ベーシックインカムの実現性について
10人の家族がいたとしよう。
もし彼らがそれぞれ、賃貸で一人暮らしをしていれば、毎月10万円のベーシックインカムを貰っても生活は出来ないと思う。
しかし、10人が一つの家で暮らして、二人ぐらい働けば、どうやら30~40万ぐらいで生活できそうじゃないか?
「ベーシックインカムは財源がない!」
とか言っているが、そもそも今の価値観がそれを阻害している。
簡単に言ってしまえば、資本主義はこれまでの集団を破壊して、世の中を生きにくくしているということだ。
順番に話していこうと思う。
ちなみにここでは計算しやすいようにベーシックインカムは1人10万円で話を進めるが、
「一人10万円は多い! 7万が妥当!」
「真面目に働いている人が馬鹿みたいだ!」
という話じゃないことぐらいはわかるよね。
1.敵は資本主義と利益のための共同幻想
「実家を出て一人暮らしをしなさい。じゃないと一人前じゃないよ」
そんなファンタジーを信じて、兄弟それぞれが独立した結果、
家賃はそれぞれに掛かり、
冷蔵庫も、車も、テレビも一人一台になってしまった。
それは「一人前」のためじゃなく、利益を出したい企業のためだ。
電気、ガス、水道だってそうだ。
広い部屋で明かりをつけて、1人と10人で金額に差は出るのだろうか?
結果として、実家で暮らしていればいいものを、それぞれが毎月「ただ生きをして暮らすために数万~十数万の金」を払っている。
そういう企業の陰謀を真に受けて、
「一人前にならないと、稼がないと」
と言っているから、ベーシックインカムが実現しないと思う。
もしあなたがベーシックインカムに賛同する者であれば、財源の捻出ではなく、古き集団を解体した『業績による支配』……すなわちメリトクラシーの破壊が必須であると考える。
逆の思想、すなわち
「一人暮らしは恥ずかしい」
「集団で暮らしてこそ美」
とメディアが扇動すればいいのだが、たぶんこれが成立した社会ってスポンサーの大半が消滅してるよね?
『……おかしいですね。するとそもそもベーシックインカムの財源はどこから?』
勘のいい国民はどうたらこうたら。
2.実は集団主義は悪くなかったかもしれない
※ここでいう集団とは、昭和的な大家族、お見合い結婚、相続などを総称する。
・なんとなく集団で大企業に入る
・なんとなくお見合い結婚をする
・なんとなく実家を引き継ぐ
……という昭和的な思想は、個人的には大嫌いなのだが、
『資本主義、とりわけ競争社会とメリトクラシーから身を守る』という点においては、正解に思える。
そもそも人間は集団で狩りをして、集団で物語を信じて結束してきた種族だ。
サピエンス全史にも書いているらしい。読んでないからわからないけど。
よく親戚の人が
「結婚しないの?」「そろそろ家買ったら」
と言うが、あれはメリトクラシーからの防御としてはまぁまぁの策だと思う。
俺は嫌いだけど。
※こういう奴がいるから……というより、これもまた一種の共同幻想なのかもしれないので、この記事を書く点では矛盾しているが……
あと、これらの行動は脳死で行っても、特段生きるのに不便はないのだ。
例えば公務員になったら、そこそこ仕事ができて、社会的ミスがなければ定年までゴール出来ると思うし、それが夫婦二人ならかなり安定する。
その上で、三世代が一つの家で暮らせば、個人のコストが下がる。
そうすると
「10人いるから100万円のベーシックインカムは現実的じゃない!」
となっても、
「10人家族ならだれか働いているだろうし、ベーシックインカムは30万円でもいいんじゃないか?」
となる……と思う。
結局、集団はコスパがよく、最強だ。これは有史以来、一度も変わっていないと思う。
3.ベーシックインカムの実現に向けて
今の個人主義でも国債を発行しまくる……とかで財源は確保できそうだ。
だけど、配る金額を押さえて、それでも生活できるような社会になれば問題は解決する。
20万円を使い切るのではなく、生活レベルを下げて10万円で暮らす、みたいな。
ニュアンスとしてはそんな感じ。
ただ集団で暮らせば、おのずと支出は減る。
自分用の冷蔵庫も、テレビも、車も、家賃もいらないからだ。
4.なぜベーシックインカムは実現しないのか
残念ながらそれは個人を対象にした商売が多いからだろう。
ゆえに、集団は大人とやらになるにつれ「一人前」と「世間体」と呼ばれる幻想のために、シェアできるコストに喜び勇んで金を払うのだ。
・おひとり様
・個人用
・○○専用
という言葉を作ったのは企業だと思う。
独身の誰が好き好んで「いえーい! 今日は一人鍋!」なんて言うと思う?
10人で食っても1人で食っても鍋は鍋だ、ウマいだろ。
個人を対象にしたマーケティングがあること自体が、古き良き?集団を解体させ、疲弊させ、個人主義のメリトクラシーに向かわせる。
当然、冷蔵庫やパソコン、テレビなんて頻繁に買い換えないので、壊れやすく作ったり「最新型」と言って個人に買わせないと企業が潰れる。
しかしそこで働いている人たちも、個人で暮らす人は多いのだろう。嘆いている暇もない。
つまり個とそれに付随する利益行動が無くならない限りは、ベーシックインカムの実現は難しいと思う。
毎年iPhone買ってる奴大丈夫か?
そんな生産性変わらないだろ。
スマホならまだいい。
でも東京の家賃は毎月iPhone15が買えるぐらいだろう。
年間、12台のiPhone15を抱えて「物価が上がったね」とは何のギャグなんだろうか。
5.ベーシックインカムを実現させるために?
圧倒的カリスマか神話の誕生が必須だと思う。
今のメリトクラシーに向かっている、価値観を集団に引き戻してそれの価値観を崇める――そこに導く、利益行動とは真逆の扇動者が必要だ。
しかしそうすることで、多くの企業がなくなり、縮小する未来が来る。
人口も減るだろう。
だがそもそも個人主義であれ、集団主義であれ、この1億以上の人口に対してはどちらも機能しないのではないか。
川の水を汲み、ロウソクの明かりが無くなれば寝ていた時代には戻れないだろう。
インフラの維持やエッセンシャルワーカーの低賃金は、もう社会の必要経費になっている。
またその扇動者が『利益を追従しない』保証はない。
カリスマ的存在が悪い宗教団体になった例などいくらでもある。
そもそも人間が人間をそうやって管理すること自体に無理があるのでは?
と思うこともある。
結局のところ、彼方立てれば此方が立たぬという結論になってしまうが、自分が思うには、
ベーシックインカムを実現させるという点においては、個人主義は不利だと思う。ゆえに集団で暮らそうぜ! という物だ。
まあ、俺は嫌だけども。
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