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伝わるスライドを作るにはメッセージを洗練させよう 3つの法則

Antaa Slideには、読みやすく勉強になるスライドがたくさんあります。素敵なスライドを見ると真似をしたくなるものです。しかし、いざ自分で作ってみると、思うような仕上がりになりません。実は、メッセージが作り込まれていないことが主な理由です。内容をデザインすることが最重要で、フォントや文字の配置、色彩という意味でのデザインは二の次に考えます。

今回はスライドのメッセージを洗練させる3つの法則を、Antaa Slideを教材にしながら説明します。これを読めば、スマートなスライドが作れるようになるはずです!

法則1:短いキーメッセージを決めることが第一歩

結局、なにを伝えたいのか?が、ぼやけているとスライド全体がしまりません。スライドを作ろうと思ったらまず、全体をまとめたキーメッセージを決めることから開始しましょう。東京北医療センター総合診療科の投稿である「<東京北プレゼン部>キーメッセージは何だ!」では、キーメッセージの作り方を勉強できます。

具体的な作り方は、「□□なとき、◯◯は、△△しよう」という短文で言い切って表現する方法です。例えば、このnote記事のキーメッセージは「スライドを作るとき、スライドのメッセージは、とにかくシンプルにしよう」となります。

キーメッセージが決まると、それに沿ったストーリーでスライドを作ります。方向性が明確なので、スライド作成時間を短縮することが可能です。話題が脱線せず、読者がノイズに感じるような情報が減り、最後まで読んでもらいやすくなります。内容が多くなり過ぎても「キーメッセージに直接、関係しているか?」という判断基準で削っていけばいいのです。極論ですが、すべてのコンテンツはキーメッセージを説明するための存在と理解しましょう。

法則2:エッセンスのみを残すために、大きく削って、小さく補足しよう

京都大学の小林啓先生が投稿した「医療スライドをデザインする」を紹介します。非常に保存数が多く人気のスライドです。最初にメッセージについて話題にしています。いかにメッセージが、スライド作りにとって重要かわかりますね。

伝えたいことすべての中から、本当に重要なエッセンスのみを残すように、大きく引き算をします。そして、エッセンスを説明するような事項を少しだけ足し算するのです。スライド作りでは「大きな引き算、小さな足し算」という合言葉を覚えておくとよいでしょう。法則1で紹介した、キーメッセージを作るときにも役立つ考え方です。

また本スライドでは、文字の多いスライドをグラフィックで伝わりやすく変身させる具体例を示しています。とても有用なので必見です。

私は先日、研究資金の調達のため、院内コンペで研究についてのプレゼンテーションが必要でした。専門分野が違う医師にも、研究内容をわかってもらう必要があり「医療スライドをデザインする」にならい、伝えたいメッセージを単純化しました。この結果「プレゼン、わかりやすかったよ!」と声をかけてもらい、コンペにも勝てたのです。本スライドには即効性のある情報が詰まっています。

法則3:グラフィックはメッセージの伝える力を増強する

メッセージに沿った写真やイラストは、伝える力を増強します。グラフィックは、文字よりも感情に訴えかける作用が強く、記憶に残りやすい表現方法です。グラフィックの有効な活用法については、東京北医療センター総合診療科の投稿である「スライド作成の写真選び」が参考になります。写真選びの注意事項は以下の3点です。

・なんとなくかっこいいだけの写真はNG
・ネットでよく見るような、ありふれている写真はNG
・直感的に理解できない写真はNG

スライド全体の一貫性を支持するようなグラフィックを選ばないと、かえって逆効果になってしまうということですね。また、自分で写真を撮影することもおすすめされています。キーメッセージが明確にできていれば、自分で写真を撮った方が、より簡単に統一性のあるスライドを仕上げられますよね。たしかに画像素材サイトをめぐって、お目当ての画像を探しているうちに、かなり時間が経過していたという経験が何度もあります。積極的に写真、イラストを活用して、スライドの説得力を高めていきましょう。

見た目をきれいにする前に、内容を磨こう

今回は、メッセージのデザインに役立つスライドを紹介しました。まずは「ズバリ、なにを伝えるか」を考えて、メッセージを作り込むことが重要です。そのあとにスライドのデザインに必要なPowerPointの操作テクニックを学びましょう。

伝わるスライド作りの要点は、以下のポイントです。
・スライドの柱となるメッセージ(キーメッセージ)は「□□なとき、◯◯は、△△しよう」と短文で言い切れるくらい簡潔に
・内容はキーメッセージを説明するためのものと理解する
・内容は削ることを重視し、あとから少し説明を補足すると、伝えたいメッセージが際立つ
・グラフィックを有効活用すると感情を動かし記憶に残る

見た目も大切ですが、まずは中身を洗練させてかっこいいスライド作りを楽しみましょう!


執筆:ゆっくり救急医