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#2 千と千尋の神隠し


私は、スタジオジブリの作品が大好きです。


中でも、特に好きな作品が「千と千尋の神隠し」です。

なぜ好きなのかと問われると、正直上手く言語化出来ない部分が多いのですが、「初めて映画館で観た作品だったこと」が自分の中で強く影響しているように感じます。


公開当時の私はまだ幼く、当時の記憶なんてそう残ってはいません。
けれど、この作品を映画館で観た日のことは、驚くほど鮮明に覚えています。

家から一番近かった映画館が、車を走らせる必要のある距離にあって、軽い渋滞に巻き込まれながら向かったことや、映画館の座席、それも自分や家族がどの位置に座っていたかまで、ハッキリと覚えているのです。

何故その日の記憶が鮮明に残っているかは、自分でも分かりませんが、「僕たちはどう生きるか」という対談の中で、「スタジオジブリ作品の原体験」として、米津玄師さんが仰っていた内容は、自分の中でとてもしっくりきたし、きっとそういうことなんだろうなと感じました。

米津玄師×菅田将暉 対談「僕たちはどう生きるか」


それだけのエネルギーを持つ作品を生み出していることに、改めて感動したし、その作品が生まれた時代に自分がいられていることが、とても幸せだなと感じました。


「千と千尋の神隠し」というと、豪華絢爛な湯屋「油屋」の姿や、湯婆婆、カオナシ、釜爺といった個性的なキャラクターたちが印象的ですが‥

この作品において、「静」と「動」があるとすれば、私は「静」に当たる部分の方が好きだったりします。

まず、冒頭のトンネルを抜けた先で、一度立ち止まるシーン。
微かに聞こえる、聞き馴染みのある電車の音と、
柔らかな光が差し込みながら、千尋たち以外には誰もいない、あの静かで少し不気味な空間が共存している不思議さが、私はとても好きです。

そして何より好きなのが、銭婆に魔女の契約印を渡す為に、電車に乗って銭婆の元へ向かうシーン。

「海原電鉄」という名前の通り、海が広がる中を電車が進んでいく姿、徐々に陽が落ちていく様、車掌さんの持つ、クルクルと回転させて動かす切符鋏‥

車窓から見える景色も、電車の中の様子も、経験したことがない筈なのに、なぜか懐かしいと感じてしまう。

特に、一瞬だけ映る、小さな陸地にポツンと建っている家のシーンは、初めて観た時から、「ここに来たことがある気がする」と感じるほど、私の中で深く印象に残っている場面です。

頭でどうこうと言うより、感覚的にそう感じ取ったからなのか、なぜ「来たことがある」と感じたのかは、大人になった今でも分かりません。

そして、ここで流れている「六番目の駅」という曲も、私は大好きです。

リンさんとあんまんを食べるシーンでも、同じメロディが流れていますが、月が上り、雨が降ったことで出来た海が広がる景色こそが、世界そのものであり、また、曲も含めて、あの湯屋のある世界を一番表現しているようにも感じています。


そして、電車に乗って辿り着いた、六番目の駅「沼の底」
虫や蛙の鳴き声が響く、静かな沼のほとりでの銭婆の暮らしは、幼い頃から、ずっと私が憧れ続けている生き方です。

きっと銭婆が吟味して選んだであろう使い込んだ家具や雑貨。
そして、手で作ることを大切にする、その想い。

どんなに時代が変わって、自分自身が歳を重ねても、ずっと心の中にしまっておきたいお守りのような存在です。


本日、金曜ロードショーで「千と千尋の神隠し」が放送されるとのことなので、それについて色々綴ってみました。でも、まだまだ書けそう‥笑

何だかんだこの作品を観るのは久しぶりになるので、とりあえずは、今日の放送をしっかり楽しみたいと思います。


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