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「変わらない」ことを本気でやる、劇場版シティーハンター(ネタバレはほとんどなし)

劇場版シティーハンターを見てきて、見終わった直後は「いろいろツッコミどころはあるけど面白かったな〜〜」くらいの気持ちだったのですが、思い返せば思い返すほど「最高だったな…」という気持ちになってきています。

シティーハンターが名作であることは疑いないのですが、舞台を現代(2019年)に変えてキャラクターたちが立ったとき、やはりある種の「そぐわなさ」(あまり適切な表現ではないかもですが、「古さ」とかにも近い)が出てきます。

例えば、冴羽リョウ(漢字が出ない)の「もっこり」はじめ、セクハラ発言、覗き行為、ナンパなどなどが(エクスキューズなしで)連発されていくのは、(シティーハンターを知っていても)ちょっと面食らいましたし、序盤に出てくる香の「時代の空気を読め!」というツッコミからも、制作陣がいろいろと「ま~ちょっと2019年にそぐわない部分はあるよね」と思ってそうなことがうかがえます。(ちなみに結果的にいちばん今っぽいキャラになっていたのは海坊主でしたね)

ほかにも、登場人物の服や髪型の感じとかが、まあ明らかに2019年ではないわけです。だけど登場人物がいる舞台は私たちが知っている(比較的最新の)新宿であって、そのギャップはかなり不思議な感じがしました。

2019年にシティーハンターの完全新作を作るにあたって、たぶんいろんなひとがいろんなことを考えたと思うんですよ。たとえば部分部分アップデートするとか、ちょっと登場人物の年齢を変えたり(年をとらせたり)とか。しかし劇場版シティーハンターは、そぐわない部分があることを全部飲みこんで、「いや!!!いいんですよ!!!自分たちが好きなシティーハンターは変わらないんで!!!!」という思いをぶちこんで作ったような作品でした。

冴羽はもっこり連発するしセクハラ魔人だし、香は100tハンマーをぶん回しているし、シリアスシーンとギャグシーンの境目はあいまい(というかない)でメチャクチャなことになっているし、ドローンの設定はわりとガバガバだし、ハンドガンは強すぎ。

でも冴羽はキメるところはしっかり決めて、香はまっすぐに冴羽を想っていて、冴羽の銃の腕はそれはもうすごくて、そして最後に「Get Wild」が流れるんですよ。

もちろん劇場版ならではのスケール感というか「思いっきりやりま~す!」感はあって、新しい建物を見つければ爆破してしまうこだま×諏訪コンビによる新宿バスタの爆破(というか銃撃戦)はそれはもうアツかったですし、冒頭のTOHOシネマズを絡めた1シーンも最高だった(街中でそんなロケットランチャーぶっとばす人いる?)。途中のテロは電波障害を起こす必要はなさそうだけど起こすとカッコいいから起こしてるし、新宿で派手なバトルをやるなら新宿御苑をフル活用して穴だらけにする。そしてキャッツアイの3人もちゃんといいとこどりする。

でもあくまでも基本は「変わらない2人」なんですよね。

制作陣が好きだった(あるいはかつて作っていた)シティーハンターはそういう作品だったし、2019年に作りたかったものもそういう作品だったのだと思います。

「変わらない」というのは思い返すと脚本にも散りばめられてあり(ややネタバレ)。

香が「私は変わりたくないんだよ」と山寺宏一に宣言するシーン。

それと、(香のウェディングドレスを見て)「いつもと変わらねーじゃん」→からのラストの「変わらないよ…」のモノローグ。

それと対比するように屋上での「この街がどんなに変わっても…」のシーン。

世界は変わっていくし、冴羽が守っている「新宿」はどんどん変化しているけれど、2人は変わらないことを選んでいるから、変わらない姿、変わらない関係性でファンの前に現れてくれるわけですよ。ありがとう、シティーハンター……!

…ということを考え、すごい愛ある作品だな~と改めて思った次第でした。エンディングの演出も最高であと100回くらい見たい。あと途中から実写に切り替わるのも最高でした。わかっていてもなお劇場で「Get Wild」聞くと「うお~~~~!!!!!」ってなるのでぜひ劇場で。

#感想 #シティーハンター #映画

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