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かけがえの無いお友達。シルク・ドゥ・ソレイユのアコーディオン奏者スージー・ギャニョンさん(カナダ)

「アコーディオンの音色は人を幸せにする」安西はぢめです。カナダの大親友から、彼女の半生をまとめたフォトブックが届きました。その中には彼女のアコーディオン人生や今までの仕事のことなどが書いてあったのはもちろんですが、誌面を割いて私の写真と私についても書いてありました。私もCDの献辞に彼女の名前を書いていますが、それが一体誰なのか公式の場でお話しをしたことがなかったので、とても嬉しかった気持ちに任せて今日は彼女、Susie Gagnonさんのお話しをします。

【シナギャワプランスオテル!!】

十数年前のある日、今は亡き金子先生のお宅へアコーディオンのレッスンに行きましたら「こないだ外国人から電話がかかって来て『アコーディオン、アコーディオン、シナギャワ、シナギャワ』って言われて困ったよ」と相談を受けました。なにやら品川プリンスホテルに泊まっている外国の方からアコーディオンのことで連絡が入っていたようでした。先生に詳しく話しを聞こうにも、断片的な情報だけでしたが、なんとか当時シルク・ドゥ・ソレイユの「アレグリア」と言う演目の一員として来日中のアコーディオニスト「スージー・ギャニョン嬢」にたどり着いたのが今に続く友情の始まりでした(後々聞いたところ、彼女は初めての国へ行ったらアコーディオン情報を調べて現地アコーディオニストとコンタクトを取ることにしているそうです)

【彼女はフレンチ・カナディアン】

彼女の家系は15世期まで遡れる、極く初期にカナダ入植したフランス系の子孫で、伝統的にアコーディオンを弾く家庭に生まれたそうです。小さな頃から「ケベクワ(ケベックの伝統音楽・アイルランド音楽ともレパートリーを一部共有しています。アメリカのケイジャン音楽とも親戚関係にあります)」をディアトニックアコーディオン(注)で弾いていました。

【彼女の録音で比較的伝統的なスタイルのアコーディオンをどうぞ】

注)蛇腹を押した時と引いた時で違う音がする、ハーモニカを手で弾くような仕組みの小型アコーディオン。

【シルク・ドゥ・ソレイユのアコーディオン弾き】

シルク・ドゥ・ソレイユでは自分で改造を加えた大きなピアノ式のアコーディオンを使っていて、小さな頃から積み重ねた豊かなアコーディオン音楽のバックグラウンドに裏打ちされた演奏は多くの人を魅了しました。初めは「アレグリア」という演目、後に「コルテオ」と言う演目に出演するようになります。足掛け16、7年シルク・ドゥ・ソレイユに在籍していたと思いますので、きっとこの文章を読んでいる方の中にも彼女の演奏を耳にした方があると思います。今や大人気の姉妹デュオ「チャラン・ポ・ランタン」のアコーディオン小春ちゃんはアレグリアを観てアコーディオンを弾いてみたいと思ったそうなので、もしかしたらスージーのアコーディオンだったのかなと思うのですが、いつも話題にしようと思いつつ何かの拍子に小春ちゃんに会うと他の話が盛り上がってしまって忘れて今日に至ります

日本滞在中も度々会い、公演にも何度も招待してくれて楽屋やバックステージ、共演者たちにも次々紹介してくれました。私にもシルク・ドゥ・ソレイユの一員になるようオーディションを受けることを勧めてくれたのも彼女でした。結局受けることはありませんでしたが、彼女が強く推してくれたことは今でもとても嬉しい思い出です。さて、賑やかなことが大好きな幹事スージーの「アシスタント」として、たくさんの来日出演者たちを折々に屋形船やら日本らしい風情が楽しめる料理屋さんへと連れて行ったりもしました。そして、スージーは街歩きをする度に色々と写真を撮ったり、また街の音を録音したり、時々は私に毛筆で字を書かせたりなんかもしていて「何でそんなことしてるのかな?」と思った事もありましたが、それは彼女にとっては「習慣」らしく、世界中をツアーで回っている間にも好奇心旺盛に現地で様々な素材を集めている人でした。彼女は曲も書きますし、とてもクリエイティブで、私の悩みを聞き、絶えず励まし続けてくれる親友であり、大先輩でもあります。結果的に彼女の創造物のインスピレーションになる「材料集め」をお手伝いできてとても嬉しいです、

【彼女の創作の一片を窺い知ることができる動画です(フランス語)】

やがて彼女は大の日本贔屓になり、よその国でのツアーの合間に何度も日本に来ましたし、逆に2012年はコルテオのパリ公演に合わせて私が会いに行った事もありました。今はモントリオールで創作活動や講演活動などをしています。

【自分史の製作→カナダからの手紙】

文字通り、世界中を歩き回った彼女が自分の目で見て、肌で感じた事をまとめた本ができました。「ちょっと送りたいものがあるの」としか聞いていなかったけれど、送られて来た本の中には彼女の先祖についての記述から始まり、幼い頃の写真や、今はもう観ることが叶わないシルク・ドゥ・ソレイユの有名演目の写真などに混ざって彼女が撮影してくれた私の写真もありました。

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【これからも互いを思い遣れる良い友人であろうと改めて思います】

ハッピーアコーディオン安西はぢめ

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