ロシアのウクライナ侵攻は、なぜ国際刑事裁判所で裁けないのか考えてみた。

こんにちは。
大学にて国際法を勉強しているsuyです。

今回は、最近世界中で話題となっている、「ロシアのウクライナ侵攻」についてのお話。

「ロシアが戦争を起こそうとしてるのに、世界は何してるんだ!」
「こういうことを止めるのが、国際刑事裁判所の役割じゃないの!?」


日に日に悪化するするロシア・ウクライナ間の混沌とした状況を見て、こう思う方も少なくないのでは?

というわけで本記事では、「なぜロシアのウクライナに対する行為を国際刑事裁判所(以下ICC)で裁けないのか?」について、ICC規程をもとに考えてみました。

まず、そもそもICCに裁判を付託できるのは誰か?それは
①ICC締約国
②国連安保理
③ICC検察官

このうち、①と③による付託の場合と②による付託の場合では、条件が違うので分けて説明しますね。

・①と③による付託の場合
ICC(国際刑事裁判所)管轄権発動条件(裁判開始条件)
a.犯罪行為地国がICC規程締約国であること
b.罪を犯した被疑者の国籍国がICC規程締約国であること


基本はこの2つが発動条件。でも、犯罪行為地国も被疑者の国籍国、双方がICC規程の非締約国である場合も、

c.被疑者の国籍国が、裁判の開始を承諾した場合

はICCの管轄権が発動される!(裁判を始めることができる!)

今回の場合にあてはめてみると、被疑者国であるロシアも、行為地国もであるウクライナもICC規程の非締約国だから、自ずとa.bの条件は満たしてないことになる。残るはcだけど、ロシアが自らICCに「裁判お願いします!」と言うとは思えないですよね、だからこれも潰れる。

じゃあーロシア裁けないのかー😭ってなると思うんですけど、まだ1つだけ希望は残ってます。それが②国連安保理による付託の場合!

・②による付託の場合
この場合、上記のa.b.cの発動条件を満たしていなくても、ICCは管轄権を行使できる!もっと簡単に言うと、国連安保理が裁判しろって言ったら、条件なしにICCは裁判を始められるっていうわけ。

今回の場合で言うと、国連安保理が「ロシアを国際刑事裁判にかけましょ!」と言えば、ICCは裁判を開始できる。

ここで、「安保理の力つよ!だったら早く安保理付託すればいいじゃん」と考えると思うんだけど、

実はロシアが常任理事国である以上、安保理はその力を恐れて、付託をすることはないと思われます、、

ここからわかると思うんですが、安保理はICC規程上は権威が強いように見えて、実態はけっこう弱い、、

ということで、最後の砦である②安保理付託の場合、も多分無理で、ICCは打つ手なし、裁判始められませんってわけ。

こうして見ると、ICCの脆さが露呈されてますよねー。よくICCが、「手足のない巨人」って揶揄されるのもうなずけるわーってかんじです。

説明はここまで。今回は、ICC規程12条、13条をもとに、ロシアのウクライナ侵攻をなぜICCが裁けないのかについて考えてみました。最後まで見てくださった方も、途中で飽きて読むのをやめてしまった方も、目を通してくれてありがとうございます。

不定期で更新していきますのでまた見てねん。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?