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デジタルイラストを描くのをあきらめた

ブログ書く主婦のANSYです。

私は長年デジタルイラストを習ってきた。それをあきらめる話を書く。
普通なら「こんなにがんばって続けられました!」という成功体験を書くべきなんだろうけど。私は違った。

板タブレットを挫折した

8年くらい前「これからはデジタルの時代だよね」と考えたし、実際にネットに絵をアップするには、デジタル作画の方が有利だったので、私は道具をそろえたり、教本を買った。
板タブレットを買ったのはいつだったかな。もう記憶にない。
板タブレットは、練習しても、まったく扱えなかったので、やめてしまった。
あれを扱えるくらい練習できる人は、そういう才能があるんだろうと思う。
普通の人に、板タブは難しいよ。
「慣れるまで1年かかった」という話を読んだ時、私にその気力は無いと、知った。

液タブレットの光について

家族に液タブレットを買ってもらった。
事情あって、私は13インチと24インチのタブレットを持っている。
でもメインは13インチで使うようになった。
え?大きい方が使いやすいんじゃないの?と言われるかもしれない。
しかし液タブは、まぶしいのだ。私にとって、液タブはとんでもなく目にキツい。
私は元々、光に弱い体質だったため、このハンデは想定外のダメージだった。
「正面にパソコン画面、手元に液タブ画面、二方向から光が入って来る」
というのが、とにかく、キツい!!!
13インチならまだしも、24インチを使った翌日は、激しい頭痛に悩まされる。
今は「16インチが使いやすい」という説があるので、私も16インチがベストだと思う。
液タブはサイズが大きくなればなるほど、入って来る光の量も増える。当然ながら目や体への負担も増える。

私はいろいろ対応策を調べて、実行した。
光を抑える調節をしたり、サングラスかけたり、緑レイヤーを作って重ねて線画を描いたり……。
そもそもの部屋からの光を低くしたり、あらゆる対策を試したが、結局翌日頭痛になるのは変わらなかった。
そして、目と体が、光に耐えかねて、ぐったりして、集中力が下がるという事態に陥るようになった。
デジタルで集中できる時間は、アナログの集中時間より短い、と書いた漫画家がいた。本当にそう。

体質的に光に弱いタイプは、デジタル作画環境に耐えられない。
あらゆる対策を講じてダメなら、体がデジタル作画環境を拒否しているということだ。
これは治らない。
とにかくダメ。鎮痛剤片手にデジタルでマンガを描く、という人がいたけど、健康寿命を縮めて、どこまでマンガという仕事が続くのか、疑問だ。

そもそものパソコンスキルを要求される

デジタルイラストは、基本的に「ショートカットキー」を使う。
使わなくてもできるんだろうけど、それなりの手間が生じるので、ショートカットキーは推奨される。
でもその量も少なくない(ように思えた)。
さらに「左手デバイスを使おう」というのをよく見かける。
えっ?
ショートカットキーすらおぼつかない私に、左手デバイス?さらに覚えるの?ていうかそれ「絵そのものに関係あるの?」って気がするんだけど?
私は左手デバイスは使わなかった。
しかしとにかく、最低限のショートカットキーを覚えて!というのも、難問に見えた。

さらにクリップスタジオ(イラスト用ソフトってだいたいそうなんだけど)の、アイコンのややこしさ!
アイコンがコロコロ変わる。これも慣れないと、相当迷う。
細かい画面、コロコロ変わるアイコン、選択を間違えると、おかしな操作で絵が台無しになる。そういうのはCtrl+Zでやり直せばいいんだけど、繰り返すと、なんだかイヤな気分になった。
こういうのもコツを覚えるとか、慣れるまで扱えばいいんだろう。
しかしとにかく、画面がまぶしい!

そのうえレイヤーだ。レイヤーの扱いだってシンプルではない。
デジタルイラストを演出するには、レイヤーについての知識も必要だ。
絵をキラキラさせる、影を強調させる、紙っぽい雰囲気を出す……とはいえ、いちいちこれも「操作」になる。
私はどうしてもレイヤーの知識が身に付かなかった。

そのうえに3Dとかパースの機能が付いてくる。だんだん面倒になってきた。
3Dもさんざんやったが、どうしても3D下描きした自分の絵に違和感を持ってしまい、これも進めることはできなくなった。

パソコンそのものに適性が無いと、デジタルイラストは描けない。
以前からパソコンは扱ってきたんだけど、私はWindowsの最低限の知識しか身に付かなかった。これ以上は無理。
そして考えた。もはや、これって「絵」なの?
デジタルでくじけて、線画すらおぼつかなくなるって、これはもうただの「障害」なのでは?

教室に通ったら解決するの?

デジタルイラスト教本は、わかりづらい。
というか、やはり最低限パソコンの知識がないと、話の内容に入っていけない。
素人が教本片手に、デジタルでキラキライラストを描くのは、夢物語だと思っていい。
YouTubeで教えてくれる動画もある。運が良ければ、そういうのを参考にできるだろう。
でもYouTubeのデジタルイラスト講座は、玉石混交だから……。
Pixivとかの無料講座でもそうなんだけど、全部が素人向け、ではない。
「素人がPhotoshopの基本を覚えるにしても、教室通って半年はかかる」
というのを聞いたことがある。
そう、それだった。クリップスタジオも数か月の独学でなんとかなるものではない。

私はある教室に通った。
私は痛感した。
「短期間でデジタルイラストを描けるようになるという教室は、行ってはいけない」
これだ。
実際に10回くらいでデジタルの基本を学ぶ、という教室に通ったけど、これは10回で授業のノルマをこなすだけで、覚えようが忘れようが理解できなくても、授業は10回で終わってしまった。
そして講師は「まったく分からない人というより、ある程度自分で学んで、復習がてらうちの講座に来る人がほとんどなんですよね……」と言った。
そんな感じですよね。
私のあまりの覚えなさっぷりに、あきれられたのだろう。ガッカリした。

他にもいくつかデジタルイラスト教室に通ったけど、私よりパソコンができない生徒さんは、ガッツリ講師にキレられて「アナログを続けたほうがいいですよ!」と指摘された。
ほんと、そもそものパソコンの知識と適性。これは絶対的に必要なもので、ダメな人はとことんダメだというのを、思い知った。

教室に通って学費を払って解決するモノでもなかった。

考え直した

デジタルイラストは流行ってるし、適性のある人には向いている。デバイスをグングン扱えて、作画スピードが上がった!と体験談を書き、実際に作品が高評価を得たというサクセスストーリーは多い。
若い人にも向いていると思う。デジタルネイティブ世代なら、私よりはマシだろうか。
出来る人は、教本と動画でなんとかなるでしょう。

でもそうではない人を、ざっくり切り落とす残酷なツールでもある。
結局「デジタルイラストとは、パソコン機能を覚えないと、最初の一線すら描けないし直せないし進まない」
という事態に陥る。

で、それは「絵」なの???カタチになるモノなの???
言ってしまえば「楽しいのそれ?」である。

私は6年くらい、通学やオンラインでデジタルイラストを細々学んだが、
結局「私には不向きなんだな」とあきらめるための時間だったと思う。

とりあえずマンガはデジタルでなんとかコマ割ってセリフを入れられるくらいにはなった。
トーンも貼れるかな。
そこまでだった。基礎機能で脳が習得をストップしてしまった。
どうしても前進しないのを、あきらめることにした。

イラストは、アニメ塗りの基本で終わった。
いろいろ塗り方はある。でもこれ以上クリップスタジオの機能なんか覚えられないし、長時間液タブに向かうと頭痛で寝込む。

私の友人はクリップスタジオをやめて、メディバンペイントでカラーイラストが描けるようになったと言っていたので、人によってはツールを替えればなんとかなるかもしれない。
でも友人は、それなりにパソコンが扱える。だからなんとかなった。
私は、他ツールを使って、自分がどうにかなるとは思えない。
スマホで絵を描くのもアリなんだろうけど、それだってスマホの容量を奪う。
スマホ作画も推奨されるが、要領の問題を指摘する人は少ない。

Pixivに何度か投稿したし、Xにも上げた。Kindle出版にも手を出した。
でも分かりづらいデジタルで描いて、ぜんぜんアクセス稼げず、いいねも少なくて、その上で「キラキラの絵師さまの評価をあえぎ見る」って……。
これの何が良いのかと、めちゃくちゃ疑問になった。

結局、私が楽しかったのは、友達とコタツを囲んでお絵描きして、笑いながら同人誌のネタ出ししたり、その場でレスポンスのやり取りすることだった。
アナログなのだ。

原点に振り返り、残りの自分の健康寿命を考え、これ以上、デジタルイラストはむりだな、と思って、撤退することにした。

続けてきたことをあきらめる前に

あらゆる物事で、
「長年続けているが、自分に不向きなのかどうか分からない」「時間もお金もかけてきたので、ここであきらめたくない」
ということはある。
「損切りしろ、時間は有効だ」と言う人もいるが、そんなに簡単に決意なんかつかない。

私だってデジタルイラストについて検索したら、結局
「がんばって続けたらこんなに成功した!」って話ばっかりで、どうあきらめたか、やめた理由は、とか、書いてあるブログは少なかった。というか、無いんじゃないかと思う。

だから「今つらいだけで、続ければなんとかなるのかな」という不安と期待ばかりが積もった。このモヤモヤした時期が長かったー。すんごいムダな時間だった。
ただ「もうやめる!」という決断も、難しかった。

というわけで、今、なにかをあきらめるか、続けるか、悩む人は
「期限を決めてがんばる。成果を具体的に決める。それが成し得なかったらあきらめる」
というので良いのではなかろうか。

特にデジタル系はね……初期投資がすごいから、やめるのって勇気いるんだわ……。

私は、これからはクリップスタジオの最低限の機能でいいかなと思う。
あとはアナログで描く。
もうスキャナー持ってるから。

そう!救世主スキャナー!これでパソコンに取り込めば、まあ線画とかはなんとかなる。

アナログイラスト描いたら、写真撮ってアップすればいい。

という、まあ、アナログデジタルほどよい分量で使って行こうというオチでした

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