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「アイデアのつくり方」Antaa Academia supported by MEDIVA第4期DAY7開催レポート

このnoteでは、「経営やマネジメントを学ぶ」Antaa Academia supported by MEDIVAの講義内容を抜粋してご紹介します。
2022年1月7日開催の第4期DAY7は、主に『2022年度診療報酬改定ポイント』と、課題図書「アイデアのつくり方」(ジェームス・W・ヤング著)の解説です。課題図書の内容を医療機関に結びつけた講義の要約を、レポートにしてお届けします。

【Antaa Academiaとは】
30代〜40代前半を中心とした若手医師を対象に、次世代医療機関経営・部門運営を担うための経営・マネジメント手法をレクチャーしています。

【講師紹介】
小松大介氏
 東京大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとして従事。その後、株式会社メディヴァを創業。累計400件超の医療機関コンサルティングを通し、現代医療が抱える様々な問題解決に貢献。

◆2022年度診療報酬改定ポイント解説

まずはじめに、講師・小松さんより「2022年度診療報酬改定」についてのお話がありました。

2022年度診療報酬改定のポイントは、診療報酬の改定率の0.43のうち、実際0.2は急性病院のみを対象とした看護処遇改善(看護師の給与UP)に使われています。

一方、リフィル処方箋(反復利用できる処方箋)でマイナス改定を受けていますが、それによって医療費改善を謳うのがポイントとなっています。

ほかにも、新型コロナ感染拡大によって明らかになった課題解決のため、良質な医療を効率的に提供する体制設備の観点から、以下の事項について改革を進める予定です。

「医療機能の分化・強化」「在院日数の標準化」「医師の働き方改革」「かかりつけ医の診療報酬上の措置」等が計画とされています。

診療報酬改定に至る背景には、「全世代型社会保障改革の方針」があります。不妊治療への保険適用、待機児童の解消、男性の育児休業取得推進を中心とする『少子化対策』や、『医療提供体制の改革』としてかかりつけ医機能の強化、オンライン診療の推進、医師の働き方改革があります。
また、22年4月以降外来機能報告制度がはじまるといった背景があります。

令和4年度診療報酬改定の基本方針

以下が、令和4年度診療報酬改定の基本方針となります。

  • 新型コロナ感染症対策の改定

  • 働き方改革における改定

  • 高度急性期病院における診療報酬改定

  • 高度急性期病院における診療報酬改定

  • 急性期入院料関係の改定

  • 地域包括ケア病棟/病床における診療報酬改定

  • 回復期リハビリテーション病棟における診療報酬改定

  • 慢性期病床における診療報酬改定

  • 外来/診療所における診療報酬改定

  • 在宅/訪問診療における診療報酬改定

  • 精神科病院における診療報酬改定

  • オンライン診療における診療報酬改定

  • 不妊治療についての改定

講義では各項目についてポイント解説がされました。

”10年後の医療機関経営”病院コンサルタント的私見

上記改定案と医療機関の現状を踏まえ、講師・小松さんが
”医療機関経営の10年後”の見解を示しました。

  • 高度急性期医療は、400床以上の地域中核病院から50-100小程度の専門特化型病院だけが生き残る

  • 200床までの中小規模病院は、回復期機能として地域包括ケアとリハビリテーションが鍵となり、特に在宅医療は中小病院の必須機能となる

  • 200~400床の中規模総合病院は、戦略的に悩ましい状況となる。二次救急・一般的手術・地域包括ケア機能を有する必要あり

  • 精神科病院は、入院患者の減少でダウンサイジングが進む

  • 診療所は、コロナ禍による受診抑制、リフィル処方導入もあいまって厳しい経営となる

  • 医師・看護師余りがある一方で、介護・看護助手の人手不足が顕著となる

  • 地方病院は、合併・縮小等が進まないと人手不足で共倒れとなる

気になる点がある方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

◆課題図書振り返り紙芝居レクチャー

続いては、課題図書をまだ読みこめていない方のために、「アイデアのつくり方」(ジェームス・W・ヤング著)の概要を紙芝居で振り返りました。 今回も、メディヴァ益田さんがレクチャーして下さいました。

まず著者のジェームス・W・ヤングによると、アイデアの源泉にある原理は2つあるとされています。

アイデアの源泉にある原理

  1. アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ

  2. 組み合わせを見つけ出す才能は関連性を見つけ出す才能

なお、アイデアは以下5つの方法で、自身で鍛えることができるといわれています。

アイデアを作り出す方法

STEP1.  資料(特殊資料、一般的知識)を収集する
STEP2.  集めた情報を消化する(多角的な視点でみたりする)
STEP3. 放棄する(一旦課題を沿え置き、全く関係のないことして忘れる)STEP4. 常に考える(ふとした瞬間にアイデアがわく)
STEP5. 人に見せる(良いアイデアは、人を刺激し自分で成長する)

以上の方法で”アイデアは作り出せる”そうです。
続いて、小松さんによる講義で「アイデアのつくり方」をより詳しく紐解いていきます。

◆「アイデアのつくり方(著:ジェームス・W・ヤング)」 講義

忙しく働く中で、日々患者さんやスタッフに対して「もっとこうしたらいいのではないか?」「もっとこうゆう言い方をしたらいいのではないか?」と思うこともあるのではないでしょうか。しかし、そのアイデアをなかなか形に出来ずにいることも多いでしょう。

そこで今回の講義では、アイデアを出す訓練として、意図的にアイデアを生み出すワークなどを交えながら、特別な才能がなくても、”一定のプロセスを経たり新しい視点を持つことで、自ずとアイデアを生み出すことは可能なのだ”ということを解説します。

アイデアを出す訓練を繰り返し行うことで、普段の慌ただしい日常生活に新たな気づきがもたらされるはずです。

この講義で身につけられること

  1. アイデアをつくるための基本的なステップを理解する

  2. アイデアを出すために様々な視点を身につける

  3. アイデア出しを日常的に実施し、日々活かせるようにする

アイデアの基本的な考え方

まず、著書によるとアイデアの基本的な考え方は以下の3点です。

  • アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである

  • 新しい組み合わせを作り出す才能は、事物の関連性を見つけ出す才能によって高められる

  • アイデアの作成は、一定の明確な過程である

アイデアを出す一連の過程は特別なものとは思わず、普段の認証や環境、マネジメントとの関連性を交えながら自然と考えるのがコツだそうです。

アイデア作成の5つのステップ

次に、アイデア作成の5つのステップを改めてご説明します。

例えば、新規事業を起こしたり人事制度を変えようとすると、必ずと言っていいほどネガティブなことが起こります。しかし、あきらめずに粘り強く追及することで、アイデアが形になることがあります。

ここでアイデアの基本的な考え方に沿って、臨床(難病患者)の治療事例をご紹介します。

アイデア作成の5つのステップ
①資料集め
 問診、家族歴・生活実態、医学全般の知識集め
②資料の咀嚼
 これまでの治療の見直し、課題の整理
③無意識の創造
 ぼーっとする(課題から一旦離れる)
④アイデアの誕生
 新たなアプローチの発見・思いつき、過去の治療法の修正
⑤アイデアの具体化
 新たな治療法の確立

今までの治療がなかなか上手くいかない際に、一旦現状の情報を集めたうえで治療法の見直しを検討する必要があります。

その上で、過去の治療法の修正や新たなアプローチで臨みます。時として、周りのスタッフや患者の家族の反感をかうこともあります。
しかし、それを上手く理解してもらいながら「アイデアの具体化」
つまり治療法の改善を行っていく必要があります。

これは、院内の業務改善やマネジメントも同様です。
ついやってしまいがちなのが、「これやってみたらいいんじゃないか?」という思いつきで突然はじめてしまうことです。

そうではなくて、肝心なことは①資料集め(誰が・何をして・どうゆう風に)をまずは徹底的に行うことです。そうして初めて、業務整理ができ改善の第一歩となります。

そしてもし行き詰ったら、③無意識の創造(ぼーっとする)も非常に重要です。どの改善案でも必ず良い点・悪い点があるものです。それらを一度添えおきつつアイデアの発見をし具体化していきます。

これらのプロセスを習慣化していければ、いずれいかなるアイデアでも上手く引き出せるようになるでしょう。

アイデアを具体化するための必然的作業とは

なお、繰り返しになりますがアイデアの具体化に向け、必ず”反発”は起こります。人は問題が起きるとつい目の前のことや人に責任転嫁をしてしまいがちです。しかし重要なことは、その事象を客観的に見つめ改善につなげることです。

反発が起こる理由は、いままでの慣例・慣習・常識、親切心(その人なりの)、自分自身の恐怖心など理由はさまざまです。

しかし、それらの事象は必ず起こることなので、そうゆうものとして捉え、あくまで自分の信念は曲げないことが重要です。それでも恐怖心を覚えるのであれば、その問題と徹底的に向き合うこともまた重要です。

  • 「何に自分は恐怖を感じているのだろう」

  • 「本当にそれが起きたら何がまずいのだろう」

これらをじっくり整理してみましょう。恐怖心をかかえたまま行動を起こすとよくない事象を引き起こすため、きちんと整理して前へ進みましょう。

アイデアを退化させないために

最後に、アイデアを出す力は、発揮しなければ退化していきます。そのため、日々「新しいこと何かないかな」「昨日と同じではないことないかな」などアンテナを立てていることが重要です。

頭の使い方は普段のマネジメントや医療そのものとは違いますが、日々アイデアをつくっていくことが、ひいては普段の生活に新しいものの肉付けをしてくれるのです。

以上が、小松さんの講義の概要となります。

講義のあとは、参加者がチームを組んでそれぞれワークの成果を発表しました。活発な意見交換がされ、今回も非常に盛り上がりました。

◆次回課題図書「ビジョナリー・カンパニーZERO」著:ジム・コリンズ

次回課題図書は、「ビジョナリー・カンパニーZERO~ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる~」ジム・コリンズ ビル・ラジアーです。

これはスタートアップや中小企業が偉大な企業となるために必要なことが解説されています。リーダーシップ、戦略・戦術などを学べる本となります。

新書や名著を一緒に読み合う読書会にもぜひご参加くださいね。
それでは次回のレポートもお楽しみに!

◆Antaa Academiaについて

次代の医療機関経営/部門運営の中核を担うマネジメント層を育成することを目的として、30代〜40代前半を中心とした若手医師を対象に、経営やマネジメントにおいて、翌日からすぐに活用できる実践的なノウハウや考え方を身につけることを目的としています。

毎月第4土曜日の19:00からZoomで開催される月例会では、各回ごとに課題図書が設定され、課題図書の振り返りレクチャー、講師小松さんの課題図書を医療機関に結びつける講義、参加者同士のディスカッションなど、書籍をもとに全体での学びを行っています。
>>Antaa AcademiaのHPはこちら


◆講師紹介

小松大介
神奈川県出身。東京大学教養学部卒業/総合文化研究科広域科学専攻修了。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとしてデータベース・マーケティングとビジネス・プロセス・リデザインを専門とした後、(株)メディヴァを創業。取締役就任。コンサルティング事業部長。
150箇所以上のクリニック新規開業・経営支援、200箇以上の病院コンサルティング、50箇所以上の介護施設のコンサルティング経験を生かし、コンサルティング部門のリーダーをつとめる。

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