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スマホとヨハネ黙示録

<スマホ中毒の深刻化>
数年前海外から戻ってきて、老若男女問わずスマホの奴隷となった日本の街ゆく人々に唖然とした。世界的にスマホ中毒が叫ばれて久しいが、アフリカやアマゾンの原住民も既にスマホを片手にする生活に、一瞬にして移行しているというから、すさまじい限り。1990年代のパソコン、2000年代のインターネットの急速な普及を経て、2010年代のスマホが決定打を与えた感じがする。大きな影響を受けたのは将来を担う子供たちのくらしと教育である。野山を駆けて友達と泥んこになって遊ぶ姿は、都市化の進展で昭和の時代を最後に激減した。そこで膨張した子供たちの心の隙間は、人の触れ合いに代わって、人工的デジタル技術により瞬く間に埋め尽くされていった。

<人間性の密かな破壊>
誰しも大きな声では言わないが、大学の卒論や博士論文にしても、バレない程度に何でもググって調べることで済ませることが横行している。それこそデジタル・クラウド化は知の集積で効率的な学習ツールといえば聞こえはよいが、実態は人間本来の自分の頭で考えるということを都合よく省いてしまう弊害の方が多いのではないか。学校や塾でも手っ取り早く調べて学習する要領の良さに走り、思考力や独創性を浸食する。AIの活用がいたるところで叫ばれる風潮は、短絡的なアルゴリズム依存症を誘発、肌感覚あるコミュニケーションの本質が急速に損なわれていく。

<スマホを拝む異形>
大人から子供まで、満員電車の通勤通学のみならず、仲間との会話も片手にスマホを拝んでいる姿は、とても異様な世界だが、もはやほとんどの人々が不自然さに気付かない。スマホやネットを一時たりとも手放せず、頭をかしげて眼を酷使しながらも、慢性疾患のように禁断症状に悩まされる。スティーブジョブス、ビルゲイツ、しかり、GAFAの幹部たちは、世界中に毒薬をばらまいておきながら、自分の子供には与えず制限したのは有名な話。スマホといった電子機器やネット空間の沼地が、人類にもたらす危険性を知っていたから、沢山の本を読ませ、リアルに人々との語り合う大切を教えていたという。

<ヨハネ黙示録13章>
21世紀になり、地球温暖化、戦争、独裁的政治など、黙示録に照らしてみえる出来事が顕在化している。しかし、意外に身近に開発した手元の先端技術が、ともすると人類を変質させる最終兵器なりかねないのではないか。ヨハネの黙示録13章にある「一匹の獣が海から上って来るのを見た。全地の人々は驚きおそれて、その獣に従い、その権威を獣に与えたので、人々は獣を拝んだ。さらに、すべての部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。また、その獣を拝まない者をみな殺させた。」とある。この獣とは、独裁者を想像しがちだが、スマホを拝む異形な群衆の増殖からすれば、スマホやネットのバーチャル技術支配による断末魔と思えてならない。

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