見出し画像

【CDアルバム商品番号のあゆみ Vol.1】日本コロムビア

1910年に設立された独立系の老舗レコード会社であり、長い歴史を誇る日本コロムビア。日本レコード協会の正会員表でも一番上にあり、このシリーズで最初に取り上げるにふさわしい商品番号であると言える。

なお日本コロムビアの特徴として、ジャケットへの商品番号の刷り込みが挙げられる。ネット上に落ちているジャケ画像から商品番号を読み取れるので、私のような人間からすると非常にありがたい。

1986年春頃まで

CD参入当初、日本コロムビアは「¥¥C3?」という5桁の記号を使用していた。例えば1983年12月にリリースされた河合奈保子『コレクション』の商品番号は「35C31-7083」である。

画像21

先頭2桁「¥¥」はCDの価格コード(定価3,500円代なら「35」など)で、最後の1桁「?」はジャンルコード。多くの会社が当初から4桁の記号を使っていた中で、この5桁の記号というのは割と珍しい部類であった。

ジャンルコードは大雑把に分類すると以下の通り(間違いや例外がある可能性が大のため、あくまで参考程度の情報です)。

「1」いわゆるメインの系列
「2」インスト系
「3」純邦楽や民謡など
「5」アニメ系
「7」クラシック系
「8」ジャズ・フュージョン系
「9」その他、オムニバス系

ハイフン右側の番号は7000番台からスタートしている。当時の日本コロムビアはLPの商品番号も7000番台だったため、関連等ある気もするが詳細は不明。

1986年4月から

その後、1986年の4月頃に改定があり、「¥¥C?」という4桁の記号に変更された。例えば1987年11月にリリースされた中里あき子『1/200,000の都会』の商品番号は「33CA-1925」である。

画像4

ジャンルコードは大雑把に分類すると以下の通り(間違いや例外がある可能性が大のため、あくまで参考程度の情報です)。

「A」いわゆるメインの系列
「C」アニメ・ゲーム・特撮系など
「F」純邦楽や民謡、落語など
「G」教育系音源などインスト系
「K」ダンスもの等、BGM系など
「O」クラシック系
「Y」ジャズ・フュージョン系、BGM系、その他系

ハイフン右側の番号はリセットされ、1000番台からスタートしている。

1989年4月対応

1989年4月に日本全土を震撼させた出来事が発生する。
そう、消費税(3%)導入である。

これにより、それまで規格品番の記号に価格コードを組み込んでいたレコード会社の多くが対応に迫られることとなった。この時、各社がそれぞれ異なる対応をしており、個人的には興味深いポイントである。

日本コロムビアの場合は、記号から価格コードを取っ払い「C?」の2桁にする作戦に出た。例えば1989年8月に発売された野田ユカ『カリブの夢』の商品番号は「CG-3775」である。

画像4

ジャンルコードについては4桁時代から踏襲されているため割愛。
ハイフン右側の番号についても、4桁時代からリセットされずに採番されている。

RIS502制定後

消費税導入から遅れること3か月、1989年6月30日に日本レコード協会は「RIS502:レコード商品番号体系」を制定した。以下、RIS502の巻末解説からの引用である。

1989年にこの規格が制定されるまでは,商品番号の重複による混乱を避けるために,会員各社が新シリーズを設定する都度、日本レコード協会がその“記号”を登録してきた。
消費税が導入された1989年4月には,記号の登録数が既に 2,000 種に及んでおり,従来の登録制度の維持・管理が困難な状況となった。また,小売価格の多様化が予測される中,当時は一般的であった商品番号への価格コード組み込みが困難となり,レコード商品番号体系そのものの見直しの必要に迫られた。
そこで制定されたのが,この規格である。

これにより商品番号における記号が4桁体系化され、いわゆる「規格品番」が成立。またしても各社は対応に追われることとなった。
早い会社では同年9月に対応したところもあったが、日本コロムビアは比較的改定に時間がかかり、翌年の4月頃まで上記の2桁時代が続くこととなった。

日本コロムビアの会社コードには「CO」が割り当てられ、1990年春よりRIS502に基づく記号体系へ移行した。例えば1990年5月にリリースされた古谷玲香『あなたのほかにはあなたはいない』の規格品番は「COCA-6140」である。

画像4

ジャンルコードは大雑把に分類すると以下の通り(間違いや例外がある可能性が大のため、あくまで参考程度の情報です)。

「A」いわゆるメインの系列
「B」洋楽系(CURB DENON Records)
「C」アニメ・ゲーム・特撮系など
「D」CONSIPIO RECORDSなど(後述)
「E」教育系音源などインスト系(2000年以降)
「F」純邦楽や民謡、落語など(98年まで)
「G」教育系音源などインスト系(99年まで)
「J」純邦楽や民謡、落語など(98年以降)
「N」教育系音源、純邦楽や民謡などコンピ系全般(08年以降)
「O」クラシック系
「P」HEAT WAVE、コンピ系など(98年以降、後述)
「Q」クラシック系(98年以降)
「S」BGM系、ヒーリング系、ダンスもの等、インスト全般(98年まで)
「W」ワールドミュージック系、ダンスもの、インスト系など(98年以降)
「X」アニメ・ゲーム・特撮系など(98年以降)
「Y」ジャズ・フュージョン系
「Z」コロちゃんパック

ハイフン右側の番号は、新たに6000番台からスタートしている(記号2桁時代は4000番台後半まで進んでいたが、継続せずリセットされた)。

CONSIPIO RECORDS について

コンシピオ・レコーズは、1993年にファッションデザイナーの山本耀司、元YMO等の高橋幸宏、幸宏の兄で音楽プロデューサーの高橋信之、エンジニアの田中信一らによって設立された「AGENT CÕN-SIPIÕ」のレコードレーベルである。また同年に録音スタジオ「CONSIPIO STUDIO」も設立されている。
発売元はAGENT CÕN-SIPIÕだが、規格品番としては販売元である日本コロムビアの会社コードが採用されており、区別のため独自のジャンルコード「D」が割り当てられている。
その後、AGENT CÕN-SIPIÕは1996年に販売元をポニーキャニオンとし、独自の会社コード「AG」を持つに至った。一方で「COCD」の記号も併存(!)し、こちらでは新たにROUND TABLEをデビューさせるなどしている。

HEAT WAVE について

日本コロムビアは1998年にJ-POP部門を分社化し、株式会社ヒートウェーブを設立した。これにより、TRIAD等の社内レーベルの一部がHEAT WAVEへ移籍することになった。
発売元は株式会社ヒートウェーブだが、規格品番としては販売元である日本コロムビアの会社コードが採用されており、区別のため独自のジャンルコード「P」が割り当てられている。
HEAT WAVEは売上不振による債務超過のため、2001年に再び日本コロムビアへ吸収された。この際に記号「COCP」は消滅せず、日本コロムビアに引き継がれることとなった。こうした経緯から現在もコロムビアでは、どちらかといえば演歌やアイドル、ポップス寄りの記号「COCA」と、若干ロック寄りの記号「COCP」の2つが併存している(両者の境目はわりと曖昧)。

なお、記号「COCP」のハイフン右側の番号は3万番台と5万番台が存在し、発売元がHEAT WAVEのものは5万番台である。
3万番台は発売元がコロムビアのもので、主にコンピレーション系のCDに使用されていた。この分類は2001年にHEAT WAVEが日本コロムビアへ吸収された後も、コロムビア系・HEAT WAVE系の分類として継続していたが、2008年頃を境に3万番台への統合が図られたようである。
その他にも、2007年頃にMySpace等の「ネットから火が付いた」系アーティストをデビューさせる社内レーベル「Robin Works」が発足した際、COCPの6万番台が使用されている。

上記のジャンルコード一覧でも分かるように、HEAT WAVEが分社化された98年前後(および2008年前後)は複数のジャンルコードで切り替えが行われており、日本コロムビア内で構造改革が行われていた時期のようだ。

社内レーベル

日本コロムビアは社内レーベルが多数あるが、ジャンルコードをレーベル区分に使用していない(どのレーベルも記号は「COCA」など統一の)ため、規格品番だけではレーベルを見分けることができない。つまり実際に買ったりして調べないと分からない。
以下は私が所持しているGiRLPOPのCDを元にまとめたものであり、実際にはもっと多数のレーベルが存在している。Wikipediaあたりも参照してほしい。

COLUMBIA

画像5

画像6

画像7

メインとなるレーベルである。なお日本コロムビアのCD背ラベルや帯の特徴として、社内レーベル名と商品番号の記載があげられる。
ちなみに97年までは帯に価格が載っていたが、97年4月の消費税5%引き上げ以降は記載されなくなった(ここにも消費税の影響が・・・)。

Interface

画像8

画像9

インターフェース・レーベル。Wikipediaでは「ジャズ専用レーベル」ということになっているが、実際にはGiRLPOP系のアーティストも在籍していた。

TRIAD

画像10

画像11

ロックやオルタナティブ系のレーベル。一般にはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやTHE YELLOW MONKEYが在籍していたことで有名。

DENON

画像21

画像17

DENONはクラシック系がメインのレーベルだが、なぜか杉本彩が1枚アルバムを出している。

ROOT-K

画像21

画像13

90年代中盤に創設。美裕リュウと平松まゆきというチョイスから、レーベルの雰囲気を感じてほしい。

ART FORCE

画像21

画像15

YOKO以外にリリースがあるのか不明なレーベル。

Portazul

画像21

画像19

VieVieのフレンチポップ系アルバムでみつけたレーベル。

BODY

画像21

画像21

自分が持っているのは1枚だったが、実際には山下久美子やレッド・ウォーリアーズ、ルースターズなど、80年代後半のポップ・ロック系がメインのレーベル。

あとがき

こうして日本コロムビアの商品番号から分かることをまとめてみた訳だが、コロムビアが長い歴史と豊富なカタログを有していることもあり、予想以上に時間のかかる作業であった。
他のレコード会社も同様にまとめていきたいが、どれくらいのスパンで更新できるかは微妙なところである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?