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「インドに行きたいわけじゃなかった」インドの日本人学校で働いていた先生の話

海外にある日本人学校の先生って、どうやってなるのか知っていますか?

私がインドにいたとき、デリーにもあった日本人学校。主に駐在などで海外で働いている日本人が、自分の子どもを通わせる学校です。

私はその仕組みについて全然知りませんでした。

先日、インドの都市ムンバイの日本人学校で働いていたA先生とたまたま知り合い、その仕組みについて知りびっくりしたので、ここに記しておこうと思います。

行き先は選べない


私はてっきり「日本語教師」みたいな形で、日本人学校専門の人がいるんだと思ってました。でも、全然違った。

まず日本で普通に学校の教師をしている人が、海外の日本人学校に行くのです。

てことは、海外の日本人学校に行くのは公務員なんだ!ここでまず①びっくり。調べてみると、海外の日本人学校は文部科学省の管轄なんだそうです。

そして当然、海外の学校に行くには本人が希望するわけですが、国の希望は出せないらしい。

青年海外協力隊でも、大使館でも、何カ国かの希望は出せるので、ここで②びっくり。

海外の日本人学校は約100校ありますが、その中から国も地域も一切選べません。だから、決まってからのお楽しみ!ってことですね。なんというロシアンルーレット!

希望すると面接があり、選考を通れば本決定。

そして、選考の結果、A先生の赴任先はインドになりました。
希望していなかったし、行ったこともなかった国。やっぱり最初はインドの環境にびっくりして、慣れるまでは何かと大変だったよう。

それでも、1ヶ月くらいですっかり適応し、インドには3年住んでいたそうですが、最終的にめちゃくちゃインドが好きになったとのこと。

私がいろいろインドの話を聞くと、パアッと顔が明るくなって、目をキラキラさせながら、それはそれは楽しそうにお話ししてくれました。スマホであれやこれや写真を見せてくれて「本当にインドが大好きなんだな」っていうのが、全身から伝わってきたのです。

好きで行ったわけじゃないインドだけど


このA先生の場合もそうですが、駐在員の方は国を選んで来るわけではありません。そのため、中には「インドが嫌で嫌でたまらない」「帰国の日を指折り数えて待っている」なんて人も多いんです。私もそういう人をたくさん見てきました。

自分で選んで来ているわけではないし、家族連れで来ると自分一人の身ではないので、治安や衛生面が心配という気持ちもわかります。

けれど、私はインドが大好きで「ここに住みたい」と自分で選択して仕事を見つけて住んでいました。だから、インドのことが好きじゃない駐在員さんを見ると、悲しい気持ちになってしまったのも事実。

それに、駐在となると数年は住まなければいけないので、その日々を「嫌だ」「日本に帰りたい」とネガティブな気持ちを持ち続けながら過ごすのは、もったいないなぁと思います。海外に住めるなんて貴重な機会、せっかくなら楽しめた方がいいですよね。

だから、A先生のように自分で選んで来たわけではないのに、インドのことが大好きになった人に出会うと、とてもうれしい気持ちになります。

さらに、もっとすごいのがA先生の奥様。

もともと海外が好きで、海外に住みたいと言っていた人だったそうです。A先生の海外赴任が決まったときは、とにかく喜んだ。けれど、その行き先が「インド」と言ったら3日間、口をきいてくれなかったとか。海外好きでも、そんなにインド嫌なんか……

けれど、最終的にこの奥様もインドが大好きになったそうな。
口をきいてくれないほど嫌がったインド。でも、住んでみて180度変わったのです。

これって本当にすごいこと!

私はこの奥様の話を聞いてすごくうれしかったし、どんな気持ちの変化があったのか本人に直接聞いてみたくなりました。

チャンスは3回


海外の日本人学校で働く仕組みに戻ります。

インドに3年滞在し、今は日本の学校で働いているA先生。この後も海外に行くチャンスはあるのかと聞くと「チャンスは合計で3回ある」とのこと。

1回目はすでに終了。
2回目はまず日本の学校で校長先生になって、日本人学校の校長先生のポストで行けるそうです。
3回目は定年してからのシニア枠。

でも、校長先生ってみんながみんな、なれるわけじゃないですよね。

A先生も「本当は校長先生になるつもりはなかったけど、また海外に行きたいから目指してる」んだとか。

そんなことも目をキラキラさせながら語ってくれました。
こんな子どものような目で夢を語る先生に教えてもらったら、子ども達も楽しいだろうなぁ。

ということで、今回は海外の日本人学校で働く仕組みについてでした。
Aさんいわく「先生の中でもあまり知られていない制度」らしいので、普通の人はもっと知らないんじゃないだろうか?と思い、書いてみました。

世の中は、まだまだ知らないことがたくさん!

インドで働くおもしろい人に出会ったら、また書いてみたいと思います。


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