何者にもなれない
時折、文学関連で作ったアカウントを見るのが嫌になる。
好きなもので何者かになった者が多すぎて。
だって、それは私が欲しかったものであるから。
いいな、注目されて。
いいな、偉い人に目をかけられて。
いいな、他人に認められて。
いいな、学問を続ける余裕があるのだから。
社会人二年目。
大学生の頃のような自由はない。
あるのは金銭の余裕と週二日の休みのみである。
学問に戻りたいという夢も霞んでいく。
「身体を壊して長く休んだら、湯治の片手間に司書資格でも取るよ」
カラカラと笑って冗談を言う。
時折、自分は何のために本を買っているのかと思う。
唯一私が誇れるもの。
自己満足。承認欲求。
愛と独占。根からのコレクター気質。いや、違う。
結局、私は誰かに認められたいのだろう。
誰か?……その誰かとは、誰?
恵まれた環境にあってよかったですね。
――努力もせずに何を仰って?
与えられた環境に感謝することだ。
――君もそうだろう。
運も実力の内だろう。
――その運は君も持っていただろう。