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FINAL FANTASYⅩ-2のこと

10-2

 ファイナルファンタジー10-2である。
 FF史上おそらく初めてとなる続編となる作品。FF10から2年後の世界。これは外伝的な作品で、映画で失敗したスクエアが金を儲ける手段として生み出した苦肉の策の一つだと勝手に思ったり思わなかったり。そんな立ち位置だった。僕にとっては。
 世間的にもどうやら失敗作みたいな感じだった。それがプレイする前の印象。にもかかわらず、いざプレイしたらめちゃくちゃ面白い。なんでもっと早くこのゲームがめちゃくちゃ面白いことを誰も教えてくれなかったんだ……、となった。
 世間の評価の意味もわかる。ユウナのキャラがダメとかなんで倖田來未なのとかFFじゃないとか。そんなネットに転がっている意見を目の当たりにしていたので、そんなに期待していなかった。でも、どうせならしたい。一応プレイしておくか、程度だった。でも、実際にやってみないとわからないものです。とこう書いていて思ったのは、僕はそういうゲーム好きじゃんということ。アンサガしかり、DOD2しかり。世間的に評価の低いゲームほどコアなファンが多いの法則だ。
 そして先日1周目をクリアしたので思うことを書きたい。というか主に魅力を。誰が読むわけでなくても書かないといけないのだ。

ストーリー

 正直ストーリーに期待などしていなかった。前作がヒットしたから作った(たぶん)ので、後付けなのは仕方ないから、違和感のあるストーリーでもそんなものだろうと思っていた。全然そんなことなかったけど。

 FF10から2年後の世界の話。シンが倒されて永遠のナギ節が訪れた世界。シンはそれまで1000年間スピラを脅かしていた存在で、前作で倒されて罪(sin)は消えて凪の季節が訪れた。でも、人々はどうしたらいいかわからない。なにせ、それまではシンという驚異がいた世界で、それが当たり前だったからで、そうじゃなくなった時代。人々はどうすればいいのか、戸惑い、途方に暮れる。そんな中で、新エボン党や青年同盟、機械の時代だという人びと、寺院を破壊せよとかのたまう人びと、民族間の争い、穏やかに暮らしたい人、様々な人間模様が描かれる。ガンダムXみたいに、戦後を描く。その点はすごく良かった。シンを倒してハッピーエンド、で終わらない。その世界の住人にはその後の世界が待っているんだから。復興と新たな争いを描くのは良かった。そしてもちろんティーダと、召喚士という立場を失ったユウナの話でもある。それまで召喚士として生きてきて目的を果たしたらどうすればいいのか、戸惑うユウナ。今までの自分とは違う自分を生きようとする話。ユウナの成長の話でもある。だから、前作とユウナのキャラが違うとかイメージダウンとかいう意見はナンセンスだと思う。そのままのユウナじゃなくて新しいユウナなのだ。我々はそれを受け入れないといけないし、応援しなければならない。今までとは違うと見せかけて、ユウナの思いや感情はユウナのもので、仲間の前では元気に振る舞っているけれど、本当は寂しくて孤独な思いはあって、自分との戦い、前に進まなきゃという葛藤が描かれていた。

 要するに良いストーリーだったと思う。後付け(かどうか知らないけど)にしてはよくできていると思いませんか。10でいろんなものを失ったユウナを救ってくれたので10-2は10が好きな人にこそプレイしてほしいかもしれない。

 ユウナだけではなく、他のキャラクタもよいのである。
 ロンゾの長老としてどう振る舞えばいいのかというキマリの話、父親になるワッカの話。新キャラクター、パインとかつての仲間たちの話は圧倒的後付け設定だけど、物語に味がついてよかった。彼女がいなければ10-2の話は動いていかないのだから。

 でもオープニングはよくわからないっス。ユ・リ・パとかいうのも。なぜreal Emotionなんだろうか。あの映像でやる気なくしたとかいう人もいるぐらいなのだから……。まあいいけど。

システム

 このゲームの素晴らしい点はそのシステムにある。

 まず、ストーリー。一本道とか言われる前作とは違って自由度が高すぎる。メインのストーリーだけならそんなに時間もかからずにおそらくクリアできる。そしてこのゲームの醍醐味はサブイベントにある。サブイベントはもちろんクリアしなくてもエンディングまでは行ける。けど、サブイベントを楽しむことによってより世界観が見えてくるし、物語に深みが増す。そして、個人的にではあるが、そういうタイプのRPGはかなり好きなのだ。あるいはかなり好きなRPGがそういうタイプだったのかもしれないが(FF6とかFFTAとか)。個人的なプレイスタイルとしては、そういうゲームの場合、その時点で行けるサブイベントをすべてこなしてからメインのストーリーをすすめるというタイプなので、なかなか本編のストーリーが進まないことが多い。それもゲームの楽しみ。そういうタイプの人間だからこのシステムはとても好き。

 そして戦闘システム。これである。このゲームの一番評価されているであろう点。なにせ今までのファイナルファンタジーで最高の出来だと思った。
 FF10ではカウントタイムバトル(CTB)とかいうけったいなシステムで個人的には馴染めなかった。悪くはないけれど。やはりFFといえばアクティブタイムバトル(ATB)で、そのスピード感と緊張感が売りで楽しみだった。それがこの10-2で復活した。しかも進化して。とにかくスピーディ。特に通常攻撃は他のキャラクタと同時に行動ができ、敵も味方も入り乱れてバンバン攻撃する。そして同じターゲットに連続で攻撃するとチェインしてダメージが増幅する。クリティカルとかだと敵がのけぞって怯むこともある。味方も怯んで、ゲージが溜まってコマンド選択画面になっていたのに一旦キャンセルされたりする。連続攻撃でチェインし続ければ敵を行動させることなく倒すことも不可能ではない。今までにないシステムだった。その一方で、特殊攻撃や魔法の類は同時に行動出来なかったりして、前のキャラクタの行動が終わるのを待たなければならないこともあってテンポ感が失われることもある。そこは唯一の戦闘面での問題点だった。
 戦闘システムで最大の目玉はドレスチェンジというシステムで、簡単に言うと戦闘中にジョブチェンジできるシステムだ。FF3とかFF5とかジョブチェンジシステムが魅力のゲームはあったけど、戦闘中にできるのはなかった。ジョブチェンジじゃなくて戦闘中に控えのキャラクタと入れ替えるシステムはDQ4などでも見受けられたが、戦闘中にジョブチェンジは画期的だった。しかもそれをドレスアップと名付けて、ドレスフィアというスフィアの力を使っているという点が、システムを世界観に落とし込んでいてとても好感度が高かった。(こんな着替えシーンいらねぇよという意見はともかく)ドレスフィアという存在がストーリーに関わってくるのが面白い。そういう作品は好きです。ちゃんとシステムに意味がある、世界観とリンクしている作品は。ただ、もっと深く関わってきたり、関わるイベントが多かったらなお良かったかも。
 ドレスチェンジは単なるジョブチェンジシステムにあらず、というのがこのゲームの面白いところで、リザルトプレートというものを装備してそこにはめ込まれたドレスフィアに宿るドレスにチェンジできるのだが、プレートごとに、それぞれ能力が備わっていて(装備すると攻撃力+10とか)、ドレスにチェンジする際に特定のルートを通ると能力が付加されるという点。例えば通るたびに防御+15を何度も通ればめちゃくちゃ堅くなる。このシステムが戦略に幅を生み、戦闘を奥深いものにしている。最初は負けた敵でも、戦略の組み立て方次第で撃破できることはかなりある(サガシリーズのように)。

 あと、成長システムが個人的には好きで、APを貯めてアビリティを覚えるゲームで、レベルを上げて技を覚えるんじゃないのが良い。APは戦闘中に特殊コマンドを使用したり敵を倒したりすることで手に入る(通常攻撃「たたかう」では手に入らない)。だから、ひたすら1ギル銭投げするとかしてAPを貯める羽目になる。それが苦痛な人はこのゲームに向いていないかもしれない。個人的にはレベル上げとかそういう作業嫌いじゃないので、全く問題なかった。それぞれのドレスフィアに宿ったアビリティを習得していくわけだが、もちろんそのドレスフィアを装備していないと習得できない。そうやって装備品から技を引き出して覚えるみたいなの(FF9やFFTAのような)はとても好きなのでかなり僕好みのシステムだった。

 それから、強くてニューゲーム。FFシリーズでは初採用となる。シナリオが途中で分岐というかどちらの陣営につくかの選択があったり、イベントによっては複数の結末が用意されていて、2周目で前回とは違うシナリオを体験することができる。そして100%クリアを初プレイでするには、おそらくこの強くてニューゲームがないと難しい。1周目は普通にプレイして、2周目は攻略見ながら世界観を隅々まで堪能したい人なのでこのシステムは大歓迎。

音楽

 とにかく素晴らしい。個人的にはとても好き。
 そりゃあ、ファイナルファンタジーだからおなじみのプレリュードとかファンファーレとかがないのは気にかかる。でも、これは正当なナンバリング作品じゃなくて、あくまで外伝的な作品だと思っているので問題はないように思った。逆に、その方が正当なシリーズとは違うんだと意識させられるし。
 まずなによりゲームを起動して最初に聴くオープニングデモ――『久遠』、これがとにかくきれい。この曲を聴くためだけに起動してもいいレベル(アンサガのメニュー画面の曲のように)。

 あとはやはりよく聴く通常戦闘曲。通常戦闘曲を好きになれないとそのゲームを好きになるのは難しい気がする。植松伸夫の世界とは違うけど、これまでにない戦闘曲だ。ファンタジーの世界なのにエレキギター音が変な感じもするけど、それまでの世界とは違うシンのいない新しい世界なんだと意識すると違和感は消え去った。清々しい気持ちになった。ユウナは召喚士じゃないし、シンはいないし、自由なんだ。機械文明を復活させようという思いも世の中に生まれ始めている。
 賛否両論あると思うけれど、倖田來未の曲。『real Emotion』も『1000の言葉』も個人的には好きです。ただ、ユウナの声との違いが気になるといえば気になる。ただの主題歌、だったら良かったのに。

残念な点

 これは、前作、FF10にも言えることだけれど、ミニゲームが多い。
 しかもそれをクリアしないとレアアイテムが手に入らないとかで、うんざりする。その点サガシリーズは強敵を倒したら低確率でドロップするとか、強敵が守っているとかで、戦闘と直結していることが多いので好感度が高い。
 はっきり言って非常にめんどくさい。ブリッツとかスフィアブレイクとか。チョコボのあれとか。ナギ平原のあれとか。特にサボテンダーのミニゲームが一番めんどくさい。そして、最後の1体以外はクリアしても特に報酬とかはないから適当でもいいんだけど、倒したい。でも絶妙に難しい。そして失敗したらやり直すのにリセットしてまたセーブポイントからそこまで行かないといけないのが何よりめんどくさい。
 とにかくミニゲームが多い。せめて数を減らしたらいいのに。と思いますが、世間の評価はどうなんだろうか。

その他

 FF10が2001年発売で、10-2は2003年発売だった。たった2年だけど、映像が綺麗と思った。特にムービー。21世紀のゲームすごいってなった。いつの時代を生きているのだ俺は……。ムービー以外でも、戦闘シーンで、敵の影がちゃんと描かれていて進化すごいと思った。さすがスクエア。……スクエア? まだスクエア時代のゲームだった! ていうかスクエア最後の作品。偉大なるスクエアである。

 10みたいに限界突破してダメージやHPがアホみたいに高い、なんていうことがないのも個人的には良かった。敵も強いやつはかなり強いけど、戦略性が高いから楽しめるし、各アビリティも使いやすいものからクセの強いものもあってよい。

 賛否両論、毀誉褒貶あるだろうが、僕は好きですよ。このゲーム。FFシリーズでもかなり上位に入るレベルで。

 しばらくしたら2周目しようと思う。100%クリアを目指して。

 そしていつかリマスター版もするんだ……。

 音楽は最高なのですかさず買ってしまった。

  Spotifyで配信してほしいのである。

もっと本が読みたい。