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スタッフ大量離職から学ぶ、自分や組織を模範とすることの大切さ

こんにちは!Antaa運営です。

医師が共に学び、共に成長する『Antaa Academia 』。講義では、多方面でご活躍される先生方をゲストにお呼びし、医療経営やマネジメントをテーマに、ご自身が経験したこと、そこから得た学びをお話頂いております。

8月27日に行われた「Antaa Academia 5期DAY2」では、医療法人社団モルゲンロート 小暮裕之理事長が登壇してくださいました。本記事は、発表の内容をご紹介します。

医療法人社団モルゲンロート 小暮裕之理事長
獨協医科大学卒業後、総合病院国保旭中央病院 小児科・国立成育医療研究センター 総合診療部などに所属。現在は、東京都湾岸エリアを中心に、大人から子供まで診療する5つのクリニックを経営。数々のメディアに出演しており、自身が進行・コメンテーターを務める番組に、ちばテレビ『未来をつくるこどもクリニック』TOKYO MX『news TOKYO FLAG』等がある。
今後は海外での事業展開も見据え、精力的に活動中。
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私は現在、湾岸エリアを中心に5つのクリニックを経営しています。経営における失敗談は多々あるため、今日はそこから得た学びを皆さんにお話したいと思います。ではここでクイズです。

クイズ:顧客であるスタッフの大量離職発生。こんな時どうしますか?


これは私が実際に経験したことで、2021年夏にナースの8割がやめてしまうという事件がありました。しかも、大量離職が発生する3日前まで、そのことを知らなかったのです。

とても辛い出来事でしたが、当時の私がやったことはまず「自分の模範から見直しすること」でした。自分自身がはっきり言って模範を示せているのか?信頼される人間なのか?という点を振り返り、『7つの習慣』をもう一度読み直しました。

まずは自分の模範から見直し

その後、学んだことを周囲の方に広げていくことにしました。当時ネガティブな感情になっているスタッフが多くいましたが、ネガティブになった方に働きかけるより、まずは最重要ポジションにいる幹部人材が、模範を示せているのかを見てみました。当時参考になったのが『ビジョナリーカンパニー0』です。マネージャーには真摯さが重要であると著書にありましたが、最重要ポジションにいる人材ができているかをチェックし、引っかかる部分は人員配置の適正化を行いました。

重要なポスト 育成か交代か迷ったときの質問(「ビジョナリーカンパニーZERO」より)

ほか重点的にやったことは、新人の人格形成にかかわる教育です。もともと半日だった新人研修を3日間に増やし、学びの時間をじっくりとることにしました。また、当時私が管轄する部門がとても多かったため、組織体制も変えました。

例えば、医者・看護師・管理部など複数部門をまたがって見ている状態だったものを、各部門の責任者を立てて彼らとミーティングをするようにしました。いまでは現場のマネジメントは離れ、私は基本的に海外案件や新規事業にフォーカスする体制となっています。

まとめると、冒頭クイズにある大量離職が発生した際に私が行ったことは、模範から見直す・最重要ポジションの見直し・新人教育・組織体制の変更ですね。

参加者からのQ&A

続いては、参加者から寄せられた質問と小暮先生の回答です。
非常に沢山の質問が寄せられたため、QA形式でご紹介します。

Q.新人教育の内容を詳しく教えてください。

3日間の研修のうち、2日間は『7つの習慣』の研修で、残り1日は心理学です。『7つの習慣』は、医療従事者版をオリジナルで作成しました。心理学に関しては、”明るくしていれば人生何とかなるんだ”というポジティブなマインドになってもらえるよう、NLP(Neuro Linguistic Programing)を盛り込みながら、研修を行っています。

Q. 5年後、10年後どんなことをしていると思いますか?

当クリニックは「笑顔で安心して出産や子育てができる社会を創る」をビジョンに掲げており、関わる領域は医療だけではないと思っています。日本は少子化が進んでおり、ある統計によると”2995年には日本の子供は一人になってしまう”というデータもあるくらいです。日本だけではなく地球をターゲットにして、医療だけではなく途上国に学校をつくるなど、世界の教育問題などにも取り組みたいと考えています。

Q.経営者として一皮むけたなという経験と、そこからの学びはなんですか?

2016年にも大量離職がありまして、8割くらいの方が辞めてしまいました。その時改めて経営者としての在り方を見直すきっかけとなりました。『7つの習慣』で勉強しつつ、くり返し採用を行いながら、自身の成長と共に立て直していった形ですね。大失敗したことこそが学びですね。

Q.スタッフ満足度調査のようなものはされていますか?

昔は大事にしていました。しかし、上司が部下を評価するのではなく、部下が上司を評価するような形になってしまったため、今ではやめています。あくまでクリニックを評価するのは、患者さんであり地域社会です。


いかがでしたでしょうか。
実際に小暮先生が経験された事例だからこそ、説得力のあるお話でした。
ぜひご自身の病院・クリニック経営の参考にされてみてくださいね。

医師が共に学び成長する「Antaa Academia 」

本記事は、2022年8月27日に行われた『Antaa Academia 第5期 Day2』の講義内容をまとめたものです。Antaa Academiaは、次代の医療機関経営/運営の中核を担うマネジメント層の育成を目的に、約半年間にわたり医師向けのマネジメント•リーダーシップに関する講義をお届けするオンライン学習プログラムです。

環境や立場によって、組織を率いたり経営に携わったりする医師の方もいらっしゃるでしょう。しかし「どのようにチームを引っ張ればいいのか」「どのように考え意思決定し、どう振る舞えばいいのか」一人で悩むこともあるのではないでしょうか?

Antaa Academiaは、こうした悩みを抱える医師同士で集まり、共に学び、共に成長する機会を提供しています。

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