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右上象限(ゾーン6)と夢

■還元論や唯物論を回避するための4象限理論

さて、私たちはまずこの世の森羅万象を次の4つの象限に分けた。

〇「それ」の外面(右上)
〇「それら」の外面(右下)
〇「私」の内面(左上)
〇「私たち」の内面(左下)

この4つの分野に関し、さらに外側からの研究アプローチと内側からの研究アプローチの二つに分け、合計8つの「ゾーン」を想定した。
そのうち、次の4つのゾーンをすでに検討してきた。

〇ゾーン1:「私」の内面を内側から見る(瞑想、観想、セルフドリームワークなど)
〇ゾーン2:「私」の内面を外側から見る(意識の発達理論、多重知性理論など)
〇ゾーン3:「私たち」の内面を内側から見る(解釈学、ドリームカウンセリング/ワークショップなど)
〇ゾーン4:「私たち」の内面を外側から見る(文化人類学、記号学、エスノメソドロジーなど)

残るはゾーン5から8だが、この4つのゾーンを考えるとき、もっとも注意しなければならないのは、還元論や唯物論に陥ってはならない、ということだ。
還元論とは、「部分的な現象にあてはまる法則は全体にもあてはまる」と推論し、それを真理だとみなしてしまうことである。たとえば、あなたが一本の樫の木をよく観察し、樫の木の法則を読み取ったとする。その法則は、竹にもあてはまるはずだと考えるなら、それは還元論である(まさに「木に竹を接ぐ」の喩え通り)。一本の樫の木にあてはまる法則は、樫の森全体にもあてはまるだろうとするのも還元論だ。日本の東北地方の樫の森にあてはまる法則は、カナダの樫の森にもあてはまるはずだとするのも還元論である。

たとえば、あなたが脳をよく調べ、脳の特定の部位に特定の刺激を与えると、特定の反応が得られることを確認したとする。そこで、人間の感覚、欲求、感情、情動、思考、イメージ、ヴィジョンといった「心」(あるいは意識)の働きは、すべて外界からの何らかの刺激に対する脳の特定の部位の特定の反応である、と結論づけたとする。
これは、まず第一に人間の内面(心のあり方)を外面(脳の反応)へと還元する還元論である。つまり、左側象限を右側象限へ折り畳んでしまおう、というものだ。もっと言うなら、これは次の3つの点で還元論である。

〇刺激に対する反応の種類やパターンをすべてひとつの「反応」という概念でくくろうとする。
〇特定の刺激に対する脳の部位は一箇所に限定されているとする。
〇脳の機能は外側からの刺激に対する受動的な働きでしかないとする。

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