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夢・無意識・意識・自我

■この記事の要約

〇人間の成長・発達とは、無意識が次々に階層構造的に意識へと「開き出されて」いくプロセスである。
〇意識の領域は成長とともに拡大し、無意識の領域は縮小していく。
〇意識の領域は、下位の階層から順番に上位へ向けて、階層構造的に増えていく。
〇自己システムは、上位構造が意識化されればされるほど、下位構造を「含んで超える」かたちで形成される(「自己」もホロン階層構造を持つ)。
〇自己システムにおける「自我」は、より自己防衛的、異物排除的、隠蔽的な方向へ限定的に働く。
〇自我も自己も、自己システムにとっての観想の対象となり得る。上位の「意識=自己」は、下位の「意識=自己」を観想、思考、目撃の対象にできる。「意識=自己」を認識の対象にしたときに成長が始まるとも言える。
〇夢は、「ノンREM睡眠(コーザル)→REM睡眠(サトル)→覚醒状態(グロス)」という経路で発現する。この経路そのものが、無意識領域の存在を物語っている。
〇夢は、無意識を意識に変換することを促すことによって、意識の領域を拡大し、人を成長させる作用をもともと持っている。
〇人間にとって、「成長・発達」とは、可能なのではなく、避けられないものである。
〇グロスの意識状態でもっとも強く働く自我は、夢に対して「誤-変換」(歪曲、削除、置換、凝縮)を行おうとする。つまり、夢をグロスからサトルへと再び突き返そうとする。
〇「自我」対「夢」の対立とは、「グロス」対「サトル」の対立であり、自己崩壊を防ぐための自己防衛や現状維持の圧力と、自己成長(ある意味、旧い自己がいったん死ぬこと)の圧力との間の対立とも言える。
〇夢があえて「グロス→サトル→コーザル」というルートを通るのは、自我による国境検閲を回避するためである。サトルという中間的な意識状態の存在意義はそこにある。
〇夢がメッセージを象徴化するのは、自我による勝手な検閲をくぐり抜けるためでもある。
〇無意識には、少なくとも次の二つの領域がある。
・自我の都合で勝手に変換したり捏造したりできない(もともと変更不能な)ROM領域
・自我による抑圧の対象物や、返品の対象とされた夢の受け皿としてのRAM領域
夢はROM領域を出所とし、RAM領域を経由(あるいは参照)しつつ、意識の領域に立ち現れる。
〇「自己システム」は、次の三通りの方向性を持つ。
・意識の拡大圧力:無意識を意識へと変換することで意識領域を拡大する方向
・自我に対する縮小圧力:自我の拡大圧力を減退させ、抑圧や夢の返品を起きにくくする方向
・自我からの抵抗圧力:「意識=自己」からの縮小圧力に抵抗する自我の方向。抑圧、投影、取り入れ、歪曲、削除(忘却)、置換、凝縮などの「誤-変換」
〇自己システムの成長・発達とは、「意識=自己」の「拡大圧力」によって無意識のRAM領域が意識へと変換され、「縮小圧力」によって自我が減退する心的ダイナミズムである。

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