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フォロワー忍者村まとめ

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2024年2月の記事一覧

呪は毒にて〈◇朱楽〉

朱楽の恨み言話。
※嘔吐描写があります

▼お借りした方
江ヅさん
(お名前だけ)ちどめさん

 子は親を選んで生まれてくる。と誰かが言っていたような気がするが、俺はそう思わない。生まれて此の方、ただの一度も。親を選べるのならば誰もが幸福な家を選ぶに決まっている。温かくて美味い飯、そこそこ柔こい布団、優しい親、気の置けぬ友。全てを持った奴はそりゃめでたいだろう。俺には関係ない話だが。
 そう、関係

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灼花の呪い〈◇苛楽〉

苛楽の寿命がどうして短いのかという話。

※存在だけお借りしました
梔子ちゃん

 冷たく光る月が煌々と辺りを照らす晩。周囲に倒れ伏すのは商品を狙って襲ってきた盗賊一味の死体。どれもこれも殆ど四肢や首がもげた状態で血の海が広がっている。
「苛楽殿」
 手に持つ朱塗りの鉄扇をしまわず盗賊の生き残りがいないか一人一人の死体を確認していた時、若い女の声が自分の名を呼ぶ。その女はこの惨状を殆ど一人で作り出

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命を偲び、生命を寿ぐ〈◇刀〉

幼少期交流が許されたので勢いのまま書きました。朝火さんが生まれたばかりの子刀時代の話

▼お借りした方
(子)昼凪さん
(赤子)朝火さん
夜右衛門さん

 その日は義父の七兵衛に連れられ習いたての三味線を手に、彼の昔馴染みである夜右衛門の屋敷へと遊びに行った。刀が七兵衛について行ったのは自分と同じく芸事を嗜む昼凪に会いたかったのが主な理由である。元々潜入任務の教育の一環として七兵衛の指示で習わされ

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『刀』になった日〈◇刀〉

見習いが明けて初任務を受けた話。微妙にグロ、胸糞かもしれない。

 初めて人を斬ったのは十五の春だった。冬を終えたばかりで肌寒さが残る季節、あちらこちらで咲き始めた花の匂いが街道で微かに漂っていたことは今でも覚えている。しかしそれよりも濃く、強く残っているのはいつだって血の臭いで。
 べっとりと服についた生暖かい鮮血は戦闘ですっかり冷え、春先の風が吹けばふるりと身が震える。今し方斬り合いをしたくノ

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