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今から救急外来に妊婦が来る!? 読んでおきたいスライド5選

初期研修医や後期研修医のみなさん、勤務されている救急外来当直に妊婦が来たらどうしますか?産婦人科のない病院の救急外来に、妊婦が来る頻度は少ないです。しかし、ゼロではありません。救急搬送の頻度の多い地方病院での夜間勤務なら、産婦人科の先生がいない救急外来の妊婦対応というのは必ず経験するものです。

私自身は、初期研修医時代に数か月に1度は妊婦の救急対応をすることがあり、毎度冷や汗をかく心持ちでいました。そんな私の経験を踏まえ、妊婦や授乳婦が救急外来に受診してきた時の診療に活用したいAntaa Slideを紹介します。女性診療や妊婦に出せる薬などについて学んでいきましょう。

■女性診療の基本は、月経歴や性交歴などの産婦人科的問診!

「女性を見たら妊娠と思え」との有名な言葉があります。これは救急外来でも例外ではありません。しかし、一般的な産婦人科問診の方法を覚えるだけでも、予期せぬ妊娠やその見逃しに関して足をすくわれることが減るのではないかと思います。

産科後期研修医の丸山陽介先生が、産婦人科一般診療でメジャーな、女性特有の臓器トラブルや妊娠を含む疾患を年齢別に紹介しています。頻度の高い疾患を念頭に置いての女性診療は重要です。スライドから学ぶことで鑑別診断の幅が広がりますので、ぜひ一読をおすすめします。

■女性特有の臓器も、シェーマでイメージするとわかりやすい!

女性特有の臓器のことは、専門性が高くてとっつきにくいですよね。図解が多く、イメージでとらえられるシェーマが豊富なスライド「産婦人科を見える化して考える」で学びましょう。紹介緊急性の有無が判断できれば、救急対応は十分合格ラインです。「PIDと虫垂炎の鑑別に有用な所見」の解説もあり、tipsとしてとても参考になります。

■今から救急外来に妊婦や授乳婦が来る!緊急対応におすすめのスライド3選

「この薬を飲んでも母乳や赤ちゃんは大丈夫ですか?」
「赤ちゃん(胎児)に被ばくは大丈夫ですか?」
妊婦・授乳婦分け隔てなく来る救急の場では、必ず出会う質問があります。知らないと医師の側もうろたえますし、患者さんの不安も増しますので準備しておきたいですね。これらの質問にすぐに答えられるお役立ちAntaa Slideを3つ紹介します。

①授乳中に使える薬に対応している検索サイトでパッと検索しよう

淀川キリスト教病院の柴田綾子先生のスライドは、授乳婦の薬処方に関して非常に実践的です。救急外来で使える薬の検索サイトが紹介されているので、授乳婦対応時の薬について実際に何をどう調べたらいいかがわかります。成書で調べている時間がない時には、お役立ち検索サイトでチェックしましょう。


②胎児被ばくの説明ができるようにしよう

胎児被ばくに関しては、本当によく質問されます。どうしても必要な検査だとしても、胎児のことを優先したいのが妊婦の常です。検査をおすすめする前に、検査のメリットとデメリットに関する説明に必要な基本的知識を仕入れておきましょう。被ばくの程度や影響に関して説明ができると、患者さんも医師も安心です。

③見落としてはいけない妊婦のレッドフラッグについて学ぼう

淀川キリスト教病院の柴田綾子先生が作られた別スライドを紹介します。特に妊婦の薬に関して多く記載があるほか、救急外来で役立つ妊婦のレッドフラッグについての知識が多く解説されています。後半では、特に薬剤処方に関して参考にできる成書が複数紹介されているので、医局にお願いして救急外来にも置いてもらうようにしましょう。

まとめ 実践的なAntaaスライドで妊婦の救急のイロハを身に付けよう

紹介したスライドをひととおり読んだあとは、妊婦・授乳婦の救急対応に少し自信がつくかと思います。お急ぎの人は、「今から救急外来に妊婦や授乳婦が来る!緊急対応におすすめのスライド3選」の項で紹介したスライドからチェックしてくださいね。

産科救急と妊婦の救急は別物です。実際のところ、産科定期検診や後期妊婦トラブルおよび分娩を学ぶ産婦人科のローテート研修が、妊婦の救急対応に役立った思い出はあまりありません。

一方で、妊娠初期の患者さんが一般病院の救急外来に受診することは、私が想像していた以上に多くありました。初期研修医だった私はその都度、適切に対応できるかどうか不安を感じていたものです。

妊婦の救急の現場で役立つ実践的なAntaa Slideを参考に、救急勤務の荒波を乗り切ってください!

執筆:珊瑚@緩和医