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「スパーリング実践例の公開ですね」

八重樫文さんは立命館大学経営学部の教授です。デザインマネジメントなどを研究領域としていますが、この4月からなんと2年間のサバティカルでミラノに滞在しています。2015年秋から1年間、やはりミラノにサバティカルで滞在していたので、わずか3年後のカムバック!

2016年5月、エノテカでお会いしたのが初めての出会いでした。そこでワインを飲みながら雑談し、彼が監訳したミラノ工科大学教授のベルガンティ「デザイン・ドリブン・イノベーション」をいただきました。この本の存在は知っていましたが、読んだことがなかったので、自宅に戻り読み始めたらとても面白かったです。イタリアデザインをこう解釈して体系化したか!と。

その感動を書影とともにフェイスブックに投稿したら、それを見たミラノ工科大学のベルガンティの同僚が、ベルガンティを紹介してくれたのです。そうして著者と会って話をしたら、これまた愉快だった、というわけです。

そういうご縁などがあり、既に出版社に在庫が枯渇していた「デザイン・ドリブン・イノベーション」の電子版の出版をアレンジし、八重樫さんと一緒に「デザインのありか」を探った本「デザインの次に来るもの」を書き、ベルガンティの2冊目 Overcrowded の監修と解説に携わり「突破するデザイン」が生まれました。そして同年、ベルガンティの東大立命館の講演アレンジに関わりました。これが、ぼくの「意味のイノベーション」のその後の活動開始ポイントになります。

そして、この10月には大阪で開催されるデザインの国際会議4DのGeneral Chairsを2人でやっています。リトアニアのカウナス工科大学とミラノ工科大学ではじまったカンフェランスの2回目を日本で開催したいというので、八重樫さんに窓口になっていただいたわけです。

で、八重樫さんがまたミラノで生活しているので、定期的にカフェで会ってワインを昼間から呑んで駄弁っています。先日会ったとき、こういう話を記録しておくといいのじゃないかなと思い、次回から30分程度録音してポッドキャストにアップロードしましょう、と提案しました。文章じゃないと思ったのです。具体的にテキパキ話すような内容なら文章になりますが、2人で考えの方向を探るような時間を過ごしているので、空気感をふくめて記録した方がいいのではないかと考えました。

昨日、その一回目をやりました。録音は2時間くらい話したうちのおよそ30分です。カフェでワインを飲み、考えながら話しているので、とても聞きづらいと思います。沈黙の時間もあります。でも、その時間も含めて記録です。周囲のクルマの音やイタリア人の会話も入っています。

テーマは問題解決という呪縛からの脱却の道です。問いをたてる、課題をみつける、ヴィジョンを探す・・・いろいろと問題解決の先というか、前提というかの議論が多いのですが、どうも「問題解決のために・・・」という前提にとどまった話が多いようにみえます。人は人生を問題解決のために生きるのではなく、意味を求めるのに生きる、という基本的なところにたっていない、というわけです。

その対話の一部を以下のポッドキャストにアップロードしておきました。

anchor.fm/u5b89u897fu6d0bu4e4b

これからも定期的にアップロードしていきます。これを聴いた八重樫さんが(ベルガンティが意味のイノベーションのプロセスで説明している、1人で考えた後に信頼するパートナーと批判的に議論する)「スパーリング実践例の公開ですね」とコメントしました。

あっ、そういう趣旨いいな、と思いました。

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