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アコーディオンでこぼこ道中3「そんな事とは露知らず編」

アコーディオンの音色は人を幸せにする」安西はぢめです。前回「アコーディオンでこぼこ道中『再会編』」でようやくアコーディオンに辿り着き、自分のアコーディオンを手に入れた私。そこまででも十分に長い道のりでした。続けてお読みくださった皆さんは、いかにも、まさにここから安西はぢめがアコーディオンに没頭する人生が始まりそうだと思っていらっしゃるのではありませんか? ところがどっこい「あること」を知らなかったばかりに、安西は心がポッキリ折れます。いやはや、人生でこぼこ道ですなぁ。後半はそれについても詳しく触れます。そう、アコーディオンのサイズや重さについて。

前記事「アコーディオンでこぼこ道中2『再会編』」人生と音楽の師に、アコーディオンとの再会へと導かれます

・手にするまで知らなかった「あること」

誰も教えてくれなかったけれど、それは誰のせいでもないけれど、目の前に立ち塞がるやり場の無い「当たり前」のカベ。そりゃあ、世の中想定外の出来事ってありますよ。ありますけど、正に晴天の霹靂。まさかアコーディオンがあんなにズッシリと重たいなんて夢にも思わなかったのです。アコーディオンに関わる人たちにとっては当たり前過ぎて、大前提で、常識で、教えてもらえなかったその重さ。そうなのです、アコーディオンには内部に金属部品がどっさり使われていて当時小柄で痩せっぽちの私にアコーディオンは重過ぎたのです。

持ち運びもさることながら、まるで江戸時代の刑罰。腿に石を積まれたみたいに感じました。「とても弾けない。身体に悪い」と即座に思いましたが、まさか自分から手を挙げておきながら放り投げる訳にもいかず、その思いは胸にしまい込むのでした。幸い?坂田先生たちとシュランメルンを合奏するときには他にアコーディオン担当の方がいらっしゃいましたから、私は今まで通りコントラギターを弾けば良かったので、必要に迫られる事もなく時間は過ぎて行きました。

そして人生の転機がやって来ます。そう、それは学生生活の終わり。卒業からの就職です。私は大学卒業後就職なんかしないでどこか海外へ放浪の旅へ出るのではないかと思われておりましたが、大方の予想を裏切って就職の道を選びます。しかも一部上場の大きな会社でした(後に自分に会社員の才能がないという事を思い知らされます)そして関東を離れて福岡県へ配属が決定。独身寮への引越し荷物にアコーディオンも入れておきました。でも後々身体を壊して25歳で退職するまで、アコーディオンは部屋の片隅で思い出したように触れられる以外、可哀想にケースに入ったまま出番を待つことになります。

なぜなら重過ぎたから! (次回「ようやく本気出す編」に続きます)

・アコーディオンの大小と音色についてちょっと解説

アコーディオンが世の中に様々たくさんある楽器と決定的に違うことの一つは「楽器のサイズに多くのバリエーションがある」ことだと思います。そのサイズの大中小によって、一般的に流通しているアコーディオンの重さは6キロ台〜12キロ弱くらいまで幅があります(さらにたくさんのメカを積んだ15キロを超える楽器もありますが、ここでは割愛します)

【写真・楽器の下の方に並んでいる小さなボタンが左手で操作するベースボタン。大型120ベース(左・約12キロ)小型72ベース(右・7キロ弱)のサイズ感の違いはまるで軽自動車と4ドアセダンのよう。どちらのもそれぞれの良さがあります】

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【この差歴然!バイオリンは3万円の楽器でも3000万円の楽器でも弦は原則的に4本ですが、アコーディオンは用途目的に合わせてご覧の通り様々なスペックがあって、本当に面白くて奥が深いです!】

アコーディオンは左手側の伴奏ボタン(ベースボタン)の数でボディのサイズ自体が変わって来るので、その数を見たり聞いたりするとおよそのサイズ感がわかります(左手側に並んでいるボタン合計数が120個だと標準的な「フルサイズ・大型」。96ベースなら中型、小型は80ベースや72ベース、それ以下の48ベースや32ベース、24ベースや12ベースというサイズもあります)これは購入を検討する際や、カタログやネットの通販サイトなどを見る時にもとても重要な参考値になります。音域が狭くなると弾きにくい曲などが出て来ますので、アコーディオンを買う時にはどんな音楽を弾きたいのか、どのくらいの音域をカバーしている楽器じゃないと後々困るのかなど、専門家やお店の方などにアドバイスを受ける事が重要だと思います。

また、慣れて来るとベースボタンの数+右手側の「内蔵している金属リードの枚数」とか「ボタンまたは鍵盤の数」(=積んでいる金属リードの枚数の増減はダイレクトに重量に響きます。音域が広がる=リードの数が増えて重くなる)の情報を聞くと、何となく「そのスペックなら10キロはなさそうだな」などと全体の重量が思い浮かんだりします。

表記のされ方には何種類かありますが、特に文章ではアルファベットでリード(Reed)の音の高さを表す事が多いです(H=High、M=Midium、L=Lowといった具合)また、主にアメリカでPiccolo(H), Clarinet(M), Basoon(L)などと楽器になぞらえて書かれる事も良くあります。他にもViolin(MM), Oboe(HM), Bandoneon(ML)などがありますが、フランス音楽に特徴的な音色「ミュゼット」は「ミュゼット」とそのまま表記されます。ただ、本来ならMのリードを3枚同時に鳴らす音色ですが、HMMLの楽器ならHMMで「ミュゼット」と呼んだり、表記が同じでも組み合わせが違う場合がありますのでご注意ください。

【表示の一例。この楽器はMML。丸の中に打ってある白い点がリードの高さと枚数を表しています。"Master" は内蔵している全てのリードを同時に鳴らすスイッチです】

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・特に決まり事がある訳ではありませんが、カタログなどに書いてある大型・中型・小型」のざっくりとした目安は大型10キロ以上/中型10キロ未満/小型7キロ以下を指している事が多いように思います。サイズ感の違いは動画でも見比べて参考にしてみてください。

120ベースの大型アコーディオンによる演奏。フランス音楽に特化した「ミュゼット」モデルで、右手側は同じ高さのMリード3枚をわざとずらして調律してトレモロが大きくなるようにしてあります。マイクが一般的でなかった頃、ざわざわしたダンスホールでも通る音として発明されました】

96ベースの中型アコーディオンによる演奏。右手側に積んであるリードはMMLですが、演奏ではMMのみ使用。トレモロが少ない落ち着いた音色の楽器です】

【72ベースの小型アコーディオンによる演奏。右手側のリードはMMの二枚のみ。MMで演奏しています。筐体が小さくて軽やかな音です】

ハッピーアコーディオン安西はぢめ

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