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評論

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大学のレポートのような、割とちゃんとまとめたもののような。
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#近代文学

「月に吠える」二篇削除の再検討 ―事実関係の整理による読みの可変性

「月に吠える」二篇削除の再検討 ―事実関係の整理による読みの可変性


はじめに 大正から昭和にかけて活躍した詩人である萩原朔太郎は、現在その処女詩集「月に吠える」が最も広く知られている。同書は大正六(一九一七)年に感情詩社と白日社の共刊で出版され、両社の主宰である室生犀星と前田夕暮が発刊に大きく関わった。序文を北原白秋が書いたことでも知られる。

「月に吠える」は北原白秋、与謝野晶子、高村光太郎といった高名な詩人が、また後の時代においても同郷の詩人や評論家をはじめ

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