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ドーナツを食べながら、舞茸に思いを寄せる

わたし、もう会社員として働けないのではないだろうか。荒れる潮流のなかに飛び込んで、それでも「まだ、もっと、厳しい世界があるのだから。私は世間知らず。ここはマシ。」と思っていたのかもしれない。「業界に向いてる」も言い聞かせてたのは覚えがある。

ということを、ドーナツ屋さんでドーナツをかじりながらうじうじしていた。アメリカンな食べ物だし、暗い気持ちを明るくしてくれると思ったのに、自分の迷路から全く抜け出せていない。ドーナツは悪くない。私の癖です。

ドーナツの甘さを感じつつも、出がけに取り込んだ、干し舞茸の香りを思い出す。ベランダから部屋に入れたとたん、家じゅうを舞茸の香りが埋め尽くした。圧倒された。大げさに言うなら新世界だ。だって、キノコの香りがこんなにあふれるなんて知らなかった。口の中の甘さより、濃厚な舞茸の香りに包まれたいなんて、贅沢だ。あと、ドーナツを食べつつ舞茸を思うなんて両立するもんなのかと感心する。

実は休職し始めて、体調が良くなって動揺している。良くなっているからこそ、今までの自分は何だったのだろう、と震えているのだ。

別にとてつもなく体調が悪かったわけではない。休職前は確かに、食欲をなくし、腹痛に悩み、生理は歴代で一番苦しかった。ベースとして鬱(10年物)を抱えてはいるが、寛解に近い。身体は健康な部類だと自負している。それでも、職場と家のストレスを無限ループで抱えると、終わらない旅に出てしまうのではないか。一難去って、また一難。自分はそういうもんだと思っていた。

これから、どうしよう。

正直、投薬を0にするチャンスがあったのに、転職先でストレスをためてしまって延期した。その分、本来の心身の健康とライフプランが遠ざかって、悔しくて何度も泣いた。

そしてここで体調が良い方向に変わり始めている。ここで「今まで私は自分を粗末にしていたのか」と思うと埒が明かない。涙は乾いたし、あとは心身ともに正直に生きるしかない。

干した舞茸は味噌汁に入れるつもりだ。タッパを開けたら、きっと「本当はせっかちになりたかったわけではなくて、のんびりで生きたかったんだよな」という思いも飛んでいくはずだ。焦らず行くしかない。

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