徒然駄文15:水星の魔女が面白かったのでHGエアリアルを買いに行ったのにどこにも売ってねぇそす。どういう事そすか。と思いつつガンダムベース東京に行って来たそす。

ようやくの夏休みだったので、バイクでガンダムベース東京まで行って来ました。
昨日見た水星の魔女が良い感じだったので、ガンダムエアリアルを買おうと思ったらどこも売り切れ。買うならガンダムベースだよって、どうなんだそれ?と思いつつ、一度くらい行ってみようかと。

最近仕事で行くことの増えたお台場や湾岸方面へはほぼ直線コースなので125ccのグリファスで1時間ちょい。腰が痛いなぁと思いながらプチツーリング気分で。

ガンダムベースはガンプラ文化というよりも、なんかコミケの企業ブースみたいなノリで、物販スペースであって、僕らが今までどういう環境でガンプラを買って来たのかとかそういう記憶の保存にも継承にもなっていない感じだった。

SDガンダムの売り場がよく出来ていて、丁度、プラモデルを作り始める様な歳の子を抱える様な世代が小中学生に買っていた武者ガンダム系の再販と現行のヒーローズやSDキットを並べて売っている。ここは親子連れが一緒に商品を選んでいて、善哉善哉と思って眺めてしまった。いや、自分がその世代だからだけど( ´△`)

あとこれは他の客も言ってたけど、限定品をクリアパーツ成形するのマジでやめて。要らない。F90とか欲しかったのにクリア成形のモナカ構造でパーティングライン丸見えって、それモデラーほど買いたがらないだろうよと。

ともあれ、HGエアリアルは普通に買えて、来た記念にペイルライダー(買うんかい)を買って写真撮って帰って来ました。うーん、なんかこう、なんかこうさ…というモヤモヤを抱えつつ。帰りはノーナビでゆったり長そうかと思ったけれど、まだ昼だったので休憩がてら地域の模型屋を探しつつ帰ることに。うーむ、これはツーリングコースとしては悪くないなぁ。

で、

地域でやってる個人商店の玩具屋や模型屋は駐車場が無い事が多いので、回るなら小回りが効いて駐輪場所に困らない原付が便利なのだけど、やっぱり積載量が無に等しいのが辛い。訪問して話を聞かせて貰う以上は何か買って帰りたいしね。

最初は掘り出し物を探しに、或いは同地域の駄菓子屋や紙芝居の情報を得る為に始めた玩具屋訪問も、ここのところの閉店ラッシュで大分寂しくなって来た。何度か包摂した店もリストアップしたものを確認すると3回も行かないうちに閉業してしまっている事が多い。初訪問が閉店セール中で店の人に挨拶されたりで、セール品買うのも気まずかったりってのも案外多いのだ。

地域の玩具屋や模型屋が大切だと言うのは、そこが地域に住むおたくのコミュニケーションの拠点であり、地域で育った子ども達がホビーに接触して一定数がおたくになって巣立っていく文化のバイパスでもあるからだ。

Amazonや楽天で買ってばかりでは趣味は広がらない。リアルの店先で偶々手に取ったり一目惚れしたりしたキットやおもちゃによって新しい作品に触れる機会や、店主や常連から教えて貰って初めて触れる作品との出会いもある。

これを図書館学ではセレンディピティと呼ぶ。
図書館やリアル店舗の書架で、欲しいと思っていた本の近くに配架陳列されていた本と偶然出会う事で広がる機会をこう定義する。
玩具屋や模型屋にも、こう言う出会いがある。
最近増えてきたプラモデルの工作スペースは、模型の作業台と言うよりむしろ、同じ趣味の友人や仲間を見つけたい人達に好評だそうだ。そういう社交場は少し前まで、いや、鉄血のオルフェンズの放映中だって地域の玩具屋だった筈だ。それが工作スペースに移行してしまったのは何故なのか。

地域の玩具屋や模型屋、個人経営の小さな店には品物が入って来ないのだ。
元から同じ商品は10個も入ってこない。RGやPGのような高額商品は尚の事少ない。そこに転売屋が入って来るから在庫は瞬殺される。更に、最近では注文書に一部の新製品が載って来ないそうである。中小個人経営の店が売れる時期に思うように入荷出来ない商品が大手や量販店に大量に並ぶ。水物に群がる転売屋やライトユーザーは量販店や大手に流れて行き、地域の玩具屋から人が減っていくから、交流も減る。なんとなれば、ロボットアニメの放映後に地域のお店に集まって新製品を買いながら無駄話をするのが社交場としての地域の玩具屋や模型屋のサロン性の基軸となっていたからだ。

転売屋や品薄はこれを覿面に破壊する。
そして追い討ちがガンダムベースだ。ガンダムカフェの様な場所かとも思っていたけれど、何のことはない、直営販売店であって、ここで商品が売れてしまう以上、メーカーとしては地域の小売店に気を使う必要は無い。

地域のお店を幾つも回っていると、大体こんな話ばかり出て来る。品揃えは年々薄弱になっていく中、ショーウィンドウに展示される常連の作と思われるプラモデルには最新のキットが並ぶ辺り、地域にはそれぞれ同好の士が棲んでいて、似た様な思いをしているのだろう。

地域のお店は、社交場であり、ガンプラを含むプラモデルやサバゲー文化の啓発・継承スポットでもある。これだけ作品や商品が多様化した時代になっては、消費者は大看板の作品や商品以外に自力で出会う事が困難だ。YouTubeを使ってみれば分かるが、インターネットでレコメンドされる動画や情報、ニュースだけ見ていると致命的に情報が偏る。偏った宣伝しか受けないのだから消費も偏る。消費者にとってもメーカーにとっても小売にとっても酷い機会損失だ。

しかして、その偏りこそは「好きなもの」「不安にさせないもの」に囲まれていたいという願望によって成り立っており、妙な話だが僕らにとっての玩具屋や模型屋もまたそういう空間なのである。
違いがあるとすれば、実店舗は店のオヤジや他の客と生身で対面し、陳列される商品もネット程には「儘ならない」。その他者性が重要なのだ。
インターネットを通じた購買活中や情報収集が主になると、実店舗の「儘ならない」リアルの生々しさ、他人が介在する感覚、他者の意思や意図の所在に鮮烈さを覚えたり、色々と学ぶ事が多い。その体験、機会が失われていく状況を危惧するし、だからこそ地域のお店を大事にしたいと思うのだ。

模型屋回りは、店の人や常連から話を聴いていると1店舗につき1時間以上かかる事もあるので、そんなには回れない。今日の締めは地元にある老舗の模型店だった。20年近く住んでいたのに、この歳になって初めて訪問した。
品揃えは悪い。事情は他の個人経営と同じような感じだ。バイクで来たのを惜しみつつ、話を聞かせて貰い、幾つか買い物させて貰って帰る。
床や棚板が見えてしまう事なんて、僕が子どもの頃は無かったのにな。
そう思いながら家路につく。
地域のお店が生き残れる様にするには、どうしたら良いのだろうか。
実家も色々店をやっているので他人事では無いし、本当に、世に生きていく瀬の減り続ける事かくの如しなのである。

うーん。暗くなっちゃうね。
地域のお店も大事にしようぜ。それが、若い子達が秋葉原やガンダムベースや工作スペースに求めている出会いを手に入れる一番確実で基本的な営みだからねー。

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