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オンライン帰省

延期になってしまった数年ぶりの自主公演のポストカード(友人が描いてくれた)を見ながら、大きなため息をつく。社会人になって初めての16連休は、まだ折り返し地点にも到達していない。

突如として流行り出した疫病により、なんでもかんでも自粛自粛の毎日。そして、仕事や飲み会だけではない。ついには帰省までも家にいたまま行うことができるようになったらしい。


非常に便利な時代がやってきた。


学生時代は、県内に実家があったためいつでも(なんなら日帰りでも)帰れるという理由から、帰省なるものはほとんどしていなかった。

しかし、上京した今となっては、まとまった休暇がなければ帰省は難しくなったため、GW・お盆・年末年始は欠かさず実家に帰っていた。それを、今の時代はオンラインでできるというのだからありがたい。

おそらくこの調子で行けば、あの満点の星空の元、澄んだ空気…かと思いきや堆肥の匂いのする田んぼ道をオンラインで自転車に乗って駆け抜けられる未来もそう遠くない。手が汚れるのが嫌だし、田植えも稲刈りもオンラインにしよう。愛犬の被毛のなんとも言えない匂いを嗅ぎながらオンラインでもふもふしたりおやつをあげたりしよう。将来家族が亡くなった時には、オンラインお通夜とオンライン葬式に出席しよう。いつかもしも自分が結婚する時は、遠方に住む仲間の移動の手間を考慮して、オンライン結婚式をあげよう。

そんな未来も遠くない。だって今はオンラインで帰省ができる時代なのだから。



非常に便利な時代がやってきた。



………………………。



コロナが収束したらオフライン帰省をしよう。オフライン飲み会をしよう。家族や親戚や友達に会いに行こう。

追記:Google マップで調べてみたが、実家はストリートビューには映っていなかった。私の実家周辺は、プライバシーに細心の注意が払われている区域なのだ。(渾身の田舎ギャグ)




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