【CDアルバム商品番号のあゆみ Vol.3】VAP、TOY'S FACTORY

VAP

日テレ等の出資により1981年に設立されたレコード会社。「Video Audio Project」の略称である社名のとおり、オーディオのみならずビデオソフトの取り扱いでも有名。筆者は幼少期に見たアンパンマンのVHSで、冒頭に映し出されていたVAPのオープニングロゴが妙に印象に残っている。

消費税導入まで

これまでVol1.、Vol.2とこのマガジンを読んでくださった方には伝わっていることと思うが、CDの商品番号というのはだいたい「記号-番号」という組み合わせで成り立っている。これはRIS502制定以前も同様で、価格コードやジャンルコードの扱いに違いに各社違いがあったとはいえ、根本の「記号-番号」という形は大抵一緒であった。

しかし、VAPはCD参入当初、「5桁番号−￥￥」（「￥￥」は価格コード）という、記号部分の存在しない独特の商品番号を使用していた。例えば1987年５月21日にリリースされた、森川美穂『おんなになあれ』の商品番号は「80042-32」である。

記号部分がないということは、当然ジャンルコードも存在しない。当時VAPでは「第2制作部」（後に独立するトイズファクトリー）がJUN SKY WALKER(S)や筋肉少女帯などを手がけていたが、こうしたラインも同一の番号で管理されている。
なお番号の1桁目は商品形態（8cmシングルCDは2、12cmCDは8など）であり、いわゆるマキシシングルは番号の頭二桁が「82」となっている（例：ラフィンノーズ「S.O.S」）。

番号は当初「001」からスタートしたが、1988年4月に「300」番台へ一度リセットが行われている。例えば1988年9月14日にリリースされたラ・ムー『Thanks Giving』の商品番号は「80309-32」である。

1989年4月対応

消費税導入で多くのレコード会社が対応を迫られた中、VAPは価格コード廃止という選択肢を取った。
これにより、VAPは商品番号が「5桁番号」のみという、非常に不思議な状態へと移行した。例えば1989年7月21日にリリースされた、中村由真『GROWIN'』の商品番号は「80349」である。

なお番号については、消費税改定前からリセットされずに採番されている。

RIS502制定後

VAPの会社コードには「VP」が割り当てられ、1990年2月よりRIS502に基づく記号体系へ移行した。例えば1991年2月21日にリリースされた倉橋ルイ子『1991・OUT ON A LIMB』の規格品番は「VPCC-80408」である。

ジャンルコードは以下の通り（間違いや例外がある可能性が大のため、あくまで参考程度の情報です）。

「A」演歌・歌謡曲系
「B」アイドル・ポップス系
「C」ロック系など
「D」映画音楽、サントラ系
「G」アニメ、声優系
「H」オルゴール系
「J」プロレスやコミックバンドなど
「K」洋楽メイン系
「L」ジャズ系
「M」洋楽その他系
「P」アンパンマン専門

なおハイフン右側の番号はRIS502以降前からリセットされず、そのまま連続して採番されている。
（1990年1月5日リリースの『ドリーミングとゆかいな仲間たち』が「80361」、同年2月5日リリースの筋肉少女帯『サーカス団パノラマ島へ帰る』が「VPCC-80362」）

VAPは現在も日本テレビホールディングスの事業子会社として継続している。

TOY'S FACTORY

上述の通り、もともとはVAPの第2制作部であったものが1990年5月に独立してできたレコード会社。ミスチルやバンプ、ケツメイシ、セカオワなどをヒットさせ、現在では「元VAP」だったことがどうでもよくなるくらい大きなレコード会社であるが、現在も販売元はVAPであり、流れもあるためここで紹介する。

トイズファクトリーの会社コードには「TF」が割り当てられている。例えば1996年6月21日にリリースされたEri『blue』の規格品番は「TFCC-88076」である。

ジャンルコードは以下の通り（間違いや例外がある可能性が大のため、あくまで参考程度の情報です）。

「C」メイン系
「I」カラオケ系
「K」洋楽系
「L」ジャズ系
「P」アニメ系

なおトイズファクトリーには複数の社内レーベルが存在し、当初それらはハイフン右側の番号によって管理されていた。例えばクラブ系の「idylic」は「88201」から、渋谷系の「bellissima」は「88301」から、ジャズ系の「deep blue」は「88401」から採番などである（写真はbellissimaからリリースされた平子理沙『PRIMITIVE LOVE』の例）

一方、通常ラインは「88001」から採番が開始されたが、リリース点数が200枚を超えた（上述のidylicのラインに到達してしまった）こともあり、2002年に「86101」から始まる番号へとリセットされた（ちなみにTFCC-86101はバンプのjupiterである）。
マキシシングルも当初は「87001」から採番されていたが、2001年頃を境に「89001」からの採番にリセットされている。

そのほか、TOY'Sのレーベルと番号の関係性はいろいろあるようですが、まとめきるには時間とカネが足りないため本日はここまで。