どうして私がアメカジを嫌っているのか

私がアメカジを世界最悪のファッションだと決めつけて嫌っている理由を書きます。

それは、端的に人間をダメにするからです。

アメカジは、アメカジを着る人のかけがえのない人生や個性を無かったことにし、ありとあらゆる方法で自己選択の機会や方法を奪い、低品質な物を高価格で売りつけ、アメカジを生活の中心にさせてしまいます。そして、アメカジを売りつけ着せることで人間にインスタントな満足感を与え続け、多様な価値観から遠ざけてしまいます。

アメカジはミルクです。ファッションに全く興味が無かった幼児が初めて触れるファッションとして、歴史やウンチクらしきものがあり、知る楽しみ、集める喜びを感じやすく、「ファッションは楽しい」という感動を得やすすぎるのです。しかし、そこに自分の考えやセンスはありません。全てが雑誌や古着屋が決めた価値観で決められています。四十代アメカジ野郎が集まると今だにGETONやBOONの話をしていませんか。彼らは年だけ重ねて今だにママである90年代ファッション誌の母乳だけを飲んで、ママの言いつけだけを守って古いジーパンやスニーカーを身に着けてアメカジママに褒めてもらうことに生きがいを感じているのです。

カタやアイテムが完全に決まっていて、過去に固定化された手本があり、不正解がなさすぎるアメカジは、母乳のようにファッション乳児を守ってくれます。しかし、本当にカッコいい人とは、不正解も自分の考えもないアメカジから親離れし、本当に自分のやりたいことや、眼の前のコミュニティで生きていくために必要なファッションを見つけて行くはずです。しかし、そうしてアメカジから離れた人々をアメカジ野郎はとことんバカにします。「あいつはダサくなった」という常套句とともに。

しかし、よく考えなくとも、自分の人生に優先順位を自らの意思で見つけられる人のほうが、他人の価値観で決められたジーンズやスニーカーにしか価値を見いだせないアメカジ野郎より比べ物にならないほどかっこいいことは歴然です。

30年も前の雑誌で崇拝されていたことを根拠に、かっこいいとされているジーンズやスニーカーを選ぶことは自分の意思ですか？自分の人格よりも下半身のヴィンテージジーンズや足元のレアスニーカーに注目を集める人生でいいですか？

ファッションは自分の人生を輝かせるものであってほしいものです。しかしアメカジはどれほど人の意思や選択をスポイルし、新しいものを生み出す力を捨てさせているのでしょうか。

自分の身につけるものを他人に決めさせないという、自立の最も初歩的な部分でつまずいてしまったのがアメカジ野郎です。

しかし、私が憎んでいるのはそうしたしょうもないアメカジ野郎本人では決してありません。アメカジというしょうもなさすぎる大嘘を広めていったメーカーやマスコミです。それを信じたアメカジ野郎は被害者でしか無いという考えです。

いつの日かアメカジ野郎が、本当に自分の体験や価値観で自分の着るものを選び、本当に自分の人生を歩むことを願っています。