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デザイン議論を充実させるには?

八重樫文さん+安藤拓生さんの『デザインマネジメント論』を巡るポドキャストの3回目をリリースしました。

今回は4章のデザイン理論です。ここでは5つのディスコースに分けており、下記です。カッコ内の名前の人に代表されています。

1)問題解決行動としてのデザイン理論ーデザインへの科学的アプローチ(ハーバード・サイモン)

2)省察的実践としてのデザインー状況との対話を重視する新たなプロフェッショナル像(ドナルド・A・ショーン)

3)リベラルアーツとしてのデザイン理論ー構造が不明確な問題との対峙(リチャード・ブナキャン)

4)思考方法としてのデザイン理論ーデザイン自体のディシプリン・知識・文化(ナイジェル・クロス)

5)意味の創造としてのデザイン理論ーモノと意味とのインタラクション(クラウス・クリッペンドルフ)

これらは1960年代から2000年代にかけて作られてきた理論です。およそ30-40年の間で議論されてきた内容なわけですが、この10年の間にアカデミックではない場、つまりはビジネスやデザインの現場や、いわゆるデザイン・シンカーと自称している人たちのデザイン語りが、この「せっかくの実績」を踏まえていないなあと自省も含めて実感します。日本だけでなく、どこの地域においても、です。

アカデミックのデザイン研究をデザイン実践家は往々にして「あえて無視する」傾向にありますが(俺たちはグダグダ言わずにつくるのだ!と)、その実践家が「デザインとはこうだ」とあまりに独断的に語るものだから、何がデザインについて議論されてきたかに不明な人たちは、右往左往させられる羽目になります(それが、今、デザイン素養のないビジネスパーソンの悲哀になっています。「犠牲者」として!)。

2019年の現在においても議論の範囲とか方向性は、上記のなかである程度網羅されているとみるのが適当で(例えば、ベルガンティの意味のイノベーションは5)の系譜になります)、これらを踏まえると、デザイン議論の実質的な発展が望めるのはかなり明白です。また特に最近、日本で話題になる「アートの活用」に関する議論も、上記を踏まえれば、とても生産的になります。

なんか、考えないといけないなあ、と考えています 笑。

写真は@nzai-ken 

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