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夢の4つのチカラ(夢の学び39)

■「目からウロコ」体験が出発点

今回は、「夢のチカラ」についてお話しします。
「夢のチカラ」とは、わが師・大高ゆうこ先生のモットーでもあります。
ただし、「夢には計り知れないチカラがあるため、生半可な関わり方をすると、手痛いしっぺ返しをくらう」というのも師の教えです。
では、夢にはどんな「チカラ」があるのでしょう?
私たちは夢のチカラとどのようにつき合ったらいいのでしょう。
これは壮大なテーマでもあるため、今回はそのほんの一端についてお話しさせていただきます。
「夢のチカラ」といっても、大きく分けるなら、「夢が私たちに及ぼすチカラ」と「私たち自身が夢とのつき合いで身につけるチカラ」という具合いに二種類になるでしょう。
今回はそのうちの後者の部分です。(前者に関しては、またおいおいお話しします)

さて、あなたは夢についてどんな認識をお持ちでしょう。
「取るに足らない絵空事」「無視しても、実人生にはほとんど影響がないもの」とお考えでしょうか?
たとえばあなたが年中悪夢にうなされて不眠症になってしまい、泣く泣く心療内科を受診したとします。
「ほう、悪夢にうなされて眠れない? それはさぞお辛いでしょう。では、睡眠導入剤を処方しておきます。これで夢をみなくてすむと思いますよ」
医者にこう言われるのが落ちでしょう。
しかし、あなたがもし悪夢をたずさえてドリームワークに参加するなら、必ずやこう思うはずです。

「びっくりした! 夢がこれほど重要なメッセージを送っているとは!?」

これは、一回でもドリームワークに参加した経験がある人の共通の感想でもあります。
あなたが、夢の持つチカラを身につけることができるとしたら、つまり夢のチカラを人生の「味方」につけることができるとしたら、この「目からウロコ」体験が出発点です。あなたは自分にとってそれほど重要なメッセージを、受け取らすに一生を過ごしますか?

さて、あなたが身につけるべき「夢のチカラ」には、次の4つがあると、私は考えています。
○魚影を見るチカラ
○魚を釣り上げるチカラ
○魚を料理するチカラ
○料理を食べて栄養にするチカラ

■魚影を見るチカラ

夢とは、言わずと知れた「無意識の産物」です。いわば、無意識の海を泳ぐ魚のようなものです。したがって、まず自分の無意識を覗き込んで、そこを泳ぐ魚の「影」に気づいて、それにしっかり目を向けるチカラが必要になります。
普段は見向きもしないものに、意識的に視線を送るという作業は、簡単なようで意外に難しいかもしれません。ある意味、意識の転換が必要になるでしょう。
たとえば、あなたがもし右利きだとしたら、普段左手にはあまり意識が向いていないかもしれません。では、あなたが右手を怪我して、左手しか使えないとなったら、とたんに意識が左手に集中し、普段いかに右手ばかりに意識が集中していたかを思い知らされるはずです。つまり、あなたは人間が持つ可能性の半分しか耕していなかった、ということです。
言い換えると、あなたは普段、もちろん人間は陸に住む生き物だと思っているでしょうから、海の存在は視界に入っていないことになります。普段はそれで何の不都合もないかもしれません。しかしそれは、地球という自分たちの住処の半分しか認識していないのと同じです。
実際問題として、海洋性のマイクロプラスチックごみとは、そうした私たちの「思考の死角」によって生み出された環境問題であるわけです。こうした「思考の死角」問題は、意識と無意識の関係性にも言えるのです。
あなたがもし夢に注目するなら、そこにどれだけの可能性が眠っているかを感じ取り、その瞬間から、あなたにとって夢は取るに足らないものではなくなるはずです。いやむしろ、普段自分たちが意識せずに何気なく捨てていたプラスチックごみが、海を経由して巡り巡って結局自分たちの身体に悪影響をもたらしているのと同じように、広大な無意識の海に泳ぐたった一匹の魚が、自分の実生活にどれだけの影響を与えているかを思い知らされることでもあるのです。
夢によって「思考の死角」に気づくチカラとは、「白の代わりに黒に目覚めるチカラ」と言い換えてもいいかもしれません。

■魚を釣り上げるチカラ

魚影が見えたなら、海に釣竿をたらして魚を釣り上げるチカラが次に必要になります。これはつまり、目が覚めても夢を憶えていて、それを記録にとるチカラです。
ここに最初の難関があります。
よく「私は夢をみません」という人がいますが、それは「みてはいるが、忘れている」という意味です。睡眠中に夢をみることは、人間のごく自然な生理現象です。本当に夢をいっさいみないという人がいるとしたら、その自然な生理現象が何らかの理由で阻害されていることを表します。阻害要因としては、何らかの脳障害や精神障害、薬物の影響、目覚まし時計や人の声で起こされる、などが考えられます。自然に目が覚めたとしても、すぐに日常生活に意識が向いてしまうと、とたんに夢を忘れてしまう、ということもあります。
したがって、みた夢をきちんと思い出すチカラが次に要求されるわけです。実は、このチカラを養うことは、「思考の死角」を埋めるためにも役立つのです。なぜそう言えるのかについては、長くなるのでまた改めて詳しく取り上げます。ここではごく簡単に言っておきましょう。
目が覚めた状態で日常的に活動しているときの脳波と、まどろんで夢をみているときの脳波と、深く熟睡しているときの脳波では、その構成がまったく異なります。ならば、この3つの異なる意識状態のとき人間が何を考えているか、その内容にも違いがあるはずです。では、あなたが必要に応じてこの3つの意識状態を自由自在に使いこなすことができるとしたら・・・?
夢に注目し、それに思いを馳せ、それを記憶にとどめる作業は、少なくとも、まどろんで夢をみている状態と目が覚めて日常的に活動している状態との間の「懸け橋」になり得るものです。
ちなみに、学問的にも芸術的にも偉大な発見や創造行為の多くは、この夢のチカラに負うところが大であることを付け加えておきましょう。

■夢を思い出すコツ

ここで、夢を思い出すコツを伝授しておきます。
○床の中で、「目が覚めたな」と思ったら、目を閉じたまま、体も動かさず、声も出さず、直前までみていた夢に注意を振り向ける。これを「夢の尻尾を掴む」と言う。夢の尻尾を掴んだら、そのまま夢の全身を(尻尾から頭に向けて、逆向きに)たぐり寄せて、記憶にとどめる。
○「もうこれ以上思い出せない。でも、まだ何かみていたような気がする」と思ったら、静かにゆっくりと、目を閉じたまま一度寝返りを打ってみる。そうすると、その姿勢で寝ていたときにみていた夢を思い出す場合がある。特に寝返りを打っている最中に頭に思い浮かぶ事柄に注目すること。
○それでも思い出せない場合は、あなたの人生で大切な人たちの顔を次々に思い浮かべてみる。夢にそれらの人たちの誰かが登場していたら、その場面を思い出すことがある。つまり「夢の手掛かりをつかむ」。

あなたがベテラン・ドリーマーなら、この時点で起き上がっても夢を忘れることはないでしょうが、それでも床を離れてからなるべく迅速に夢を記録にとることをお薦めします。
あなたがビギナーなら、次の方法を試してみてください。

○夢を一通り思い出したと思ったら、できれば目を閉じたまま(あるいは薄目を開けて)、枕元に用意した筆記用具で夢を記録にとる。照明はなるべく点けない方がいい。点けるとしても、手元がほんのりと明るい程度にする。(ライト付きのペンを使うドリーマーもいる)
○夢を記録する順番は、必ずしもみた順番である必要はない。思い出した順番でかまわない。
○どんなに些細に思えることでも、できる限り記録しておくこと。この時点で内容に優劣をつけない。床の中では、キーワードの羅列程度にとどめておいて、起き上がってから改めてメモする、ということでもかまわない。
○五感で感じたもの(色、形、匂い、音や声、味、触感など)、夢をみている最中や覚めた直後に感じた感情(喜怒哀楽、不安や恐怖など)、登場人物が語った言葉、登場した文字・記号・数字なども重要な記録対象。
○ストーリーも動きもないような、単なるイメージも夢の一部。非常に視覚的な夢なら絵に描いておくとよい。うまい絵である必要はない。後で思い出すきっかけとしてのスケッチでかまわない。
○目が覚めた後でまどろんでいる状態、あるいは起き上がった後でも、まだ夢の余韻に浸っているときに、ふと浮かんだ事柄も夢の一部だと思って記録しておいていい。
○寝床から離れた後、しばらく経ってから思い出したり頭に浮かんだことがあれば、それも記録しておく。
〇夢の記録は無理に取ろうとしない、毎日取ろうとしない。忘れたら忘れたでかまわない。
〇みたものすべてを完璧に再現しようとしない。文学作品・芸術作品を完成させようとしない。

■魚を料理するチカラ

魚を釣り上げたなら、それをきちんと料理する必要があります。海に再びリリースしてしまったら、何の意味もありません。料理するとは、魚の「文法」から人間の「文法」に構文変換することを表します。夢はいわば象徴で表現されたものです。象徴とは「あるものを表現するときに、これでしか伝えられない別の何か」ということです。たとえば、夢に実在の人物の「Aさん」という人が登場したとしたら、それは「Aさんでしか表現できない別の何か」を表すわけです。したがって、「この夢の中のAさんは、自分にとって何を表すか」を読み解く必要があるということです。ドリームワークをする意味とはそこにあります。
これは、一匹の魚を与えられたときに、どれだけ美味しい料理に仕立てることができるか、という腕前の問題でもあります。もちろん料理には様々なレシピがあります。魚という素材に対して、肉料理のレシピを当てはめても、必ずしも美味しい料理にはならない、という点に注意してください。当然のことながら、料理の仕方を覚えるには、腕のいい料理人にレシピを教わる必要があります。逆に言えば、ひとつの素材に対して、それを美味しい料理に仕立てるレシピはひとつではない、とも言えるわけです。ちなみに私は、ドリームワークをやるとき、素材に合わせて料理の仕方を替えるようにしています。
実際の料理のレシピなら、ネットを検索すればいくらでも載っていますが、残念ながら夢の料理の仕方はなかなか載っていないので注意してください。ちなみに、夢辞典でシンボルやキーワードの意味を調べただけで夢の意味を読み解いた気になるのは、魚も肉も野菜も穀類も、すべてを同じ味つけにするようなものです。

■料理を食べて栄養にするチカラ

当然のことながら、料理は食べるためにあります。食べないで、ただ鑑賞するだけの料理では、まったく意味がありません。ところが、夢の意味を読み解いただけで感心して満足してしまう人が何と多いことか!
せっかく美味しく料理したのですから、それをしっかり食べて、自分の栄養にしなければなりません。つまり、夢から得たメッセージを実生活の中できちんと実践に移す、ということです。夢のチカラは実際に生きるうえでの推進力に換えてこそ、その本領を発揮するのです。
仮に、夢を「映画」にたとえてみましょう。映画ならただ鑑賞して感動して終わりでもいいかもしれません。しかし、あなたがもしその映画から受け取ったメッセージや教訓を自分の生活や人生に持ち込み、学んだ通りに実行に移すなら、あなたはその映画を生きる糧に変えたことを意味します。夢もそのように活用してこそ、初めて自分の血肉になるわけです。
ここまで実践できたら、あなたも立派なベテラン・ドリーマーの仲間入りです。

実はこれは、夢の教えを実践する場合に限らず、もっと広く言うなら、「思考を現実化する」にはどうしたらいいか、という問題でもあるのです。
たとえば、ある日突然、あなたにこんな考えが浮かんだとします。
「私の人生にとって、愛するということが何より重要だ」
さて、あなたはこの考えをどのように実践に移すでしょう。
あなたは、この考えの結果、突然ボランティア活動を始めるかもしれません。
あるいはあなたは、長年目を背けていた苦手な相手との関係の改善に着手するかもしれません。
あるいはあなたは、自分の子どもとの関係性を見直し、叱ったりダメ出しばかりしていたのを反省し、無条件の愛で子どもを包み込もうとするかもしれません。
あるいはあなたは、自分が長年愛情を注ぐ対象を失っていたことに気づき、突然ペットを飼い始めるかもしれません。
どれが正解ということではありません。あなたが、自分の愛を表現するのに選んだことが、その後のあなたの運命を決めるわけです。
もっと言えば、物事を選択するうえでの、あなたのパターンや傾向、癖のようなものが、あなたの運命パターンであり、それは後から教えられたり刷り込まれたりしたものというよりは、持って生まれた運命パターンのようなものでしょう。
カシの木のドングリには、適切な環境さえ与えられれば、将来必ずカシの木に成長するすべての要素が内包されているわけです。カシの木のドングリをある場所に埋めたらケヤキの木になった、という話は聞きません。
人間も同じことでしょう。ある人を必然的にある運命へと導くものは何かというと、私はそれを「魂」と呼んでいます。インテグラル夢学の立場で言うなら、魂こそが、夢製造工場の工場長です。ドリームワークとは、その夢製造工場の工場長の意図を読み取ることに違いありません。つまり、あなたが自分の魂の意図について知りたいなら、私なら「真っ先にドリームワークを試してご覧なさい」と言うことになります。

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