出ると、以前よりだいぶ暖かくなっている事に気付く。

聴いている音楽を急いで春仕様のプレイリストに切り替え、晴れやかな気持ちで、いつもより早足で学校に向かった。

用事を終え、帰っている途中、パン屋が目に入る。

存在だけは確認していたがそれまで入ることの無かったパン屋。突然の春の訪れに気持ちが昂っている僕は、迷わず入ってみることに決めた。

それほど広くない店内にたくさんの種類のパンが並んでいた。もっと早く、入る勇気を出せば良かったと少しだけ後悔した。

家に帰り、選りすぐった3つのパンを食べる。たった310円でこんなに心を満たせるものがあったのかと感動を覚えた。

昼過ぎに用事を終わらせた達成感と満腹から眠気が襲ってくる。

窓を開けて、陽の光を浴びながら昼寝することにしよう。

下の階から聞こえてくる陽気な音楽が、心地よかった。