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クソ人生論 第四話 職歴(キャリアプラン)について その③ キャバクラ編

デリヘルの内勤を辞めて次なる仕事を探し始めた時に目についたのは「キャバクラ」だった。

当時は新堂冬樹先生のキャバクラを舞台とした「黒い太陽」がドラマ化されていて自分の中で気になっていた業種だったのかもしれない。

デリヘルの時と同じく場所は池袋でスタッフ募集しているお店をホームページで探した。池袋西口のお店に決めて面接を受け、働く事となった。

黒服と呼ばれるボーイの仕事についてだが、開店前の清掃やおしぼり巻き、ホール内での業務だ。水や氷や灰皿の交換、オーダーを受けドリンクやフードの提供などがある。

客と接するタイミングがあるのは無料案内所へのお迎えや、入店時のシステム説明、時間が来た時の金額提示や延長交渉などがあった。

働き始めて数か月すると面接に入るようになった。夜の世界では「体験入店」があり女の子が店の雰囲気(店内、客層)を見る為の制度だが、お小遣い稼ぎ感覚でくる子も多く頻繁に面接が行われていた。

店側が欲しい女の子だったら本入店させる為に時給の交渉などで猛プッシュに入っていた。

働いていた店では女の子(キャスト)が本入店を決めた後は働き始めて数週間したら担当マネージャーを誰にするのかをキャスト自身が決めてもらっていたのだが、

担当0人だった自分が受け持ちたいと思ったキャストが入店したので担当マネージャーとして選んでもらえるように連絡先を交換して仕事のケアをこまめにメールをした。

数日後、営業中に店長からインカム(スタッフが付けているイヤホンマイク)で「あの子の担当マネージャーお前になったから宜しく。おめでとう」と言われた。

一つの成功体験が生まれれば同じ事の繰り返しで担当キャストは徐々に増えていき、最初担当したキャストのケアも徹底的に行い、その子もお店のナンバー1になった。

ナンバー1を担当しているマネージャーという事もあり、さらに担当を希望するキャストが増え、いつの間にかお店で一番担当キャストを抱えるマネージャーとなっていた。

ナンバー1になった子が売り上げを上げ始める前の話だが、営業後に色々な相談に乗って話す事が多かった。自分もその子しか担当が居なかったので全力を注いでいた。

束縛がかなり激しくDV気質のある彼氏と同棲をしているとの事で、悩み相談が大半を占めていた。その日は遅くまで話し込んだ事もあり近くに住んでいる彼女を歩いて送る事になった。

送っている道中に「〇〇ちゃん?」と見知らぬ男から声を掛けられた。彼女はその男を見てガクガクと震えている。どうやら彼氏のようだ。

話に聞いていた彼氏のイメージはオラオラ系の男だと勝手に思っていたが、見た目はかなり小柄でヒョロっとしたイケてないホスト風な男だった。

180cmある自分と目を合わそうとせず彼女に話かける男と、ガクガクと震えてばかりの彼女。埒が明かなかったので近くのカフェで話し合おうと提案をした。

基本的に傍観者で居たが、男には彼女の仕事に悪影響が出るのは困ると伝えてその場は解散となったが、彼女をそのまま同棲している家に帰すのは流石に良くないと判断し「家に来るか?」と提案した。

その日に抱いてしまった。

そんな流れで男と別れてもらい、彼女と付き合う事でキャストとマネージャーの関係を超えた仲で彼女は頑張りナンバー1となったのである。端からみたら「色管理」(付き合ってキャストを管理する事)であるが。

半年ほど過ぎたあたりで彼女から告白される。

「子供が出来た」と。

それを言われた時の心臓に稲妻が走るような衝撃は未だに忘れられない。

基本的に夜の世界でキャストとスタッフが色恋沙汰になるのはご法度なので店長に報告する時はどうしようかと思ったが、意外とすんなりと受け入れてもらえた。付き合っている事は当然秘密にしていたが何となく察していたようだ。

相手方の親への挨拶もかなりまいった。初めての挨拶で「子供が出来ました」と言わないといけないからである。

ぶん殴られるのを覚悟していたが「俺もおじいちゃんになるのかぁ」と言ってもらえて、ここも意外とすんなりと受け入れてもらえたのであった。

入籍をして子供が生まれるのが近づいていき「人生の頑張りどころ」のピークが訪れた時に疲労と心労が頂点に達してしまい、

私は仕事を飛んだのである。

無職の夫・無職の親父は家族を養う事は出来るのか?

■第五話 職歴(キャリアプラン)について その⓸につづく
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