記憶
あの頃は飽和していた通学路も今は感慨深くて
糸を辿れば辿るほど記憶が走馬灯みたいに溢れていく
廃れたものが真っ白な未熟に上書きされていくのはなんだか退屈
不確かで誤っていても私には栞、愛でていたいから
錆びて自我を無くした鉄塊がただ静に座っている
周りのただの無機質な倉庫からの乾いた空気を含む夜は
いつも以上に息がしやすい
いつの間にか投函された生ぬるい現実が火照った身を醒まして行った
火照るほどの繊維もないのに
電車のガラスから見える真っ青な安全地帯、は、
虚無い輝きを鈍くした
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