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自作・カルタで圧勝を狙った女の子

日本滞在23日目のメモ。

今日は麻布十番での昼食から「外部活動」スタート。イタリア大使館のナディア・ロンバルドさんとアレッサンドロ・クレメンティさんの2人と、日本やイタリアの文化や経済について雑談。「とっても日本に詳しい」イタリア人たちと「まあちょっとイタリアに詳しい」日本人の会話というべきか。

その次に浮世写真家・喜千也さんと会う。彼とはもう10年以上前、デジタルデバイスの欧州でのユーザビリティテストなどの案件で知り合い、その後、時々に会うのだが今はアーティストである(いや、ビジネスパーソンに加え、というのが正しい)。広重の「江戸名所百景」のオリジナルと現在の姿を文章を添えて見せる作品を作っている。「ああ、よくあるあれね」と言うなかれ。単に同じ場所を撮りましたではなく広重の作品を徹底して分析したうえで、現代の解釈を写真と文章で表現している。

撮影場所とタイミングに大いに苦労したエピソードも面白いが、そのポートフォリオを飛び込みで写真ギャラリーに持ち込むことを殆ど厭わない姿勢はすごい。ある一定の年齢になると、人は「他人からのオファー」を待つのが当然と思いやすい。上から目線になるのだ。が、喜千也さんは、そういう下手なプライドを軽く越える術をもっている。彼の作品を、広重などの浮世絵の大規模な展覧会をミラノやローマでキュレートしたイタリア人の日本美術の専門家にぼくは見せたことがあるが、緻密に分析された作品に賞賛をおくっていた。

夜は立命館大学東京キャンパスのセミナーを、まちの保育園の松本理寿輝さんを講師に招いて開催。レッジョ・エミリア教育やコミュニティの話で盛り上がる。小さな子どもをもつ親御さんもさることながら、「子ども?関係ない!」という人たちが、子どもたちとさまざまな距離をもちながらも、子どもの世界をどう自分の生活圏・感覚圏に包括していくか、との議論をした。

普段、まったくこういう世界に関係のない人たちも、「あれっ、子どもの教育を知らないってまずくない?」と気づく何らかのストーリーが提供できれば、と考えて企画した。大企業のイノベーション担当が知るべき内容だ。

明日は、この連続セミナーの最終日です。今日の松本さんの話にあったエピソードで、保育園で市販のカルタで圧倒的に強い男の子の圧勝を目の前にし、ある女の子が勝つためには自分が作ったカルタで勝つのが戦略的有利と考え、それを実行し勝利をものにした、というのがあります。こういう子もいるのですね。

明日はルールメイキングのつくり方やその文化性を話題にしていきます。米国政府やEUとルールメイキングの交渉を重ねてきた藤井敏彦さんを講師にお招きします。是非!

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