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石油メジャー・シェブロンの酷い環境汚染と闘うスティーブ・ドンジガー氏

米国石油メジャー・シェブロンが南米エクアドルで30年に亘り放置した甚大な環境破壊。現地に乗り込んで草の根活動を率いて環境犯罪を追及したスティーブ・ドンジンガー氏。2011年にアマゾン先住民らを代表し勝訴を勝ち取ったにも拘わらず、シェブロンの悪どい報復で法廷侮辱罪に問われ、昨年まで1,000日に及び拘束(自宅軟禁)される信じがたい事態。社会正義を体現すべき国家と司法の深い闇であり、アムネスティー・インターナショナル等の僅かな報道以外、日本には伝わってきません。

大企業に癒着する不当な判決に、勇敢な弁護士が苦闘する状況は、アメリカ国内でさえ、石油大手への忖度なのか、報道が限られるのは嘆かわしい。
アメリカという超大国が、実はバナナ・リパブリック的であり、司法機関とマスコミは、石油や軍需の利権にまみれていることを象徴しています。

ドンジガー氏の不屈の信念に心から敬服してやみません。日本はじめ世界がもっと注目すべき大事件であり、民主主義の名のもとの背徳であることを知らせたく、引用させて頂きました。

ドジンガー氏が見たものは、後にシェブロン傘下となるテキサコが運営する掘削前哨基地と、採掘場から流れ出る廃油を流し込むためのオリンピックプールサイズの穴でした。調査によると、この穴から漏れ出た廃油は先住民族が飲用などの生活用水として使用する川に流れ込んでおり、胃がん・肝臓がん・喉頭がん・小児白血病などの発症率が高まっているという結果が得られました。

この結果をもとに、先住民族約3万人が1993年にテキサコに対する集団訴訟を起こし、この原告団の弁護士となったのが、ドジンガー氏でした。開始時点ではテキサコ本社が存在したニューヨークの法廷で訴訟が争われましたが、テキサコの買収を経て被告側となったシェブロンは、エクアドルで審理を行うように要請。これを受けて、ニューヨーク法廷はエクアドルでの判決を受け入れるという条件をシェブロンに認めさせた上で、エクアドルに管轄権を移行しました。この訴訟はエクアドルの最高裁で争われた結果、2011年に原告の主張が認められ、シェブロンに対して95億ドル(約1兆1000億円)という罰金が科されることとなります。

この審理を担当したマンハッタン連邦地裁のルイス・カプラン判事は、ドジンガー氏と原告団が強要や贈賄、資金洗浄の犯罪行為に関与したと述べ、エクアドルの最高裁がシェブロンに科した数百万ドル(数億円)という損害賠償金の支払いは無効であり、ドジンガー氏にはシェブロンの法定費用数百万ドルを支払う義務があるとする判決を下しました。これに対してドジンガー氏は控訴しましたが、カプラン判事はドジンガー氏に対し、PCや電話などの電子機器の内容を確認するためにシェブロンに提出するように命令。ドジンガー氏が他のクライアントの機密情報が含まれているという理由から、弁護士依頼人秘匿特権を盾に拒否したところ、カプラン判事は法廷侮辱罪でドジンガー氏を起訴しました。

そして2019年8月、ドジンガー氏は法廷侮辱罪の審理を待つ間、自宅勾留を続けるように命じられました。ドジンガー氏の左足首には監視用のGPS足輪が取り付けられています。一連の判決に対し、ノーベル賞受賞者29人や「レッド・オクトーバーを追え!」などで知られる俳優のアレック・ボールドウィン氏ピンク・フロイドの元ボーカルであるロジャー・ウォーターズ氏が声を上げています

Gigazine

スティーブン・ドンジガー氏は、人権と環境問題を専門に、アメリカで弁護士として活躍されています。1964年から28年に渡り、石油大手会社シェブロンは、エクアドルをはじめ、アマゾン地域に石油を違法投棄。周辺地域に甚大な環境汚染と、健康被害をもたらしました。1993年以来、ドンジガー氏はアマゾン地域の先住民族を代表し、シェブロン社に対する集団訴訟のために尽力。2011年には、ドンジガー氏率いる原告側が勝訴しました。しかし、シェブロンは報復として、ドンジガー氏を起訴。ドンジガー氏は、法廷侮辱罪に問われ、6カ月の禁固刑を言い渡されました。2022年4月25日に、ドンジガー氏は自宅軟禁を終えています。

Amnesty International Japan

なお、大手化学企業デュポン社がひた隠してきたフライパン等に使われる「テフロン」による環境汚染に一人の企業弁護士が立ち向かう映画「ダーク・ウォーターズ」。こちらは、同じく実在の弁護士ロバート・ピロット氏が、デュポン社のウエスト・バージニアの工場から垂れ流されていた有毒物質(PFOA)による、深刻な被害を暴きだす孤高の奮闘を描いています。


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